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パラグアイ:レイプされた少女が命がけの出産。中絶禁止法は変えられるか

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世界保健機関(WHO)によれば、16歳未満の妊産婦が死亡するリスクは、20歳以上の場合に比べて4倍に増加するという。写真:Flickr(撮影:フィリップ:クリエイティブ・コモンズ)

パラグアイの首都アスンシオンでは毎年、多くの中絶権利擁護者や女性人権活動家たちが街頭に出て、堕胎罪に抗議するデモを繰り広げている。今年のデモ参加者数は約2倍となった。というのは、マイヌンブちゃん(11才)の事件から、中絶がタブー視されている問題が再び注目されるようになったからだ。

この事件が中絶禁止法の問題として広く知られるようになったのは、パラグアイの少女マイヌンブちゃんが義父から繰り返しレイプされ、妊娠したからだ。彼女はこのときわずか10才だった。パラグアイ政府は中絶を禁止しているため、マイヌンブちゃんは妊娠の苦しみに9か月も耐えなければなかった。そして今年の夏、彼女は早産で赤ちゃんを出産した。パラグアイ当局は、少女の命が危険にさらされない限りは、中絶できる条件は満たされないと断言した。

この11才の少女は、首都アスンシオンの赤十字病院で出産した。これほど幼い少女が自然分娩で出産することは、非常な危険を伴う恐れがある。医師がそう判断したため、赤ちゃんは帝王切開手術で取り上げられた。幸いなことに、マイヌンブちゃんと生まれた女児の容態はともに安定していた。しかし、このようにトラウマとなる体験をした幼い母親に、この先どういう影響が出るのか、それは時がたたねばわからない。

他のラテンアメリカ諸国のほとんどが、人口妊娠中絶を違法としている。それはパラグアイでも同じだ。法律によれば、中絶が認められるのは、母体の命に関わると判断された場合だけだ。また当局は、マイヌンブちゃんの妊娠は命を脅かすものではないと判断し、少女が妊娠により肉体的あるいは精神的なトラウマに苦しむことについては考慮されなかった。

世界保健機関(WHO)によれば、16歳未満の妊産婦が死亡するリスクは、20歳以上の場合に比べて4倍に増加するという。出産に伴い肉体的問題や精神的問題が起こる確率も、著しく高まる。

アムネスティ・インターナショナルアメリカ支部のエリカ・ゲバラ氏は、マイヌンブちゃんが生きているのは幸運な例だと警告している。

The fact that Mainumby did not die does not excuse the human rights violations she suffered at the hands of the Paraguayan authorities, who decided to gamble with her health, life and integrity despite overwhelming evidence that this pregnancy was extremely risky” – Erika Guevara, Americas director at Amnesty International

マイヌンブちゃんが死ななかったからといって、パラグライ政府が彼女の人権を侵害した事実が許されるわけではありません。極めてリスクの大きい妊娠だという証拠が確実にあったにも関わらず、政府は彼女の健康と命と心を賭けの対象にしたのです。(アムネスティ・インターナショナルアメリカ支部:エリカ・ゲバラ氏)

マイヌンブちゃんの事件により、バラグアイ中で多くの人が苦しんでいる不当な扱いが明るみに出た。中絶禁止法は、社会の最貧困層に最も大きな影響を与えている。富裕層出身の少女なら、外国または私立病院へ行き、中絶禁止法に触れる処置を安全に受けられていたのだ。マイヌンブちゃんにとって残念なことに、家族はパラグアイ法から逃れるすべを持たず、彼女の命を危険にさらすしかなかった。

アムネスティ・インターナショナルのゲバラ氏は、パラグアイ人女性に貼られたイメージに対し、次のように問題を投げかけている。「パラグアイの中絶禁止法には、子どもから大人まで全ての女性に対する差別が根深くしみついています。パラグアイの法律制度や社会では、女性は子育てをする道具にすぎないと考えられているようです」。中絶禁止法は、自分のからだに起こったことについて、女性が自分で判断する権利を否定するものだ。パラグアイ政府は中絶を選ぶ権利を女性から奪い、自分のからだのことは自分で決めるという 女性の意志を尊重していないとゲバラ氏は主張する。つまり現状では、「昔からある古くさい考え方」が幼い少女の命より重要視されていると言うのだ。

パラグアイはカトリック信者の多い国であり、成人の89%がローマ・カトリック教会に属している。パラグアイ人女性の大半が、生命は受胎に始まると信じているため、望まぬ妊娠でも中絶しない道を選ぶ状況は十分に起こりうる。

アヴァアズやアムネスティ・インターナショナルのような団体は、15未満の少女の中絶を合法化するためのキャンペーンや嘆願書作成を計画してきた。しかしながら政府当局は、断固として意見を変えていない。

女性たちは、幼いマイヌンブちゃんに対してツイッターで共感を示した。政府の決断に対する抗議では、#niñaenpeligro (#危機にさらされた少女)というハッシュダグが使われた。

#危機にさらされた少女。パラグアイ政府は、レイプされた幼い少女の妊娠中絶は基本的人権の一つだと認めています。

パラグアイの「#危機にさらされた少女」が11才でレイプされて妊娠し、中絶を認められなかった事件に対し、ローマ法王が自らのお考えを「危機にさらされた少女」というハッシュタグをつけて投稿してくださるのはいつ?

マイヌンブちゃんのような事件は、パラグアイだけでなく、ラテンアメリカ中で非常によくあることだ。16才のエスペランシータさんが中絶手術を認められず、その後白血病で亡くなってから今月で3年になる。十代の少女が悲劇的な死を遂げて以来、ドミニカ共和国では法律が改正され、今では、母体が極めて危険な場合に限って中絶が認められている。

パラグアイ当局が強調するのは、政府は幼児虐待や未成年者の妊娠問題との闘いを続けており、未成年者虐待の判例を取り上げ、政府内で話し合いをしているということだ。しかしながら、性と生殖に関する権利センターでラテンアメリカおよびカリブ諸国の擁護アドバイザーを務めているポーラ・アヴィラ・ギレンが主張するのは、国が「女性のことを第一に考える妊娠中絶法」を作り、被害者に対するケアにもっとしっかり取り組むべきだということだ。

公表された数字から判断すれば、パラグアイでは、10才から14才までの少女が1日当たり2人出産していることになる。そしてたいていは、自宅で近親者から性的虐待を受けた結果だという。

校正:Motoko Saito