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台湾:写真で見る、変わりゆくタオ族の暮らし

カテゴリー: 東アジア, 台湾(中華民国), メディア/ジャーナリズム, 先住民, 写真, 市民メディア, 芸術・文化
This work by Wen-Yen Wang is licensed under CC BY-NC-ND. [1]

ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

台湾の蘭嶼(らんしょ) [2]に住む原住民族タオ族は、周囲の世界が変わっていく中で、自分たちの故郷と文化を守るため長く戦ってきた。 [3]

2014年、この島に、初めてのコンビニエンスストアチェーン店がオープンした。近年では、その美しいサンゴ礁とタオ族独特の文化のために、人気の観光地にもなっている。

観光客の数が増え続けても、仕事や収入の増加は期待できず、ごみ問題や環境汚染問題が深刻化するだけではないかと危惧する人も多い。タオ族は伝統的に漁業に頼って生活してきたが、この生活習慣が今危機にさらされている。

ウェンイェン・ワン [4]は定期的にこの島を訪れ、タオ族の人々の物語を捉えたフォトエッセイを執筆してきた。最近この作品は、台湾報道写真研究会 [5]主催の国際写真コンテストにおいて、複数の部門で賞を受けた。以下は彼の写真と解説の一部である。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

退潮的夜晚,一位蘭嶼人到海邊抓螃蟹。
他在黑色的礁岩上跳躍,浪花不時拍打上來,不見他什麼動作,手中卻已多了幾隻螃蟹。他偶爾也跳進水裡,尋找躲在水底岩縫中的龍蝦。

夜、波の低い時に、ひとりの蘭嶼民がカニを捕りに海へ行った。彼は黒い岩礁に飛び乗った。時折波がその岩に砕けた。私が気づかないうちに、彼はすでに手に数匹のカニを掴んでいた。時々彼は水に飛び込んで、水底の岩の間に潜んでいるロブスターを探した。

達卡安 [7]是位在蘭嶼新舊時代交替下典型人物,他從小就不愛上學所以識字不多,但卻是漁人部落中有名的海王子,對於海洋的知識極其豐富,許多蘭嶼人都會前來向他討教捕魚技術。 在傳統的達悟文化中,會抓魚的男性是女性絕佳的擇偶對象,但達卡安至今仍然單身一人,因為早已進入貨幣經濟社會的蘭嶼,對於男人的捕魚能力已不那麼看重。而達卡安即使徒手潛水抓魚功夫一流,在蘭嶼也無法靠此獲得什麼金錢收入,所以他也開始在飛魚季 [8]過後,到臺灣找尋工作賺錢。

ダカアンという人物は、蘭嶼の生活習慣の変化を象徴する典型的な例である。子供の頃、彼は学校に行くのが嫌いで、字があまり読めなかった。しかしこの漁村では、彼は有名な「海の王子」である。彼は海についてたくさんのことを知っており、多くの蘭嶼の人々が漁の仕方を教わりに彼のところへやってくる。伝統的なタオ族の社会 [9]では、魚を捕まえられる男性は女性たちにとって最も理想的な配偶者であった。しかし、ダカアンは今もなお独身である。貨幣経済に足を踏み込んだ蘭嶼民たちが、もはや漁の技術に価値を置かなくなったためだ。ダカアンが水の中で素手で漁をする素晴らしい能力を持っていても、それで多くの収入を得ることはできない。こうして彼は、トビウオのシーズンが終わった後に台湾本土へ出稼ぎに行くようになった。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

達卡安早上下海巡視他所設置的沉底網。

朝、ダカアンは海底に設置した漁網をチェックしに海へ行く。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

達卡安在海浪拍打的岩岸邊,游泳撿拾蠑螺。

岩礁と海面の間を泳いでサザエを捕る。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

達卡安正在將他所網獲的十多尾白毛魚收起。

マナガツオがたくさん入った漁網を回収する。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

為了設置沉底網,達卡安必須潛入6米多的海底,搬時[石]頭壓住網底。

海底に漁網を設置するため、ダカアンは6メートル下まで潜り、岩で網を固定しなければならない。

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在上浮至海面的途中,達卡安正與他方才捕捉的章魚搏鬥。

海面に戻る途中、とらえたばかりのタコと格闘する。

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夜間潛水的達卡安,正在找出藏在岩洞內休息的魚。

夜潜りの中、岩礁の洞窟に隠れる魚を探す。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

在一個冬天夜潛結束後,達卡安使用山壁間的泉水洗澡取暖,即使在寒流來襲,他下海依然不穿任何防寒衣。

冬の夜潜りの後、川で水浴びしてからだを温める。寒冷前線が通過している時も、彼はウエットスーツすら着ない。

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在海上開船捕飛魚以及釣魚的達卡安。

ダカアンは、ボートに乗ってトビウオを捕まえ、釣りをする。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

飛魚季過後,在臺灣工作的達卡安沒有機會下海,與朋友吃飯以及唱歌成了唯一的娛樂。

トビウオ漁のシーズンの後、ダカアンは台湾に働きに出る。海を離れると、友人と食事をし、歌をうたうことだけが彼の楽しみになる。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

阿文在蘭嶼長大,經營著雜貨店與機車租賃,雖然幾乎不下海,對於蘭嶼的海與土地,他卻比任何人更加關切與擔憂,深怕自己美麗的家鄉土地總有一天會因會環境破壞而消失。他開始續投入島上的資源回收工作,自己接洽的回收廠商,購入一台壓縮機,到全島各處放置網袋,甚至為此還買了一台貨車。每隔幾天就開著這輛貨車,去收回已裝滿瓶罐的網袋,並放置新的空網袋。 為了置放這些瓶罐,他還向那不贊成他作此事的父親要了一塊土地,把本來應該種植芋頭的良田,變成他的儲存場地。別人的田是種出芋頭地瓜,他的田卻是長出一堆垃圾。

アウェンは蘭嶼で育った。自分の食料品店を持ち、レンタルバイクビジネスも営んでいる。彼はほとんど海に行くことはないが、他の誰よりも海と島のことを気にかけている。自分の美しい故郷が環境破壊によって消えていってしまうことを危惧し、彼はリサイクル活動に取り組み始めた。リサイクル会社と連絡をとって、ボトルや缶がいっぱいに詰まったゴミ袋を集め、そして新しいゴミ袋を設置するのだ。彼はこの試みのために、トラックまで購入した。数日ごとに、島中をトラックでまわり、ボトルや缶の詰まった袋を回収し、新しいゴミ袋を設置していく。このボトルや缶の保管場所として、彼は自分の仕事に反対している父親に、土地の一部を譲ってくれるよう頼んだ。この土地は、本来ならタロイモ栽培に適しているようだ。ほかの人が所有する区画では、タロイモやサツマイモが育てられている。だが、彼の土地ではゴミが増えていくのだ。

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ウェンイェン・ワンによる作品 CC BY-NC-ND

江民軍是朗島部落的其中一為大船船主。傳統的蘭嶼船團組織是以家族為單位,而能擔任船主的人,除了要家族興旺,也必須受眾人敬重。現今因為社會文化變遷,傳統的船團組織早已不再,而碩果僅存的幾位大船船主年事都已高。

ミンジュン・ジャンは、朗島村の大きな船の船長である。伝統的に、蘭嶼島の漁船の操業は家族で行われる。漁船の船長は大家族を持ち、尊敬される人物でなければならない。しかし、社会や文化が変化した結果、こうした家族操業の漁船はもはや存在しない。残っている船長たちも、皆高齢になってきている。

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校正:Maki Ikawa [22]