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イスラム過激派から「パキスタンを取り戻そう」!

The people of Lahore held a protest against hate-monger cleric Abdul Aziz, who runs a militant school in Islamabad and refuses to condemn the Taliban and their attack on the Peshawar school.

ラホールの街では、憎悪をあおる聖職者アブドゥルアジズ師に対する抗議活動が行われた。アブドゥルアジズ師は、イスラマバードで軍人学校を経営。またタリバンとタリバンによるペシャワル学校襲撃を非難することも拒否している。写真撮影Saad Sarfraz Sheikh。著作権Demotix(2014年12月22日)。
(訳注:写真内の紙には、「血を流す狂信主義を止めよう!」と書かれている)

[リンクの飛び先には日本語以外のページも含まれます。]

犠牲者の多くが年若い生徒であったペシャワル学校襲撃事件で、パキスタンの人々はかつてない程の悲しみと怒りを味わった。この恐ろしい襲撃は、パキスタン国内のテロ事件の中でも最も犠牲者が多い事件のひとつで、国内のみならず国際社会にも大きな衝撃を与えた。事件の後、世界の国々からパキスタンの人々に、連帯と希望を伝えるメッセージが寄せられている。

この卑怯な襲撃で、改めていかに頻繁にパキスタンでテロが発生しているか痛感させられる。過去11年間、さまざまな武装集団により、5万5千人以上のパキスタン人の命が奪われた。軍運営の公立学校において、罪もない生徒130人以上と教師10人が武装集団「パキスタン・タリバン運動(TTP)」により虐殺された今回の事件。この事件後、テロリズム反対という立場から、パキスタン政府や、主要政党並びに宗教政党、軍上層部や一般市民が、驚くほどの一致団結を見せた。

しかし、テロ対策の話し合いが行われている真っ最中に、それよりずっと強くずっと必要とされている声が、首都イスラマバードから聞こえてきた。それは、過激派から「パキスタンを取り戻す」ことを目指している。

「あなたのモスクを取り戻そう」キャンペーン

この「取り戻そう」キャンペーンは最初、ペシャワル襲撃事件の二日後、イスラマバードの「赤いモスク」の前で、世間の批判を浴びる聖職者アブドゥルアジズ師に対する自然発生的な抗議活動から始まった。アブドゥルアジズ師は、殺戮者たちを非難することを拒否し、学校襲撃は政府の対タリバン政策がもたらした結果だ、と主張していたのだ。元弁護士で活動家、Muhammad Jibran Nasirが先頭に立ったこのデモは、アブドゥルアジズ師の逮捕を要求する小規模なものから、より大きな目標を掲げ、カラチ、ラホール、シアールコート、サルゴーダーで抗議活動を展開する全国的な運動へと急速に拡大した。

We wish to see our mosques, our pulpits, our madrassas freed from extremist ideologies.

我々の目標は、パキスタンのモスクや説教壇、イスラム教学校が、過激派のイデオロギーから自由になることだ。

Protestors Holding banner against cleric Abdul Aziz.  Copyright Demotix (22/12/2014)

聖職者アブドゥルアジズ師に抗議するバナーを掲げるデモ参加者たち。撮影Saad Sarfraz Sheikh。著作権Demotix(2014年12月22日)
(訳注:写真中央の紙には、「あなたのモスクを取り戻そう! アブドゥルアジズを逮捕せよ」と書かれている)

「赤いモスク」は過激派だとの評判が既に立っていた中で、アブドゥルアジズ師と「赤いモスク」運営陣へ向けられた怒りは、アブドゥルアジズ師の取った態度を攻撃するだけには留まらなかった。社会から圧力を受けてアブドゥルアジズ師は謝罪し、子供の殺害を非難した。しかしデモ参加者たちは、この運動は単なるアブドゥルアジズ師の謝罪と逮捕が目標ではなく、もっとずっと大きなものを目指しているのだと強く主張している。

これは単に街頭でデモしてるだけの闘争じゃない。解釈とイデオロギーの戦いなんだ。みんなでタリバンの解釈、タリバンのイデオロギーを打ち破らないといけない。

アブドゥルアジズ師には保釈なしの逮捕状が出されたが、それでも抗議活動の勢いは衰えず、「赤いモスク」とアブパーラ警察署前の座り込みは続いている。

圧力をかけるんだ。これらのハッシュタグといっしょに写真を撮って投稿して欲しい。顔も隠さないでね。僕たちは何も恐れていないんだから。

一人だけじゃない。大勢だ。僕らはみんな、正義を求めているんだ。僕らはみんな、#ArrestAbdulAziz(アブドゥルアジズの逮捕)と#ReclaimYourMosques(あなたのモスクを取り戻すこと)を求めているんだ。

「あなたのモスクを取り戻そう」から「パキスタンを取り戻そう」まで

この最近の残酷なテロ事件を受けて、過激派に反対する、ありとあらゆる信条や信仰を持つパキスタン人たちが、年若い犠牲者を悼み一致団結するという方向へ向かった。キャンドルと祈りで始まったデモは、まもなく「あなたのモスクを取り戻そう」キャンペーンへと変わった。そこからさらに、武装集団や過激派からパキスタンを取り返すことを目指す反タリバン運動の、「パキスタンを取り戻そう」キャンペーンへと変化していった。

アブドゥルアジズ師への逮捕状をキャンペーン参加者は歓迎したが、しかしそれだけがこのキャンペーンの目的ではなかった。Jibranはインタビューの中でキャンペーンの変化について次のように説明した。

The protest is not about the arrest of Abdul Aziz. His arrest and prosecution is the first step of a journey towards reclaiming our country. It is a message to all quarters that the civil society in Pakistan will not stand any support of Taliban or their sympathizers or their apologists. This is Pakistan’s movement. The Taliban and their sympathizers are not just among us, they are within us. Law-abiding and peaceful Pakistanis need to identify and throw out these apologists from their ranks, and reclaim our state institutions, much like we are trying to reclaim our mosque.

我々の抗議活動の目的は、アブドゥルアジズの逮捕ではありません。彼の逮捕と起訴は、自分たちの国を取り戻すまでの道のりの、最初の一歩なのです。これは、パキスタンの市民社会は、タリバンやその支持者や擁護者へのいかなる支援も許しはしない、という各方面へのメッセージです。これがパキスタンで起こっている変化です。タリバンとその支持者は、我々の間に紛れているだけではありません。彼らは我々の内側にいるのです。法を順守し平和を愛するパキスタン人は、タリバンを擁護する人たちを見つけ出し、彼らをその役職から追い出さなければいけません。我々の国家組織を取り戻さなければいけないのです。自分たちのモスクを取り戻そうとしているのと同じように。

パキスタン全土に広がっている反タリバンの抗議デモは、過激派に対して世間の態度が変わったことの表れでもある。弁護士のNabi Malikはこの変化を次のように強調する

The protests outside Lal Masjid, although limited in nature, represent a realization in at least a segment of society that Pakistan needs to reclaim the space lost to the clergy. Participants appear to want to “reclaim their mosques”, or have their opinions represented in the narrative of not only the country, but their religion as well.

限定的性質のものではありますが、「赤いモスク」前での抗議行動は、パキスタンの少なくとも一部の人々の間で、聖職者に独占されていた空間を取り戻さなければ、との認識が生まれたことを示しています。デモ参加者は、「自分たちのモスクを取り戻す」ことを望んでいるか、もしくは、自分の意見が国家についての解釈のみならず、自分たちの宗教についての解釈においても反映されることを望んでいるようです。

タリバンとその支持者に反対する運動

ペシャワル学校での胸をえぐられるような悲劇は、パキスタンで起こった最初の凶行という訳ではない。2002年以降、この国は頻繁にテロ行為に見舞われているのだ。しかし、政府のみならず一般市民からもタリバンとタリバン擁護者に対する強烈な反発が巻き起こったという点で、これは初めてのことだった。ナワーズ・シャリーフ首相も、パキスタンは「良いタリバン」と「悪いタリバン」を区別することなしに、国中一丸となって対テロ対策を行うことを明言した。

良いタリバン。悪いタリバン。私が望むのは、死んだタリバン。

タリバン支持者に対する抗議活動の特徴は、反過激主義に基づいた解釈と、もはやタリバン擁護者に罪はないなどとは思わなくなったパキスタン人の考え方の大きな変化である。

パキスタンの政治家Ali Raza Abidiは、パキスタンにとってなぜ今、過激派に対し一致団結することが重要か、改めて呼びかけている。

みなさんの同情や支援を求めてるわけじゃありません。ただもしタリバンに対して一致団結しなかったら、次はあなたの番だってこと、分かってますかと言ってるんです。

イスラマバードのジャーナリスト、Mina Sohailは以下のように書いた

We are at war with the Taliban, whose agenda is to destabilize Pakistan and create its own state that eschews international rules of logic and humanity. This school massacre is our Sept. 11. This time, Pakistanis have come out galvanized to say we will “never forget.”

私たちは今タリバンと戦争状態にあります。タリバンの狙いは、パキスタンを不安定にし、論理と人間性に基づいた国際法を無視する自分たちの国家を打ち建てることにあります。この学校での虐殺は、私たちにとっての9・11(訳注:アメリカ同時多発テロ事件)です。今回パキスタンの人々は、私たちは「決して忘れない」と言わなくてはとの思いに駆り立てられたのです。

「決して忘れない」キャンペーン

「決して忘れない」 は、ペシャワル襲撃後に始まったオンライン・キャンペーンだ。このキャンペーンが目指すのは、過激派に対する断固とした姿勢だ。彼らは下記、要求項目の効果的な実施を求める要求憲章を表明した。

  • 過激派とテロリストを一切容認しない方針を、すべての国家機関、政党、宗教評議会や宗教団体が採択すべきである。
  • いかなるテロリスト集団やその支持者に対しても、パキスタンのTV・ラジオ放送や紙媒体、デジタルメディアは、出演や掲載を許すべきではない。
  • 国内すべてのモスクやイスラム教学校、神学校で行われる説教をモニターし、ヘイトスピーチや憎悪の扇動、過激派イデオロギーの宣伝を規制すべきである。
  • ペシャワルの軍運営公立学校および公立大学で犠牲となった生徒と教師を追悼して、国内で廃校中の学校をすべて再開すべきである。

「パキスタンを取り戻そう」キャンペーンは、自分の母国で平和に暮らしたいと願い、現状を憂えるパキスタンの人々による試みである。彼らの気持ちは、ペシャワル学校襲撃で(校長だった)母親を亡くしたAhmad Qaziの言葉によく表されている。

I wish for the Pakistan I once saw, where we could go out all night without bothering about security, where relationship mattered more than money, where living in harmony was all that we knew, where my school was safe and neighborhood calm, where blood shed was rare, where kidnappings and killing was a crime…. I wish for the Pakistan that we once knew.. I just wish for my Pakistan to rise once again.

かつてのようなパキスタンに戻って欲しい。身の安全を心配することなしに一晩中出歩けた頃に。お金よりも人とのつながりの方が大事だった頃に。仲良く暮らすことしか知らなかった頃に。僕の学校が安全で近隣が平穏だった頃に。血が流れることは稀だった頃に。誘拐や殺人は犯罪だった頃に……。以前のようなパキスタンに戻って欲しい。ただ僕の知っているパキスタンにもう一度戻って欲しいだけなんだ。

校正:Shione Furuta