# IAm26 (26番目の署名者は私) ―― 宗教的不寛容さを批判する公開書簡がマレーシアで共感を呼んだ

首相官邸。写真 : Flickrユーザーpratantiによる撮影 (CC License)

首相官邸。写真 : Flickrユーザーpratantiによる撮影 (CC License)

マレーシアで、イスラム法の運用についての平和的な対話を実施するよう求める公開書簡が、引退した元高級官僚25名により政府に提出された。(訳注 : 公開書簡は昨年2014年12月に提出された。) この公開書簡は、イスラム教徒が過半を占めるこの国で宗教的不寛容の風潮が高まっていると感じている層をはじめとした幅広い人たちからの支持を受けた。

近年、マレーシア連立与党の有力者たちは、イスラム法をより広範囲かつ厳格に適用するよう働きかけ実現させてきた。彼らはまた、国の人材や資金を投入して、イスラム教への潜在的な脅威に対策を講じてきた。

公開書簡は、政治の多くの場面での行き過ぎた、あるいは公正さを欠いたイスラム法の適用と見られることについて、いくつかの具体例を挙げて問題提起している。

We refer specifically to the current situation where religious bodies seem to be asserting authority beyond their jurisdiction; where issuance of various fatwa violate the Federal Constitution and breach the democratic and consultative process of shura [decision-making]; where the rise of supremacist NGOs accusing dissenting voices of being anti-Islam, anti-monarchy and anti-Malay has made attempts at rational discussion and conflict resolution difficult; and more importantly, where the use of the Sedition Act hangs as a constant threat to silence anyone with a contrary opinion.

現在の状況において、私たちは特に以下のことについて問題があると考えています。各宗教組織はその管轄を超えることにまで権威を振るっているように思われます。発行されている様々なファトワー (訳注 : イスラム教の有資格者による宗教見解・勧告) は連邦憲法の規範に違反すると同時に、民主的で合議的な決議プロセス、シューラにも違反しています。(訳注 : シューラは協議・相談・諮問を意味する、イスラムの伝統的な概念のひとつ。) 自分たちと異なる意見に対して反イスラム・反君主制・反マレーといった言葉で非難するイスラム教至上主義者の非政府組織が台頭し、理性的な議論や問題解決の試みを難しいものにしています。そして何よりも、扇動罪の適用が異論を持つあらゆる人を黙らせるための恒常的な脅威になっています。

公開書簡の中で彼らは、「この国におけるイスラム法の運用についての、公開的で筋の通った討論や議論の実施に向けて」、ナジブ・ラザク首相が「自身の指導力を行使する」ことを求めている。彼らは併せて、以下のように述べている。

As Muslims, we want Islamic law, even more than civil law, to meet the highest standards of justice precisely because it claims to reflect divine justice. Therefore, those who act in the name of Islam through the administration of Islamic law must bear the responsibility of demonstrating that justice is done, and is seen to be done.

イスラム法は神の正義を反映するものとされており、まさにそれゆえに、イスラム教徒としての私たちはイスラム法が市民法以上の、最高の正義の基準となることを望んでいます。つまり、イスラム教の名の下にイスラム法を運用する者は、それにより正義がなされたこと、なされたと認められることを、説明する責任を負わねばならないのです。

この公開書簡はまたたく間に広まり、書簡に触発された他の「穏健な」人々の間からも宗教的、あるいは民族的な差別に対する反対の声があがった。93の非政府組織が、公開書簡に署名した25名の引退した高級官僚たちへの支持を表明した。仏教・キリスト教・ヒンズー教・シク教・道教マレーシア協議会 (MCCBCHST) も、彼らが書簡を提出したことに賛辞を送り、これに加わった。

多くのマレーシア人が、ツイッターのハッシュタグ#KamiJuga25 (私たちも25人に賛成) を使って、「25人の著名人」への連帯の意を示した。#KamiJuga25による首相への請願は、署名サイトChange.orgを通じてさらに広まった。

We cannot and must not stand silently by and allow faith to be misused as a weapon to suppress peaceful dissent, intellectual discourse and opinions and to oppress those who would challenge and support contrarian positions. It is unjust and we should never tolerate the use of faith to divide us.

私たちは信仰が、穏やかに表明された異論や理性的な論議や見解を抑えつけるために、あるいは自分たちを批判したり自分たちとは反対の立場を支持したりする人々を威圧するために、武器として使われるのをおとなしく傍観し黙認してしまうことはできないし、そうすべきではありません。それは不当なことであり、私たちは互いを分断するために信仰が利用されることに対して決して寛容であってはなりません。

ハッシュタグ「I am #26」を使ったネット署名は、さらに多くの人の賛同を集めた。このハッシュタグは「26番目の署名者として連帯の意を示し、共に立ち向かうことによって」書簡に名を連ねた25名の立場を支持する、という意味で名づけられた。

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