ロシア:登録たったの50数件!? そっぽを向かれたブロガー登録法

(リンク先には英語とロシア語のページも含まれます)

New Internet laws in Russia  may be just a front for attacks on independent thought. Images mixed by Tetyana Lokot.

ロシアの新たなインターネット法は、自由な思想を攻撃するための隠れみのに過ぎないのかもしれない。写真合成:タチヤナ・ロコット

ロシアで不評を買っているブロガー法は、有名なブロガーたちに政府の認可リストへの登録を義務付けている。ところが、法律が施行されてから2か月以上経過した今になっても、たったの52件のみしかリストに追加されていないことが判明した。

インターネットのニュースサイトTJournalは、Golden Boyという匿名のネット工作員から漏えいリストを受けとり、まずは疑わしいほど少ない登録者数を報じた。その後、登録されたブロガーの全リストをデータ公開サイトのPastebin上に公開した。

リスト上には、その管理機関である連邦通信・情報技術・マスコミュニケーション監督庁(以下Roskomnadzor)のツイッターアカウントのほか、親クレムリン派のネット上での有名人が数人挙がっている。マリア・コジェフニコヴァ下院議員はインスタグラムとツイッター、フコンタクチェ(訳注:ロシア最大のSNS、以下VK)のアカウント、ニコライ・ニキフォロフ通信情報大臣はツイッターとインスタグラム、 そしてNews MediaのCEOでありLifeNewsテレビのディレクターでもあるアショト・ガブレリャノフ氏も掲載されている。

そのほか、リストに挙がったサイトにはVKで人気のコミュニティ(画像、ジョーク満載の投稿サイトPikabuや、映画サイトKinoPioskなど)や、歌手ヴィクトリア・ダイネコのVKページも含まれている。

また、ソーシャルメディア以外のサイトも登録されている。ライターのヴィクトル・シェンデロヴィッチ氏と、プーチン氏の元顧問である経済学者アンドレイ・イラリオノフ氏のブログは、どちらも反政府色のある内容で、民間ラジオ局「モスクワのこだま」のホームページに掲載されている。

Roskomnadzorのホームページにはブラックリストに登録されたサイトや禁止サイトの一覧を検索するページが設けられているが、最新のブロガー登録簿の全内容はリークによってしか公にならなかった。同サイトのブロガー登録ページにも検索フォームがあり、URLや名前を入力して特定のブロガーやウェブサイトが登録されているか調べることができる。別のフォームからは「情報提供元」とみなされている会社や事業の登録状況も検索可能だ。

最終的には、リークされたブロガーリストもRoskomnadzorのホームページで閲覧可能となった。RosKomSvoboda(訳注:情報の自由を目指し、Roskomnadzorを監視するNGO)のリーダーであるアルチョム・コズリュウク氏は、数日前にデータを見つけたという。しかし「公開」されているはずのデータは見つけることが容易ではなく、公開の告知もされなかったことを考えると、Roskomnadzorの開示性はまだまだ不十分であるといえよう。

漏えいしたブロガー登録リストが公開された後、「リストに登録されているブロガーとウェブサイトはすべて、本人もしくは『関心がある』第三者の申し込みに基づいている」とRoskomnadzorのヴァディム・アンペロンスキー報道秘書官は述べた。しかしたったの52件しかリストに登録されていないことから、ブロガーたちは国に登録しようという気がなく、「関心がある」第三者も人気ブログ登録の申し込みにあまり力を入れていないように見える。

ロシアのインターネットユーザーたちは、ブロガーやブログの登録数に関して驚きの声を上げており、登録を義務付けた法は役立たずだと考えている

Можно с уверенностью сказать что закон не работает. Так какого хуя его приняли, если не могут его исполнять?

確かなことは、この法律が機能していないということだ。実際に使いこなせないなら、なんでこんな法律作ったんだ?

ロシアのネット市民の中には、新しいインターネット関連法の表面的な目的を見透かして、法律が何のためのものなのか理解している人々もいる。それは政治的圧力の手段とするためである。

Вы не поняли
Он будет работать в нужный момент для нужных людей

おまえらは分かってない。
必要な時に、必要な人物に対して働くのだよ。

インターネット保護のための「遮断スイッチ」なのか、データ維持や保管のための法律なのか、とロシアの他のウェブ関連の議論でも話題になったように、提案された制度や規則は二重底になっている。悪い欧米がロシアのネットを台無しにするという神話にあおられ、セキュリティやユーザーの安全という美辞麗句に覆い隠されているもの、それは、ネット上の言論を完全にコントロールしようとする政府の本音と、対立意見を嫌悪する政府の姿である。ブロガー登録の法律は単純に機能しない。しかし、この法律はポチョムキン村となるだろう。つまり、インターネット上である無しに関係なく、政府に逆らう者への政治的攻撃に施す、見せ掛けだけの隠ぺい工作ということだ。

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