中国当局が市民のオンライン並びに携帯電話のコミュニケーションを見張っているのは公然の秘密だ。しかし、その確たる証拠を目の当たりにすると、驚愕せずにはいられない。
1月7日、北京のニュースメディア「京華時報」は、温州市警察が監視ソフトウェア購入のために書いたという発注書を、微博(訳注:中国版ツイッター)上に公開した。ネチズンたちはいまや警察がどんな監視ツールを使っているのか、そしてそれにいくら払ったのかを正確に知ることができる。
京華時報は、この発注書を温州市警察のウェブサイト上で見つけた。画面キャプチャーを撮り、それがどこから来たものかの簡単な説明を添えてソーシャルメディアに投稿した。この発注書には2つの商品が含まれている。ひとつは携帯電話に「トロイの木馬」を仕掛けるソフトウェア、もうひとつはアンドロイド携帯上で行われる会話やテキストメッセージ、画像メッセージを見張り、iPhoneのユーザー権限制限を解除する「トロイの木馬」が入ったソフトウェアである。前者は10万元(およそ190万円)、後者は4万9000元(およそ90万円)と計上されている。
このニュースが広まると、発注書の載るページは警察のウェブサイトから削除された。しかしネチズンたちは諦めず、今度は他の地方政府の発注書が掲載されたページを探し始めた。ツイッターユーザーの@beidaijinは別の2つの地方政府で納税者からの税金をソーシャルメディアの監視や世論誘導のために使っているのを見つけた。
接前面 图一,温州经济技术开发区公安分局采购单;图二,天津市政府采购单;图三,泰安市人民政府采购单 (第三张中还有推特) pic.twitter.com/nu3tXoyn6j
— 贝带劲 (@beidaijin) January 7, 2015
最初の画像は温州経済技術開発区にある公安分局の発注書、2番目の画像は天津市政府のもの、そして3番目は泰安市人民政府の発注書画像です。
天津市政府が購入したソフトウェアは、ツイッターやフェイスブック、グーグルプラスを含めた海外のソーシャルメディアからメッセージを集めるためのものだ。泰安市当局はデータ収集ソフトウェアとコンテンツ投稿をするソフトウェアを購入した。後者は主な9つのソーシャルメディアにおいて、世論とは反対の意見を国内外で促すことを目的としたものである。
@beidaijinは、ファイルタイプや、「ツイッター」「情報」「発注」などのワードによる、簡単な検索で、少なくとも他に12ほどの地方政府がソーシャルメディアを監視するソフトウェアを購入していたことを突き止めた。
搜关键词「filetype:doc site:.gov.cn twitter 信息 采购」。如图所示,泰安、启东、山东、呼伦贝尔、鄂尔多斯、南京、南宁、合肥、常州、清远、盐城、天津等当地政府均发布了监控国外主流社交平台的相关需求标书 pic.twitter.com/9OFQYLxA0l
— 贝带劲 (@beidaijin) January 7, 2015
検索ワード「filetype:doc site:.gov.cn twitter 信息 采购」(訳注:『ファイル形式:Wordファイル 特定のサイト内検索:gov.cnが付く中国政府のサイト 「ツイッター」「情報」「発注」』の意)。検索結果のキャプチャーには次のような地方政府が表示された。泰安市、啓東市、山東省、フルンボイル市、オルドス市、南京市、南寧市、合肥市、常州市、清遠市、塩城市、天津市など。こういった地方政府が、主な海外ソーシャルメディアの監視を目的とした監視ソフトウェア購入の発注書を、ネット上に投稿していた。