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にらみ合うインドとパキスタン両国で、見知らぬ者同士が電話をすることになったらどうなるか、見てみよう

カテゴリー: 南アジア, インド, パキスタン, 国際関係, 市民メディア, 旅行, 芸術・文化

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Screenshot from the AIB Video [1]

AIB Videoのスクリーンショット

インドとパキスタンは長年にわたり、両国間に存在し続ける敵意 [2]を払拭するべく、多大な努力を重ねている。インドの独立記念日である2014年8月15日、インドのコメディ集団All India Bakchod(AIB)は、新たな試みに挑戦し、一般のインド人が見知らぬパキスタン人と電話で会話をする、という動画を公開した [3]

この動画では、面識のないインド人とパキスタン人が電話で会話をしている。電話を受け取った人たちは、インド人とパキスタン人が互いをどう捉えているのかを話したり、それぞれの私生活や趣味について尋ねたり、共通点を見つけたり、また、両国の独立記念日を祝い合ったりした。

インドとパキスタンの不和の歴史は1947年まで遡る。この年イギリスによって、主に宗教的な境界線で、インドはパキスタン [4](後のパキスタン・イスラム共和国 [5]バングラデシュ人民共和国 [6])とインド連邦 [7](後のインド共和国 [8])に分断された。その目的は、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の間で高まりつつある緊迫状態を緩和することだった。分断は両国を荒廃させた。今日まで両国の関係は、幾度となく緊張状態に陥り、戦争、国境紛争、軍事的対立、そして度重なるカシミール地方をめぐる争い [9]によって損なわれてしまっている [10]

両国民の敵対感情を鎮めるための努力がなぜ必要なのか、まだ理解できないのならば、この動画に寄せられたYoutubeのコメント [11]に目を通してほしい。

インド人ブロガーのFarzana Versey [12]はこの動画に微妙な反応を示した。

Will this bring people on both sides (we are not even speaking about the two nations) closer together? This was a ‘controlled’ atmosphere, and even if comments were not censored it was understood that the conversation was to be light. What we see is one reality – the coffee shop or corner store one. The young even on campuses are politically aware and most certainly come with a bagful of stereotypes about the other. It does not negate the awareness about Bollywood, cricket, or food. Yet, all of these can be politicised on the day there is a clash of films, a match or a culinary competition.

この試みによって、両国(普段、話題にもしていないけれど)の人々の距離を縮めることはできるのだろうか? 動画は「コントロールされた」雰囲気で、検閲されていないにしても、会話の内容が当たり障りのないものであることは明らかだ。我々が目にするのは、コーヒーショップや街角の店で見られる現実だ。キャンパスの若者たちでさえ高い政治意識を持っており、間違いなく相手国に対してステレオタイプな考えを強く抱いている。ボリウッドやクリケット、食文化についての意識を否定するわけではない。しかし、映画公開日のバッティングや、クリケットの試合、料理コンテストとなると、こうしたものはすべて政治的になりがちだ。

彼女はまた次のように言い渡した。

Love it…just don’t take it as the whole truth.

では動画をお楽しみください……でも、すべてが真実だとは思わないように。

校正:Setsuko Shimauchi [13], Rie Tamaki [14]