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「ネヴァー・アローン」アラスカ先住民イヌピアットの伝統文化にどっぷりハマれるTVゲーム

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

このインタビューを行ったのはマーク・オッペニアー(Mark Oppenneer)で、オリジナル記事はEthnos Projectのウェブサイトに掲載された。ここに掲載するにあたり許可を得て編集している。

いつの時代の若者たちも、ある程度は大人たちの慣習や理念や伝統を敬遠し、文化を再定義したり拒絶したり、アレンジを加えたりするものだ。独自のダンスを踊り、自己のアイデンティティを築くことを望む若者たちがいる一方で、伝統文化の担い手たちは、豊かな文化遺産に対する誇りを保ち、盛り上げることを望んでいる。

この昔からのジレンマに対し、アラスカ、アンカレッジのクック湾先住民族評議会のとった戦略は斬新だ。それは、ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)というTVゲームの制作である。永遠にやまない猛吹雪から村人を救おうとする小さな女の子がゲームの主人公だ。このゲームにはイヌピアット(訳注:アラスカ先住民)の価値観が染み込んでいて、風変わりで魅力的なゲームをプレーするうちに、どの年代のプレーヤーも伝統的物語の真髄に引き込まれていく。

ネヴァー・アローンはこの秋に発売予定である。マーク・オッペニアーが、このゲームの制作チームに詳しい話を聞いた。 

ネヴァー・アローンの発端について教えてください。誰がTVゲームをイヌピアット文化を伝える手段に決めたのですか? 他の物語でなくカヌークサーユカ(Kunuuksaayuka)が、ゲームのメインストーリーに選ばれたいきさつは?

Never Alone started as an idea from Cook Inlet Tribal Council (CITC), a tribal nonprofit organization serving Alaska Native and American Indian people residing in the Cook Inlet region of southcentral Alaska. Located in Anchorage, CITC helps motivated individuals achieve their full potential through an array of support services including education, employment and training and services geared to helping build healthy families. CITC had three goals: to create a new source of revenue that could allow CITC to increase the level of services offered to Alaska Native people; to share Alaska Native culture with new audiences around the world; and to work to provide opportunities for Native youth to take pride in their history. […]

Gloria O’Neill, CEO of CITC, conducted an extensive search of possible development partners. During that process, she met Alan Gershenfeld and Michael Angst, co-founders of E-Line Media; a company with a long history of creating games to educate, engage and empower. Together, CITC and E-Line realized there could be a great opportunity to combine expertise and create a compelling game based on Alaska Native culture. Alan and Michael brought on Sean Vesce, a veteran video game designer and creative director to lead the project.

ネヴァー・アローンはクック湾先住民族評議会(CITC)のアイデアから始まりました。CITCはアラスカ中南部地方クック湾在住のアラスカ先住民やアメリカ・インディアンの人々のための部族NPOで、アンカレッジにあります。意欲ある人がそれぞれの可能性をフルに発揮できるように、さまざまな支援サービスを通じて手助けしている団体です。教育や雇用、訓練といったサービスや、健全な家庭を築くためのサポートをするサービスもあります。CITCの目標は3つあり、ひとつは、新たな収入源を作って、CITCがアラスカ先住民に提供できるサービスを一段と拡大できるようにすること。もうひとつは、アラスカ先住民文化を、新たに世界中の人に知ってもらうこと。そして、先住民の若者が自分たちの歴史に誇りを持てるような機会の提供に努めることです。[…]

CITCの理事長グロリア・オニールは、共同開発者候補を広範囲に募りました。その過程で、E-Lineメディアの共同創業者、アラン・ガーシェンフェルド、マイケル・アングストの2人と出会いました。E-Lineは、人を夢中にし、元気にし、かつ学習効果のあるゲームを長く制作してきた会社です。CITCとE-Line双方がすばらしい可能性を感じ、専門知識を合体させ、アラスカ先住民文化をベースに、人の心をとらえて離さないようなゲームを制作することになりました。アランとマイケルは、ベテランのゲームデザイナー兼クリエイティブディレクターの、ショーン・ヴェシ(Sean Vesce)をプロジェクトリーダーとして採用しました。

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

The project began with a deep ethnography built over several extended visits with Alaska Native elders, research at museums and sessions with storytellers and youth. As the team discussed the many possible stories and characters and how they might be used to support the needs of game design, they began to focus on tales with strong characters and a clear narrative arc that could be adapted into the beginning, middle and end of a video game – and had all of the action and thinking ‘verbs’ that are at the core of good gameplay.

From the possibilities, the Iñupiat storytellers involved recommended the Kunuuksaayuka story as a potential narrative spine. After researching, the development team agreed that Kunuuksaayuka had great potential for providing strong storytelling in the context of a game and could allow the main characters to explore diverse and interesting environments.

To ensure that the game respected the wisdom, themes and learnings that are embedded in the Kunuuksaayuka story, the team worked directly with Minnie Gray, the Iñupiaq elder whose father, Robert Nasruk Cleveland, was first recorded relating Kunuuksaayuka. Minnie provided input and suggestions that the team incorporated into the game adaptation.

プロジェクトの作業は、まずアラスカ先住民の古老たちを何度も継続して訪問し、博物館や、語り部と若い人の集いをリサーチし、詳しい民族誌を作り上げることから始まりました。候補となるたくさんのストーリーやキャラクターについて、またそれらをゲームデザイン上の必要性にあわせてどのように使えるかについて、このチームで話し合ううちに、印象的なキャラクターの物語と、ゲームの序盤、中盤、終幕に合いそうなはっきりした筋書きが、だんだんと固まってきました。それは、ゲームプレイの中心である、キャラクターの動きやプレイヤーによる「動かし方」の点でも、いいゲームになる要素をすべて備えていました。

協力してくれたイヌピアットの語り部が、候補の中から本筋に使えそうなストーリーとして推薦したのは、カヌークサーユカ物語でした。検討した結果、開発チームの意見も、カヌークサーユカ物語はゲーム進行の中で力強くストーリーを展開できる可能性が高く、主人公たちが冒険する舞台も多様で面白いものにできる、ということで一致しました。

カヌークサーユカ物語に潜む知恵やテーマ、教訓に対し、このゲームが払っている敬意を確かなものにしようと、チームはイヌピアットの古老、ミニー・グレイさんに直接交渉しました。カヌークサーユカ関連の物語を初めて録音したロバート・ナスラック・クリーブランドは、彼女の父にあたります。ミニーさんが音声入力や助言をしてくれたものを、チームでゲームに合わせて組み込んでいきました。

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

ネヴァー・アローンの予告編で、「伝えるべきことはたくさんある。そして今、伝える手段もできた」というナレーションがありますね。従来の語り部の語りではだめなのですか? もしそうなら、TVゲームに有って伝統的な語りに無いものは、何だと思いますか?

In the modern era, there has been increasing concern that the rapidly changing, highly complex and digitally infused nature of life in the 21st Century has resulted in youth becoming increasingly disconnected from these classic stories and the wisdom of their elders. Those voicing this concern often point to the rapid growth of computer and video games as one of the culprits of this phenomenon.

Despite their ubiquity among youth, digital games are a medium that is largely alien to most elders, creating a concern that the more time youth spend playing these games, the less time they are connecting with their history, culture and values. This is especially true since the depiction of minorities, indigenous peoples and other under-represented communities in popular commercial games is often caricatured, appropriated or inaccurate.

A clear question, then, is can this powerful new medium be harnessed as a new platform for passing along wisdom from generation to generation in a culturally appropriate, engaging format? We strongly believe that the answer is ‘yes’ – but that it won’t be easy. To truly leverage the unique power of this young medium will require multi-stakeholder partnerships among experienced, proven game designers, who fully understand the unique affordances and limitations of the medium, working closely with a diverse groups of elders, youth, storytellers, artists and social entrepreneurs who can collectively represent an indigenous voice in a new, interactive entertainment medium.

Unlike the transition from oral to written stories, digital games represent a fundamentally different and new form of storytelling. Digital games are interactive, participatory and player-driven. They enable players to step into different roles, confront complex problems, make meaningful choices and explore consequences of various choices and strategies. They are active, not passive. Well-designed games offer a delicate balance of challenge and reward that drives deep levels of engagement, enabling players to advance at their own pace, acquire critical knowledge, iterate based on feedback and use this knowledge to accomplish objectives for which they are invested.

今の時代ますます懸念されていることですが、21世紀になって生活の質が急速に変化し非常に複雑になり、またデジタル化してきたことにより、若い世代はこうした古典的物語や古老の知恵からだんだん切り離される結果になっています。こうした懸念を持つ人がよく指摘するのが、PCやTVゲームの急速な成長も、この現象を起こした一因だ、ということです。

デジタルゲームは、若者の間で広く浸透しているにもかかわらず、大多数の大人たちとは相いれない媒体です。若者がゲームに時間を費やす時間が増えるほど、自分たちの歴史や文化、価値観と関わる時間が減るんじゃないかと心配になるものです。特にそう言えるのは、一般に流通しているゲームの中では、少数民族や先住民やその他軽んじられたコミュニティの描かれ方が、よく戯画化されたり流用されていたり不正確だったりするからです。

では、この強力な新しい媒体を、文化に合った魅力的な方法により世代間で知恵を受け渡す新しい舞台として、活用することができるのでしょうか。それは明らかに疑問です。私たちは「できる」と強く信じています。でも容易ではないでしょう。この若い媒体のユニークな力を本当に使いこなすためには、複数の関係者間の協調が欠かせません。それには、経験も実績もあり、この媒体独特のアフォーダンスや制限も完全に理解しているゲームデザイナーも含まれます。ゲームデザイナーたちは、新しい双方向娯楽媒体に先住民の声を全体的に代弁させることができるよう、古老や若者、語り部、アーティスト、社会起業家といった様々なグループと緊密に協力し合います。

口伝えの物語を筆録に移すのとは違い、デジタルゲームは根本的に異なる新しい物語形式に相当します。デジタルゲームは双方向で参加型で、プレイヤーが操作するものです。プレイヤーは別の役柄に入り込んで、やっかいな難題に直面し、価値ある選択をし、さまざまな選択や戦略のなりゆきを探求していきます。彼らは受け身でなく、積極的に動きます。設計のよくできたゲームは、挑戦と報酬の絶妙なバランスで、深みにはまります。プレーヤーは自分のペースで前進したり、重大な知識を手に入れたり、返ってくる反応を見て繰り返したり、この知識を使って自分たちに授かった目的を果たすことができます。

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

画像はゲーム「ネヴァー・アローン(Kisima Inŋitchuŋa)」より。

最近のインタビューで、主人公を女性に決めたことが少し論争の的になったと言っておられましたね。この決定について、またどうやって合意に達したかについて、もう少し詳しくお願いします。イヌピアットの物語の伝統の中で、女性主人公というのは一般的なのですか?

We feel that girl characters have been underrepresented in gaming, particularly girl heroes who are powerful and can survive and overcome incredible challenges. Since many of the team members have daughters, we really wanted to create an inspirational role model that could show girls that they can succeed at anything they put their mind to. […]

Iñupiat stories are filled with both boys and girls, men and women. The narrative arcs of stories generally downplay character specifics, like gender in order to focus on the important themes, knowledge and values that the story is communicating.  […]

これまで、ゲーム界において女の子の主人公というのは少な過ぎたと思います。とりわけ、パワフルで生存能力があり、信じがたいような困難に打ち勝つような女の子のヒーローは。このチームには娘を持つメンバーが多かったので、本気を出して取り組んだら何でもうまくいくんだと教えてくれる、女の子たちにとって刺激のあるお手本を作りたいと心から願っていました。[…]

イヌピアットの物語には、少年も少女も、男性も女性もたくさん出てきます。物語の本筋では、一般的に登場人物の性別といった特徴は重視されません。その物語の伝える重要なテーマや知識、価値観に重点を置くからです。[…]

さらに詳しく知りたい方は、ネヴァー・アローンのサイトへ。今回のネヴァー・アローン・チームへのインタビューを調整していただいた、Radiate社のローリー・ソーントン氏に感謝します。