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華やかとはいかないパリの学生賃貸事情

カテゴリー: 西ヨーロッパ, フランス, Good News, 市民メディア, 教育, 経済・ビジネス, 若者
Students watching the sunset by the Seine, Paris by Jorge Royan CC-BY-3.0 [1]

セーヌ川のほとりで夕日をながめる学生たち(ホルヘ・ロヤン撮影CC-BY-3.0)

フランスでは長い間、学生向けアパートの家賃が上がり続けてきた。しかし2014年に入ってようやくその傾向に歯止めがかかりつつあるようだ。うれしいニュースだが、パリの学生には無縁の話。国内で広がる家賃の値下がり傾向をものともせず、パリだけは相変わらず高いままだからだ。

待ちに待った家賃下落

条件のそろった部屋探しは学生にとって決して楽ではないと同時に、家賃などの住宅費の捻出に苦労している親も多い。 この費用の高さはフランスの長年の課題だったが、今年になってようやく値下がりはじめたことが、学生向け賃貸専門の不動産サイト「Location-etudiant.fr [2]」のデータを用いた調査から明らかになった。 対象の20都市のうちで、13都市の家賃が下がっており、たとえばトゥールーゥーズでは、15パーセント [3]、マルセイユとニースでは12パーセンの値下がりを示した。創業者のブリス・ブーレは次のようなコメント [4]をしている。

Nous assistons à un phénomène de baisse sans précédent ces dix dernières années sur les petites surfaces. Comparés à leur niveau d’août 2013, les loyers d’août 2014 ont amorcé une baisse qui se généralise dans les grandes villes françaises à l’exception de Paris.

ワンルームの家賃が下がっていますが、ここ10年間ではみられなかった傾向です。2013年の8月と比べて、2014年8月の家賃はパリ以外の大都市の多くで下がりはじめています。

Infographie sur le loyer des étudiants en France - via location-etudiant.fr [5]

「フランスほとんどの都市で値下がりを示す学生向けアパート家賃」フランスの学生賃貸に関するデータ(location-etudiant.fr 提供 使用許諾済)

それでもパリは…

パリの学生賃貸についての問題は、いまだ改善されていない。むしろ、他の都市と違い悪化の一途をたどっている。現在のワンルームの平均家賃は月744ユーロ(約10万円)と、昨年から0.5パーセント上がった。1LDKの平均家賃も月1,249ユーロ [6](17万円以上)と、3.7パーセント上がっている。

HBM de l'Office de la Ville de Paris, dans le 13e arrondissement de Paris - via David Monniaux - CC BY-SA 3.0 [7]

パリ13区にある市役所の住宅課(モニョー・ダビド提供 CC BY-SA 3.0)

皮肉なことに、大家にここまで家賃の値上げを許してしまった主な要因は学生住宅補助金にある。ALUR [8] (家賃を規制する法律)が今年成立したが、ワンルームの家賃に明確な制限を設けるまでには至っていない。これについてブーレは次のような見解 [9]を示した。

Ces lois ne suscitent aucune inquiétude chez les bailleurs. D’abord parce qu’elles sont inefficaces : l’État n’a pas les moyens d’en contrôler le respect, tout le monde le sait. Et plus un loyer est cher, plus l’étudiant a d’aides.

大家にとって、今回の法律は頭痛のタネにもなりません。そもそも効果のない法律です。国が家賃を規制する手だてがないということは誰もが知っているのですから。それに現状では、家賃が上がっても学生がもらう補助金も増えるのです。

学生向けアパートの需要がすぐには減りそうもないことから、パリの学生賃貸事情には打つ手だてがないように見える。こういう窮まった状況には、思い切った解決策が必要なのかもしれない。たとえば政府が住宅補助金を減額して、学生に家賃の高い部屋に住めなくさせたらどうだろう。それに伴い賃貸需要が少なくなれば、大家たちは居住者をさらに失うのを恐れて、家賃を下げざるを得なくなるだろう。とはいえ、この案を実行するには学生からも大家からも反発を買う覚悟が必要だが。

校正:Takeshi Nagasawa [10]