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ブラジル:サンフランシスコ川の水源枯渇 国民は同川の消滅を懸念

The headwaters of the Sao Francisco River are located in the National Park Cantareira Mountains, in the city of Sao Roque de Minas. This is its state in January 2010. Image by Flickr user Thiago Melo (Flickr CC BY 2.0)

サンフランシスコ川の水源は、 サンロケ・デ・ミナス市内のカンタレイラ山域国立公園内に位置している。写真は2010年1月の水源の様子。撮影:Flickr user Thiago Melo (Flickr CC BY 2.0)

10月末のカナストラ山域における降水量は、9月に史上初の枯渇を見たサンフランシコ川水源を復活させるという望みをかなえるほどの 量ではなかった。気候変動、長期間の干ばつおよび生態系の破壊の進行が、南アメリカ大陸内の大河の一つサンフランシスコ川の水源を消失させた原因として上げられる。これまで、同河川の水源は枯れることはないと考えられていた。

サンフランシスコ川が枯渇したため、漁師はサンフランシスコ川の最上流部、ミナスジェライス州西部の町イグアタマでの 漁を諦めている。トレス・マリアスは、サンフランシスコ川最上流部に設置されたダムであるが、通常容量の3.5%の量で運営されている。また、近頃は同ダムへの流入量の減少が認められる。サンフランシスコ川流域管理委員会(Comite da Bacia Hidrografica do Sao Francisco, CBHSF)によると、今後降雨がなければ、トレス・マリアスの下流部40㎞は、完全に干上がってしまう。バイーア州ソブラジーニョにある同河川の上流から数えて2番目のダムの貯水量は満水時の18%である。

延長2,863㎞(マドリッド、ベルリン間の距離をしのぐ)を持つサンフランシスコ川は、ブラジルの5つの州(ミナスジェライス州、バイーア州、ペルナンブーコ州、アラゴアス州、セルジッペ州)を貫流する。そして、504の都市を取り囲むように流れ、ブラジルの主な流域圏の一つを構成している。親しみをこめて「オールド・フランク」(“Velho Chico”)と称されるこの川は「ブラジルを統合する川」としても知られている。この川は、異なった気候と地域を統合し、南東部および中西部を北東部と結び付けているからである。また、この川は「ブラジルを流れる川の中で最もブラジル的な川」とも呼ばれている。水源から河口デルタまでブラジル国内のみを流れる大河の中でただ一つ際立った存在だからである。

サンフランシスコ川は多くの支流からの流水により、なお流れを保っているが、水源域における干ばつは、目下 ブラジル南東部に影響を与えている深刻な水飢饉の前兆と考えられている。社会学者 ロベルト・マルベッツィにとってこの干ばつは、サンフランシスコ川および同川を生活の拠りどころにしている人々との歴史的な死別を意味している

Nem o pior dos vaticinios nos anteciparia essa noticia. Agora nao e mais previsao dos catastrofistas, dos apocalipticos, de ambientalistas sectarios. Estamos diante do fato.

最も悲観的な予測でさえこのような結果を予想していなかった。今起こっていることは、誇大妄想者、終末論者、偏狭な環境論者たちの言っていることではない。サンフランシスコ川の流水枯渇という現実に直面しているのだ。

ジャーナリストのカルロス・コスタによればオールド・フランクは渇きで死んでしまった。また彼は、干上がった水源を見るのは「悲しくてたまらないことだ」と言っている。

Ele nao perecera por completo porque tambem recebe agua de outros afluentes, mas sua nascente ja morreu e esta cercada de pedras como se fosse em volta de uma sepultura. Um quadro triste! O “Velho Chico” morreu de sede em sua nascente, como outros rios poderao morrer tambem se eles nao forem tratados com carinho, respeito e responsabilidade como se fosse mais um ser vivo, como na verdade e.

サンフランシスコ川の流水は、完全には枯渇しないだろう。支流からの流入があるからだ。しかし、水源は枯渇している。石に取り囲まれて、まるで地下室のようだ。嘆かわしい光景だ。オールド・フランクの水源は乾燥で枯渇してしまった。他の川も生き物として、思いやり、敬意、および責任を持って接しなければ、まったく同様に枯渇してしまうだろう。事実、川は生き物なのだ。

バイーア州からブロガーのエディバルド・ブラガは、「オールド・フランク」に危害を加えているさまざまな問題点について発信している。それは、彼に言わせれば、川が助けを求める叫びなのである

O Velho Chico esta agonizando e prestes a morrer. A ponte que liga algumas cidades encontra-se completamente descoberta e denuncia o serio problema. A morte do rio significa o fim de muitos ribeirinhos.

オールド・フランクは苦しみ悶え、死に瀕している。この川は都市間を結ぶ橋である。その橋がいまや干上がっている。この事態は深刻な問題を示すものと言える。オールド・フランクの死は、多くの沿川住民にとって終焉を意味する可能性もある。

サンフランシスコ川は、「リベイリーノ(水辺に住む人)」と呼ばれている沿川の住民にとって、新鮮な水を得るためのただ一つの水源である。彼らはまた、農業、畜産、および水運でもこの川に依存している。Markileide Oliveiraのブログと写真を見ると干ばつが、「オールド・フランク」の恩恵を受けているバイーア州 シキ-シキの住民の機動性に、いかに影響を与えているかが分かる。

O Rio Sao Francisco vem enfrentando uma das maiores secas da sua existencia, as varias cidades das suas margens sofrem com a falta de agua. Sao inumeros os relatos dos ribeirinhos, que contam as dificuldades enfrentadas no seu cotidiano. Muitos caminham a pe pelo leito do rio ate chegarem a cidade e fazem o mesmo trajeto de volta para casa. Alunos das redes publicas chegam a usar tres transportes para ir a escola, acordam as 5h para poder assistir a segunda aula por que a primeira nao e possivel. Os ribeirinhos estao aportando os seus barcos nas margens de um rio seco. Sem profundidade, as barcas de medio porte nao conseguem navegar e os barqueiros buscam outras formas de sobrevivencia, pois o transporte coletivo ficou impossibilitado. Os ribeirinhos estao substituindo os barcos por bicicleta, carrocas, carrinhos de mao, entre outras possibilidades de locomocao.

サンフランシスコ川は、史上最悪の干ばつに直面し、沿川の街は水不足に苦しんでいる。これらの町の住民が不便な日常生活の実態を訴える様子が多数報じられている。住民の多くは、直近の町まで川床に沿って歩いていき、帰りも同じ道を引き返している。子供たちは通学に3タイプもの交通手段を使っている。彼らは第二部の授業に間に合うように5時に起床している。それでも第一部の授業には間に合わないのだ。「リベイリーノ」たちは、干上がった川の岸に舟を係留している。水深が不足しているため、中型船は航行不能である。共同の水運の運営ができなくなったため、水運に従事する人たちは生き残りのために他の職を探している。沿川住民は、船の利用をやめて、自転車、馬車、手押し車その他の利用可能な移動手段を用いるようになっている。

Carroca substitui a canoa em Xique-Xique, Bahia. Foto de Markileide Oliveira, publicada com autorizacao.

馬車が船に取って代わる バイーア州 シキ-シキにて 撮影:Markileide Oliveria、掲載承認済み

「分水」により、じわじわとオールド・フランクは死に絶える。

サンフランシスコ川の荒廃は今に始まったことではなく、ずっと以前から専門家および一般市民の双方から指摘を受けていた。2009年、ブログ「わがオールド・フランク」および「わがオールド・フランク:単独遠征の追憶」(電子書籍でも購読可)の発信者ジョアオ・カルロス・フィゲレドは、100日かけてカンタレイラ山域にあるサンフランシスコ川の水源からアラゴアス州ピアサブスの河口デルタまで全延長を、単独でカヌーを漕いで下った。この時のカンタレイラ山域の干ばつの実態を彼は下記のように記している。

Estamos chegando, rapidamente, no limite de resiliencia (capacidade de recuperacao) de nosso Meio Ambiente. Passado esse limite, o Brasil, gradualmente, se transformara em uma gigantesca savana seca e esteril. Regioes deserticas substituirao as florestas e as nossas gigantescas bacias hidrograficas. E ate mesmo os ignorantes donos do agronegocio verao seus latifundios se transformarem em terra seca e inutil para a lavoura. Sera esse o nosso destino final?

我々を取り巻く環境は、回復力(回復能力)の限界に急速に近づいている。その結果、ブラジルは徐々に、乾燥し不毛な巨大サバンナに変化していくだろう。砂漠が、森林にとって代わり、広大な流域に砂漠が広がるだろう。環境の変化を意識していない農業関連産業の経営者でさえ、広大な所有地が、乾燥した土地となり耕作の役に立たなくなっていくのに気づくだろう。これは、ブラジルのもって生まれた運命なのだろうか。

2012年に出版された著書「サンフランシスコ川流域内カーティンガ(※訳注1)の植物相:自然史と保全」は、サンフランシスコ川流域の植物について、最も完成度の高い記述をしている。その中で、サンフランシスコ川流域内の植物の消滅は「避けられない」と断定している。ブラジル全土から集まった100人以上の専門家グループが4年以上にわたり34万㎞以上の範囲を探検調査した結果、同書の中で、サンフランシスコ川の「分水」事業の危険性を指摘している。このプロジェクトは、政府による大規模計画であり、サンフランシスコ川の水をブラジルの半乾燥地帯である「セルトインス」地方(※訳注2)に導こうとするものである。専門家グループは、このプロジェクトにより「カーティンガ」にさらにいっその危害がもたらされるだろと指摘する。「カーティンガ」は、ブラジルだけに存在する生物群系をもち、この群系はすでに絶滅の危機の極限に達しようとしている。
(※訳注1カーティンガ)ブラジル北東部。熱帯乾林が広がる。
(※訳注2セルトインス)ブラジルの北東部 大部分がカーティンガ地域と重複する。

 Estacao de Bombeamento do Eixo Leste do Projeto de Integracao do Rio Sao Francisco. Foto: Moreira Jr. (CC BY-NC-SA 2.0)

サンフランシスコ川分水プロジェクト、東部・換気坑のポンプ場 2014年10月 撮影:Flickr user Moreira Jr. (Flickr, CC BY-NC-SA 2.0)

この分水事業には、すでに公共積立金の32億ドルが費やされているが、まだ完成を見ていない。また、この事業は、水源及び植物群の回復のために経費の10%弱を捧げている。この事業に批判的な人たちによれば、同事業は、貧しい人たちや環境に対してよりも農業関連産業に対して利益をもたらすだろうということである。 ロベルト・マルベッツィの指摘によれば、この事業の推移に伴い、サンフランシスコ川の死に向かう速さは、さらに加速される可能性もあるということである。事実もう、この川はとぎれとぎれの川とみなされている。

Hoje ainda se fala na transposicao, ela continua na midia, por muitos considerada ainda como a redencao do semiarido. Vamos respeitar a ignorancia dessa afirmacao, afinal o Nordeste e o semiarido continuam desconhecidos para 90% dos brasileiros, mas vale lembrar que 40% do semiarido brasileiro esta em territorio baiano, portanto, longe dos eixos da transposicao.

Quantos ainda falam da revitalizacao? Alguem tem alguma noticia? O Sao Francisco continua em processo de extincao rapida e fatal. Mesmo assim fala-se em projetos de 100 mil hectares de cana irrigada em Pernambuco, 800 mil hectares de cana irrigada na Bahia, transposicao para outros estados e assim por diante.

Certamente voltara a chover, o rio vai recuperar volume, mas as secas serao cada vez maiores e mais constantes. A NASA, anos atras, projetava que o Sao Francisco seria um rio intermitente em 2060. Realizamos a facanha de antecipar a projecao em mais de 40 anos. 

今日、なお分水事業を口にする人がいる。分水事業は今もニュースの見出しに上る。多くの人にとって、これは半乾燥地域の救済事業だと考えられている。こういった見方の無知さ加減に敬意を払おうではないか。なぜなら北東部半乾燥地帯は、ブラジルの90%の人たちにとっては未知の世界なのだ。半乾燥地域の40%はバイーア州内にあり、それゆえこの地域は主要な分水立坑からはるかかなたな所にあることを忘れてはならない。

まだ何人の人がサンフランシスコ川の回復について語るのか。誰か、これに関してのニュースを提供できるのか。サンフランシスコ川は絶滅に向かって進み続けている。急速にそして宿命的にである。それなのになお、ペルナンブーコ州で10万ヘクタール、バイーア州で80万ヘクタールのサトウキビ畑を、サンフランシスコ川の水で潅漑しようとする事業についての議論がなされている。他の州などへの分水事業も同様である。

間違いなく、再び雨は降るだろう。それによりある程度の川の流量は回復するだろう。それでも、干ばつは徐々に強烈になり、頻度も増すだろう。何年も前に、NASAは、サンフランシスコ川は、2060年までには、とぎれとぎれの川になるだろうと予測している。40年以上かけてこの予測を打破しなければならない。

その予測に関して、歴史学者カルロス・ビッテンコーは問う。「それなのに、我々は何を分水しようとているのか」と。

Transpoe-se a seca, transpoe-se a agua que acaba aqui para la. Transpoe-se a barbarie do Sudeste ao Nordeste, aponta-se a proa do navio para o buraco. Soluciona-se a causa aprofundando as consequencias. Circulo vicioso da acumulacao de capital, da coisificacao da vida e dos meios da vida. A transposicao do Rio Sao Francisco bebe da mesma agua de sua extincao.

我々が行っている事業は、干ばつの起る場所を移動させているのだ。水不足の起っている場所を他の場所へ移しているのだ。蛮行を南東地域から北東地域へ移しているのだ。舳先を苦境へと向けているのだ。結果を悪化させるような方法で問題を解決しようとしているのだ。資本集積の悪循環。生活及び生活手段を具体化することの悪循環。サンフランシスコ川を分水しても、消滅していく同じ川の水を飲むことになるのだ。

これまで、北東地域では、長期化する干ばつへの取組が日常的に行われてきた。最近のニュースによると、サンフランシスコ川の水源が散在する南東地域にも深刻な雨不足が迫っている。地理学者でサンパウロからブログを発信しているマルチナ・サンチェスによれば、ブラジル人は、自然には循環や位相といった一定の法則があるということを理解する必要があるということである。そして人類に残された、ただ一つの選択はそれを受け入れることであるとも言う。

Algo esta confundindo os climatologos que nao acertam com as causas da seca prolongada no Sudeste neste ano (2014). Ate as nascentes do Rio Sao Francisco na serra da Canastra (MG) secaram. O nivel dos reservatorios da Cantareira, na cidade de Sao Paulo, esta baixo e comeca a comprometer o abastecimento. E o aquecimento global! Dizem uns. Outros acusam sobre o mau uso dos recursos hidricos, a falta de planejamento, o  excesso de consumo e desperdicio. Todos tem razao e nenhum tem o direito de apontar o dedo para o outro. Os cidadaos terao que aprender a conviver com os extremos climaticos que nao obedecem a decretos nem leis humanas.

今年 (2014年)、南東部を襲った長期の干ばつの原因について、気象学者の間で見解の一致を見ることができず、彼らの間にちょっとした混乱が生じていた。サンフランシスコ川の水源でさえもが枯渇してしまった。サンパウロ市のカンタレイラ貯水池の水位が低下し、給水制限を始めざるを得なくなった。これを地球温暖化のせいだと、言う人もいる。計画性の欠如、水の浪費といった水資源管理の不徹底さを指摘する人もいる。誰もが正しいし、だれも他者を指弾することはできない。我々は、人が作った法令や規則には従わない極端な気候変動と協調して生きる術を学ばなけらばならない。

Vista do Rio Sao Francisco a 8000 metros de altura. "So pra voce ter ideia da imensidao do 'Velho Chico'", por George Vale, publicada no Flickr com licenca do Creative Commons (CC BY 2.0)

高度8,000mからのサンフランシスコ川の写真 「オールド・フランクの全体像を把握できる」2012年10月 撮影:Flickr user George Vale (Flickr, CC BY 2.0)

校正:Asako Yamada