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シンガポール:午後10時半以降、公共の場での酒類の販売と飲酒を禁止

カテゴリー: 東アジア, シンガポール, 健康, 市民メディア, 旅行, 法律, 行政
Cartoon by Andimoo Studios, used with permission [1]

Andimoo Studiosによる風刺画(許可を得て使用)

シンガポールでは、午後10時半から午前7時まで公共の場での酒類の売買と飲酒を禁止する法律 [2]が制定された。

2015年1月30日に議会で可決された、酒類の供給と消費を制限する法案は4月から施行 [3]される。初犯の場合は1000シンガポールドル(約8万7000円)の罰金を課せられる一方で、2回目以降の違反者には3ヶ月以内の禁錮と2000シンガポールドル(約17万5000円)以下の罰金を課すことができる。

政府は、このような対策が必要になったのは飲酒行為に関する苦情が多すぎたからだとしている。しかし、ジャーナリストのベルタ・ハリアンは、そういった問題に対処すべき法律(迷惑行為に関する法律)が既に存在していることを政府に提起した。「すでに飲酒行為に対処する明確な手段が存在しているのに、より強力な手段を用いるのはなぜか」と彼女は問う [4]

独立系のニュースサイトであるThe Online Citizenで記事を書くAriffin Shaによれば、この法律は「市民に対する政府の家父長的トップダウン型アプローチを強く明示している。」
さらに彼はこう書く [5]

We may have one of the best, if not the best, education systems in the world and the highest number of millionaires per capita in the world, but we still need our Government to play the role of a nanny.

我々の国は最も優れているとまでは言えずとも、世界の中で一流の教育制度を持っているかもしれないし、人口に対する億万長者の割合は世界で最も高い。しかし依然として政府には福祉国家の役割を果たしてもらう必要がある。

チャン・ジュン・イーは中小商業者が新たな規制によって苦しむ [6]こと恐れている。

I don’t sell alcohol, but it’s not difficult to imagine how such regulations will affect our poor, struggling shopkeepers. Switch to dried goods and vegetables? Are these folks serious? So how much rent are the shopkeepers paying? Can you survive selling vegetables and dried goods at such locations?

私はアルコールの販売はしませんが、そのような規制が我々のように貧弱で苦労している小売店主にどのような影響を与えるかは想像に難くない。
乾物や野菜の販売に切り替える? 彼らは正気なのか? 店主がいくら賃料を払っているか知っているのだろうか? 現在の立地で野菜や乾物を売って生き残れるのだろうか?

アルコールの提供を伴う公園でのピクニックや公共の場でのパーティを行いたい者は、許可を得る必要がある。ニュースサイトCoconuts SingaporeのライターであるGavin Khooは、この規制で大勢の人が不便 [7]を感じるだろうと考える。

Picture this. Romantic night out with the one you love, sitting by the waterfront, maybe watching the fireworks on New Year’s Eve – it’s the perfect time to pop the question. Somehow, a bottle of effervescent grape juice just doesn’t cut it.

想像してみてください。愛する人と水辺に座って花火を見ながら過ごすロマンチックな大晦日の夜のデートを。結婚を申し込むのに完璧な時間です。
なんとなく、炭酸のグレープジュースではうまくいきません。

こういった批判の声に対して政府は、独自の調査によれば5人中4人(81パーセント)の人が新しいアルコール規制に賛成 [8]だと発表した。オードリー・カンは法律に賛成 [9]するシンガポール人の一人である。

I can see the benefits of the law, even if I hate it on the sole basis of having to pay more for alcohol or finding alternative places to drink…It is the anti-social behavior that the Bill is seeking to curb.

アルコールへの出費が増えたり、お酒が飲める他の場所を探す必要がでてくる点に限って言えば嫌な法律だが、私はこの法律には公益性があると思う。法案の可決を阻止しようとすることは反社会的態度である。

多くの人が、在留外国人や警察を巻き込んだ2013年12月の「リトルインディア」暴動 [10]を受けて対策が導入されたと考えている。政府は飲酒が暴動の発生の要因であったと発表している。

しかし、暴動は単発の事件であり、それを理由に外国人への差別が行われてはならないと主張したのは政府だった。政府は自身の主張を守るべきである。というのも、外国人労働者の寮を公共の場と定義した [11]点において、酒類規制法は差別的と捉えることができるからである。つまり、シンガポール人は自宅で飲酒が可能であるのに対して、寮に住む外国人労働者は就業時間外も飲酒が禁止される。

さらに悪いことに、この法律は警察に対して、いかなる施設や公共の場でも規定違反が疑われれば捜査できる権限を与える。低収入の外国人労働者に対する偏見があるとして一定数のシンガポール人が法律を批判していることは不思議ではない。

しかし、警察に捕まることなく、シンガポール人が公共の場で飲酒をする方法がある。Alvinology.comでは、ユーモアのあるアドバイス [12]を提供している

玄関先でちょっと外飲みする方法

自宅のドアの内側はプライベートな空間ですよね?もし警察が来たときは後ろに下がってドアの内側に入りましょう。警察が行ってしまったら、足を一歩外に出してみましょう。するとあなたは再び公共の場での違法な飲酒という危険に生活をさらすことになります。