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バングラデシュ人の蜂起:性暴力事件を受けて

カテゴリー: 南アジア, バングラデシュ, デジタル・アクティビズム, メディア/ジャーナリズム, 人権, 写真, 女性/ジェンダー, 市民メディア, 芸術・文化, 若者
国内で起きた性暴力に対する、インターネットを使った抗議行動。写真:হোক প্রতিরোধ/Hok Protirodh (立ち向かおう)使用許可取得済。 [1]

国内で起きた性暴力に対する、インターネットを使った抗議行動。写真:হোক প্রতিরোধ/Hok Protirodh (立ち向かおう)使用許可取得済。

ベンガル暦の正月祭 [2]に、バングラデシュのダッカ大学内で複数の女性に対する性暴力事件が起きた。この事件の後、インターネット上 [3]だけでなく様々な形での抗議活動が行われている。

2015年4月14日の夜に首都ダッカで起きた事件は、悲惨かつ衝撃的なものとなった。ダッカ大学教員学生センター近くのスフラワルディ公園内で、30人から40人の若者の集団が、ベンガル暦正月祭から帰宅途中の女性約20人に性的暴行 [4]を働き、その一部始終を監視カメラ映像が捉えていたという。

居合わせた人々の中には、止めようとした者もいた。活動家リトン・ナンディもそのひとり [5]だ。彼は事件の最中に腕を骨折していたが、bdnews24.comにこう語った。

one woman fell down when the rouge youths started assaulting her and tried to take her clothes off in public. They started beating me when I tried to save her. I collapsed too and broke my arm during the attack.

興奮した若者たちが1人の女性に暴行を始め、その場で服を脱がされそうになった女性が転倒しました。助けようとしたら、あいつらは僕を殴り始めたんです。そのとき僕も倒れて、腕の骨が折れてしまいました。

今回の暴行事件は何百人もの人々 [6]の前で起こったものであり、監視カメラの映像にもうつっていた上に、事件当時警察がその区域で群集の対応に当たっていたにも関わらず、当局 [7]は当初、事件については何も知らないと話していた。事件から5日後に警察側がようやく事件の発生を認めたが、それほど重要視している対応ではなかった。さらには、警察に引き渡された犯人の1人がその後釈放されたと判明した。それを受けて高等裁判所は、警察監査官及びダッカ大学副総長に、加害者への処罰に関する報告書の提出を命じた。 [8]

警察当局はいまだに犯人の特定及び逮捕には至っていないが、フェイスブックやツイッターの利用者たちが加害者を特定すべく、事件関連の写真 [9]や静止画をじっくりと調べている。

国内で起きた性暴力に対する、インターネットを使った抗議行動。写真:হোক প্রতিরোধ/Hok Protirodh (立ち向かおう)使用許可取得済。 [10]

国内で起きた性暴力に対する、インターネットを使った抗議行動。写真:হোক প্রতিরোধ/Hok Protirodh (立ち向かおう)使用許可取得済。

 

今回の事件で人々の怒りに火が付き、その怒りを画期的な抗議活動 [11]へつなげている人々もいる。ダッカ大学で美術を専攻する学生は、シャハバグ警察署前にバリケードを張り、女性を象徴する洋服や腕輪やロリポップ(訳注:棒付きのペロペロキャンディ)を警察当局に見せることによって、事件に対する怠慢捜査に抗議を示している [12]

ソーシャルメディア内では、警察当局の無能ぶりや、証言をしない目撃者への怒りを表す写真や動画が瞬く間に広がった。有名女優Mumtaheena Buni Toya [13]は事件についてのスピーチ動画を公開したが、その視聴者数は15万人以上にのぼる。

Translation: #Boishakhi Burkha - Fashion of the future - And still the victim gets these comments - "Haram Burkha", "The eyes are visible", "You can see the hands", "foreign culture", "The Burkha has Hindu designs".   Image via [14]

翻訳:#Boishakhi Burkha。未来のファッション。それでもなお、被害者はこう責められる。「イスラム法に反するブルカ [15]だ」「まだ目が見えているじゃないか」、「手も見えている」、「外国文化に影響を受けてしまっている」、「ブルカがヒンドゥー教のデザインじゃないか」写真:হোক প্রতিরোধ/Hok Protirodh (立ち向かおう)使用許可取得済。

hok protirodh [16](立ち向かおう)」や 「彼女の味方」 [17]などと名前の付いた多数のフェイスブックコミュニティページが立ち上げられ、女性たちに性暴力に立ち向かうよう呼びかけている。

被害者批判の考え方

ジャーナリストのAantaki Raisa氏 [18]はフェイスブックに投稿した動画の中で、暴力行為について批判されるべきは女性である、との考えに失望をあらわにした。

“ও অমন কাপড় ক্যান পরছে? ওরা ওইখানে ক্যান ছিল? ইজ্জত বাঁচাইতে চাইলে অমন জায়গায় যাইত না।” ধর্নষকারীদের মধ্যে ভিক্টিম ব্লেমিং খুবই কমন মেন্টালিটি। ভিক্টিম ব্লেমিং জিনিসটা অনেকটা এরকম: ধরেন আপনার বাসায় ডাকাতি হইছে এবং মানুষ বলতিসে…ভাই এত দামী জিনিস ক্যান কিনসিলেন?টাকা পয়সা বাসায় ক্যান, ব্যাংকে সব রাখা উচিত, কার্ড ইউজ করবেন… ভাই বাসায় পুলিশ রাখলে এমন হইত না। ভাই এখানে ক্যান বাসা নিতে গেলেন? ডাকাতের কাছে নিজের সম্পত্তি হারায় এমন কথা শুনলে কেমন লাগতে পারে? ভাবেন একটা মানুষ যখন ধর্ষিত হয়, তার শরীরের সবচেয়ে সেনসিটিভ জায়গা যখন ক্ষতবিক্ষত হয়, তখন তাঁর এমন কথা শুনে কেমন লাগতে পারে। যখন রাস্তা ঘাটে অন্যের হাত এসে আপনার কাড়প টেনে ছিঁড়ে ফেলে, তখনই বা এমন কথা শুনলে কেমন লাগে?

「なぜそんな洋服を着ていたんだ? なぜそんな場所にいたんだ? 女性としての名誉を守る気があったなら、そんな場所には行かなかったはずだ」これらは強姦犯の決まり文句です。被害者に責任があるというのです。彼らの理屈を例えるなら、強盗に入られた被害者がこんなふうに責められるようなものです。「そんなに高価な物を持っていたからだ。貴重品は全部、銀行の貸金庫に預けておくべきだった。現金でなく、デビットカードやクレジットカードだけを使え。自宅に警備員を置くべきだった。なぜ狙われやすい地区に家を借りたのか」。強盗に財産を盗まれたら、どんな気持ちになるでしょうか。強姦され、体を傷つけられた後に、そのような理屈で責められる女性の気持ちを想像してください。公共の場で性的嫌がらせを受け、洋服をはぎ取られた上にそんなことを言われたら、どんな気持ちになるでしょうか?

この被害者批判の精神は部分的に、近年バングラデシュ国内で影響力を増しているイスラム過激派の考えから来たものだ。イスラム原理主義ヘファジャット・イスラミ党 [19]の指導者シャー・アフマド・シャーフィ師は、今回の事件の原因が女性の服装のつつしみの無さ [20]にあるとコメントした。さらに同師は男女共学を批判しており、教育機関や職場での男女分離を主張している。

それに対してバングラデシュ人権委員会会長は、今回の事件の非が [21]、イスラム教に対する狂信と家父長制にあるとしている。

ベンガル正月祭にダッカ大学内で起きた性暴力事件に抗議するため、学生たちが大学周辺に集まり、黒い手形を押した垂れ幕を作成する様子。写真:Sk・ハサン・アリー 著作権:Demotix(2015年4月20日) Copyright Demotix (20/4/2015) [22]

ベンガル正月祭にダッカ大学内で起きた性暴力事件に抗議するため、学生たちが大学周辺に集まり、黒い手形を押した垂れ幕を作成する様子。 写真:Sk・ハサン・アリー 著作権:Demotix(2015年4月20日)

トップジャーナリストのファルザナ・ルパ氏は、4月18日にエカットルテレビで同事件について放送 [23]直後、イスラム武装組織のサブリーダーと名乗る人物から、殺害をほのめかす脅迫を受けた [24]と述べた。同テレビ局では、警察が学内に設置した監視カメラがとらえた、1時間にわたる映像が解析されていた。

今回の集団暴行事件の背景に、実は過激派宗教グループの存在があるとすれば、イスラム文化に反して名づけられたベンガル暦正月祭がターゲットにされたのは、今回が初めてではないのもうなずける。2001年には、ダッカ大学キャンパス近くで爆発した爆弾により、9名が死亡 [25]する事件が起きている。

校正:Maki Ikawa [26]