日本の音楽バンドのラッツ&スター [1]と女性アイドルグループのももいろクローバーZ [2]が、音楽番組ミュージックフェアにて黒塗りメイクで共演して、黒人差別ではないかと物議をかもした。黒塗りメイクはブラック・ミュージックをイメージしたラッツ&スターのトレードマークであり、1977年からメンバーの一部が顔を黒く塗っている。ももいろクローバーは今までもプロレスラーやメタルバンドなどとのコラボレーションの際にフェイスペイントをしており [3]、今回の黒塗りメイクもその一環だ。
騒動のきっかけはニューヨーク・タイムズの田淵広子記者 [4]が、人種差別に関する知識が日本人には足りない例として黒塗りメイクの画像を英語で紹介したことである。
Why Japan needs to have a conversation on racism (1) https://t.co/o07lYKoYri [5] Preview of a TV show airing next month. pic.twitter.com/KDoDPVz6xJ [6]
— Hiroko Tabuchi (@HirokoTabuchi) February 12, 2015 [7]
なぜ日本はレイシズムに関して議論する必要があるのか(1) https://twitter.com/BarrySato/stat…来週放送されるテレビ番組の予告編
田淵記者のツイートは700回以上リツイートされ、黒塗りメイクに関する議論を呼んだ。seth0et0holth [8]は田淵記者に同意し、差別の意図がなくても差別になることがあると述べている。
@HirokoTabuchi [9] I agree. Also, "unintentional" racism is a huge problem: people not even necessarily trying to be racist but also not…
— seth0et0holth (@miscastdice) February 12, 2015 [10]
そう思います。「意図しない」人種差別は大きな問題ですね。レイシストになろうとしていなくても……
@HirokoTabuchi [9] not ever having had their privilege checked or not ever having experiences outside their own race/ethnicity/culture.
— seth0et0holth (@miscastdice) February 12, 2015 [11]
自分がどんな特権を享受しているのか確かめなかったり、自分の人種や民族や文化の外での経験がないだけで、レイシストになることがありますから。
一方、matty manzarek [12]は悪意がなくても人種差別主義者になりうるのかと考えこんでいる。
@HirokoTabuchi [9] I'm just trying to understand how it's racist if there isn't malice in it. Arrogant, yes. Racist? Hmm…
— matty manzarek (@matty_125) February 12, 2015 [13]
悪意がないのに人種差別になりうるのかな、って考えてるんだよね。尊大ではあるけど、人種差別かな?うーん
リスペクト表現としての黒塗りを理解する声も多い。E=mcZ [14]は、日本人の考えでは自分の肌を黒くすることは差別でなく、むしろ憧れを表すと例を挙げて示している。
別に黒塗り=黒人差別とは言えない。白人と違って? 黄色人種は日焼けすればだいぶ黒くなる(例 松崎しげる ヤマンバギャル 〜)から、アジア人が黒人音楽に憧れればだいたい日焼けするし、ラッツ&スターやももクロもそこへのオマージュなのでOK。ガングロブームは差別じゃない
— E=mcZ (@EzmcZ) February 13, 2015 [15]
しかし、リスペクトから生まれた表現だと理解した上で批判する意見もある。キラアキラ@大きな羊 [16]は、相手の立場で考えよと促している。
ももクロが顔黒塗りで人種差別だ!という話。差別は意図のある無しとは関係ないので仕方ないと思う。リスペクトと言ったって、肌が黒いのをリスペクトしてるわけじゃないでしょ。
白人や黒人が顔を黄色く塗って演歌もどきを歌ってたら、芸として受け入れても100%愉快というわけにいかないでしょ。
— キラアキラ@大きな羊 (@kila_a_kila) February 14, 2015 [17]
また、Michael. A [18]は、リスペクトから発していても国外で差別と取られるのは仕方ないと考えている。(なお、シャネルズはラッツ&スターが黒塗りを始めた当時のグループ名である)。
彼らの音楽性を考えればシャネルズが黒人をレスペクトして黒く塗ったという話は多分嘘ではないと思う。ももクロも顔のペインティングを色々やってる中でシャネルズのコスプレをしただけ。どちらにも差別意識はないと思う。でもそれで済むのは国内限定だと知っておくべき。
— Michael. A (@nasitaro) February 15, 2015 [19]
しかし、差別と取られかねない表現を選ぶ人間が、必ずしも無知とは限らない。アイビーシラカバ [20]は、ラッツ&スター自身も自らの出自や黒人文化に対する偏見に直面し、黒塗りメイクを批判された上で、自覚的に現在のスタイルを選んでいるのだと説明している。
この田淵さんという記者は当時のシャネルズ時代からの悶着と彼らのパフォーマンス内容を見て言ってるのかな、黒人コーラスグループに憧れた大森のヤンキーだぞw そこまでの覚悟はももクロの方には無いかも知れないが安置過ぎるだろう。
— アイビーシラカバ (@k4_83) February 14, 2015 [21]
katsuren [22]がこの事件に触れた記事 [23]のコメント [24]で書いているように [25]、黒塗り表現を誰も差別と思わない社会が実現されればこのような問題はなくなるのだろう。
黒塗りが人種差別という経緯調べてもあんまりないんだけど、ミンストレルショーがそれであれば悪いのはその認識を定着させたショーであって、黒塗りしても差別と思わない世界を作ったほうが幸せな気はするよなあ