あなたがタイで急にピザを食べたくなったら、きっとピザカンパニーに注文するだろう。タイ最大手のピザチェーンで注文専用番号が「1112」。ただし、電話の際にはひとつご注意を。タイの活動家の間では、ピザという言葉を悪名高い刑法112条の意味に使うことがあるのだ。
バンコク拠点のニュースサイトKhaosod Englishの解説によると、ピザという言葉から刑法の特定の条項が連想されるようになったのは、ピザカンパニーの電話番号が法律名とほぼ同じという単純な理由からだ。
112条は、不敬罪もしくは王室侮辱罪を扱う法律で、王室への侮辱とみなされるあらゆる行為を違法としている。タイ国王は、その治世が世界一長い君主であるだけでなく、この国で最も崇拝されており、知らない国民はいない。112条は世界一厳しく、見直しが必要だと考える学者もいる。SMSやネット上のコメント投稿が国王への侮辱とみなされ拘留された人は既に何人もいる。
反対派への嫌がらせにこの法律を利用していると、政府を非難する活動家もいる。112条の改正を求め、これまで様々な署名請願が行われたが、当局はこうした提案を却下してきた。
112条で起訴されずにすむよう、法令名を直接口に出す代わり、ピザという言葉を使ってこの「厳罰」法を指しているタイ人もいる。
If a discussion begins to veer dangerously towards insulting the monarchy, someone may teasingly ask, “Are you ordering us a pizza?” or “I hope they serve pizza in prison.”
もし話題が王制をばかにするような危ない方向にそれたら、誰かが皮肉っぽく「ピザを注文するつもりかい?」とか「刑務所でもピザが出るといいな」と言う。
今年5月に軍政になって以来、新政権によって不敬罪で起訴されたケースは十数件に及ぶ。最近ある学者が巻き込まれた事件では、歴史上の王を侮辱したとして退役陸軍将校に告発された。
不敬罪で有罪の判決を受けると、最大で15年の禁固刑になる。
というわけで、タイで次回「1112」にかけるときは、本当にピザカンパニーのことなのかよく確認しよう。さもないと、独房でピザを食べることになるかもしれない。