ロシア料理といえば大概はペリメニ、パンケーキやウォッカといったところ。しかしながらロシアでは世代を超えて、多彩な郷土料理が愛されそして作られ続けている。家庭料理はロシアの伝統として心に刻まれており、多くの家庭(特に祖父母が健在の家庭)ではみんなでディナーテーブルを囲い一緒に食事をする。この記事では、ロシア以外の人にはあまり馴染みがないであろう料理をいくつか紹介する。各料理には、作り方を解説するビデオをつけた。
1. ヴィネグレット
まずは前菜から始めよう。 ヴィネグレット[en]とはビーツとじゃがいも、きゅうりのピクルス等々で作るサラダである。19世紀にスカンジナビアからやってきてロシア料理となったものだが、その途中でいくつかの原材料が抜け落ち、また追加された。現在ではロシアとウクライナの人気料理だ。(おかしな事実:オリジナルのヴィネグレット[en]はロシアのヴィネグレットと全くと言っていいほど似てない。)
2.オクローシカ
オクローシカはサラダとスープの中間のようなもので、「冷製スープ」と呼ばれている。角切りの肉(もしくは魚)、野菜(じゃがいもやにんじん)、ハーブと最後にクワス (スラブ系の国々でよく飲まれる飲料)が材料として必要だ。オクローシカは夏の暑いとき、誰も熱いものが食べたくないときに作られている。ブロガーのira_plyushkinaさんは 「オクローシカなしの夏なんてありえるかしら?[ru]」と質問を投げかけ、オクローシカにまつわる彼女の子供時代の思い出を共有している。
3.シチー
さあそれではメイン料理、スープだ。シチー はキャベツと肉、にんじんとその他の味付けで作られたスープ。主な材料はこれだけだが、さまざまな変化をつけることが可能だ。マッシュルームを加えたりスイバをキャベツの代わりに使ったり、りんごを加えたりする人もいる。でもこれらはすべて一種類のスープだ…何ともおかしな感じである。
4. クリーチ
これまで述べてきた料理は普通の料理だったが、クリーチはそれとは違い復活祭(イースター)のために準備される宗教的なパンである。これは中央・北ロシアで一般的であったバラエティーに富んだイースター料理のうちの一つに過ぎない。昔は各家庭でクリーチを焼き、司祭の成聖を受けるために教会へ持っていった。しかし最近では産業的なものとなり、ほとんどの人は祭日前にお店でクリーチを買う。クリーチを買ったり焼いたりすることは、正教徒以外の人々にも人気がある。
5.りんごのピクルス
都会のロシア人の間では、この料理はほとんど忘れられている。昔は小規模農家の人たちが冬に備えるために、オークの樽に りんご[ru]を漬けていた。(悲しいかな、彼らは冷蔵庫をもっていなかったのだ)。例えば、ライブジャーナルのユーザーであるarfagrafiaさんは、ロシアが野菜や果物を輸入し始める前の子供時代について述べている[ru]。お店の中は「床は石で作られ、棚は木で作られそしてとっても大きな入れ物がそこにあったの」。でも今となっては、「りんごピクルスはどこにもないのよ!」彼女はこう不平を漏らしている。電子機器化が進み、果物が輸入されている今でも、ロシアでは多くの人が家庭でりんごをピクルスにしている。家で作るピクルスってとってもおいしい!
サムネイル画像はLoynaによる。 Wikimedia Commons, CC-BY-SA-2.5.