公共交通機関でのセクシュアル・ハラスメントに対する抗議活動を計画したことを理由に身柄を拘束されていた5人の女性の権利を求める活動家の家族のもとに、裁判期間中の保釈の通知が届けられた。
活動家たちの弁護士の一人であるリャン・シャオジン氏によれば、5人は今後も容疑者として1年間監視下に置かれ、その間は海外渡航などの権利は依然として剥奪されたままとなる。さらに警察はいかなる時でも再び身柄を拘束し、さらなる尋問を行うことができる。
チェン・チューラン、ワン・マン、リン・ティンティン、ウェイ・ティンティン、ウー・ロンロンが逮捕されたのは、国際婦人デーに先駆けた3月のことである。
警察は5人を「喧嘩を仕掛け、トラブルを誘発した」として起訴を試みた。これは最長で5年間の禁固刑となりうる。これに対し、世界中のフェミニストが一丸となり1ヶ月以上に渡って5人の釈放を訴える運動を行ってきた。
この現在の状況は、警察当局と検察官との間に対立が生じたことを示している。ミシガン大学教授であり、自身も釈放に向けた活動に積極的に参加しているワン・チャン氏は、Facebookのグループ「中国人フェミニストを解放せよ」において次のようなコメントを残した。
In the Chinese context, this is the first time that a group of detained social activists are released all at once. This decision suggests: one, the unprecedented huge mobilization of global feminist and other non-governmental organizations’ support is effective. The massive grassroots based petitions not only pushed their own respective state politicians to respond, it also demonstrated clearly to the Chinese government that this petition is not instigated by a nation- based political enemy, but by a global political force – transnational feminists and other grassroots organizations for social justice and equality. This global political force cannot be suppressed by the Chinese state, or any national state. And no nation state should treat this global political force as its enemy. That would be too foolish.
Two, the Chinese government is not a monolithic entity and the decision is a compromise among different political factions or state branches. It can be imagined how ferocious the contentions behind the scenes were over how to handle this hot potato in their hands. The final compromise shows clearly that there were officials in the system who pushed very hard towards a positive solution.
中国のこれまでの状況を振り返ると、拘束されていた社会活動家グループが一度に釈放されたのは今回が初めてのことです。今回の決定からは次のことがわかります。一つ目は、フェミニストやその他NGO団体の支援が前例を見ない規模で結集したことが、効果的であったということ。草の根的に大量の陳情書を集めたことで、まず支援者たちの国の政治家が行動を起こしました。さらに陳情書のおかげで、国内の政敵がこの申し立てをけしかけたのではないと中国政府に示すことができました。フェミニストや、社会正義や平等のため戦う他の草の根組織が国境を超えてつながり、世界単位の政治的力となったのだと訴えることができたのです。このような国際的な政治の力は、中国をはじめ、いかなる国家も抑圧することは出来ません。そしていかなる国家も、この力を敵として扱ってはならないのです。そんなことはあまりにも馬鹿げています。
また二つ目には、中国政府は一枚岩の組織ではないため、今回の判決も異なる政治的派閥や部門の歩み寄りによって出された和解案であるということです。この難題に対処するにあたって裏でいかに激しい論争が行われたか、想像するに難くありません。今回の最終的な和解案からは、前向きな解決に向けて奮闘した政府官僚が体制の中にいたということが明らかに見て取れるのです。
ワン氏は次のことも強調した。
As long as non-governmental organizations’ activism for advocating and implementing laws relating to gender equality or any other issue is defined as criminal, there will be no safe zone for feminists as well as activists working in other realms for social justice. Thus, our efforts cannot stop here with the release of the five.
NGO団体が、ジェンダー間の平等をはじめ、その他のあらゆる問題に関する法律の支持や履行に向けて積極的な活動を行うことが、原状では有罪とされています。これが続く限り、女性活動家や、その他の分野で社会的正義を目指す活動家にとっての安全地帯は失われます。従って、私たちの取り組みは今回の5人の釈放をもって終結してはならないのです。
女性のためのグローバル・サミットの開催が迫っており、これに際してワン氏は国連に対し、5人を政治的迫害から解放するよう強く要請している。
戦いはまだ終わっていない-ー活動家ネットワーク「中国人フェミニストを解放せよ」はこのように警告している。5人の解放のための運動に関するソーシャルメディアのハッシュタグは以下の通り: #FreeTheFive #FreeChineseFeminists #FreeBeijing20Five