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YouTubeの韓国TVチャンネルから、韓国人はシャットアウト?

カテゴリー: 東アジア, 韓国, テクノロジー, メディア/ジャーナリズム, 市民メディア
MBC's Notice on Their Video Contents on Youtube,

MBCがYouTube上に公開している動画コンテンツについて、MBCから韓国内のユーザーへのお知らせ

韓国の主要なTVネットワーク各社は、自国内のインターネットユーザーを対象に、YouTubeで自社製コンテンツが視聴できないようにすることを決定。そして、報じられたところによると、広告利益の配分増加を目的に、他のオンラインの動画投稿サイトへ移行することを決断した。

この決断は多くの韓国人ユーザーを激怒させた。その特に大きな理由は、韓国の主要TVネットワークが、海外のユーザーへは、依然としてYouTubeでコンテンツ提供を続ける予定だからである。

12月第1週の始めに、MBC [1]SBS [2]tvN [3]そしてJTBC [4]を含む、複数の大手放送局とケーブルネットワーク会社は、YouTube上にある各社の動画について、韓国のIPアドレスを持つユーザーの視聴をブロックし始めた。メディア各社が伝えるところによると、その動向の裏にある動機はお金だろうということだ。YouTubeからネットワーク各社にもたらされる広告利益の配分は比較的小さい (広告利益の約55%、他方で40% [5]だと主張する人たちもいる) 。一方、NaverやDaum Kakaoのような韓国のポータルサイトは、ネットワーク各社と、広告利益の配分はおよそ90%とする [6]ことで合意に達している。昨年の6月には、7社の韓国放送局が提携を結び、各放送局の広告の利益配分を拡大するためYouTubeと交渉を行った。しかし、合意を得るには至らなかった [6]

韓国の人たちは様々なソーシャルメディアサイトに殺到し、ネットワーク各社の決断に合理性がなく近視眼的であり、そして自国韓国の視聴者に対して差別的であるとして非難を浴びせた。 国内の動画共有サイトは、YouTubeほどスムーズに動いてはくれないと多くの人が批判している。 そしてスムーズな視聴をするには、視聴者は追加のソフトをインストールする必要に迫られ、そのゆえに彼らのコンピュータは将来のハッキング攻撃への脆弱性を抱えることになる。 (詳しくは、「韓国人ユーザーとActive Xの確執 [7]」についてのGlobal Voicesの記事をご覧ください)

YouTubeで動画を楽しんでいる韓国のユーザーの一人として言えば、韓国のTVネットワーク各社のコンテンツを視聴できる海外のユーザーがいる一方、国内でのみYouTubeのサービスを禁止した各社の決断は本当に腹立たしい。 韓国の視聴者たちに対し逆差別となっている。 韓国の視聴者は、今後はNaverを使うようになるだろうが、Naverの動画サービスは動作が遅く、動画の解像度についてもイライラさせられる。さらに言えば、Active Xを多用している上にコマーシャルも多すぎることも不満の種だ。 TVネットワーク各社は今までにない最悪の決断をした。

TVネットワーク各社が韓国人に対するYouTubeサービスを停止した理由を探して、私が見つけたのは、各社がYouTubeで得ている広告利益は比較的少ないということだ。この金の亡者たちは、まだ海外の視聴者のことは気にしているくせに、韓国国内に限ってはそのサービスを停止する決定を下してしまった。

YouTubeやGoogleが完璧で何の問題もないというわけではないが、YouTubeでのサービスを停止したネットワーク各社の決断は間違いなく時代に逆行している。各社が、自社コンテンツを視聴できる独自の動画サイトを用意したならば、私も納得したかもしれない。もっと言えば、各社の今回の決断は、各社の今までの活動ともまったく一致していない。以前は、時々彼らが自社のアーカイブを自発的にアップロードしたりして、YouTubeを積極的に利用していた。 [編集者からの補足:各局は自社の人気TVシリーズのほぼ全編をよくアップロードする]

私は韓国内でYouTubeのコンテンツを視聴するために、プロキシを使って視聴阻止の機能を迂回したが、もう本当にうんざりするほど待たされる。過去にもプロキシを使ったことあるが、その時は海外のコンテンツを見るためで、地元韓国のコンテンツを見るためじゃなかった。今の状況は完全にばかげている。

校正:Takako Nose [13]