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パレスチナに希望と安らぎを。ガザにあらわれた「色彩地区」

カテゴリー: 中東・北アフリカ, パレスチナ, 市民メディア, 戦争・紛争, 抗議, 朗報, 芸術・文化, 若者
Gaza's Al Zaytoun is known as "the colorful neighborhood." (Source: Institute for Middle East Understanding, IMEU)

「色彩地区」として知られるガザのアル・ザイトウン地区。写真 [1]は「中東理解のための研究所(IMEU)」提供。

これは、ある町の暮らしを伝える本当の話なのだが、たぶん大好きな絵本を読んでいるような気持ちになるだろう。「色彩地区」として知られるガザのアル・ザイトウン地区は、陽気な彩りに包まれている。

主人公はモハメド・アル・サエディ。今年の初めに「色彩地区」プロジェクトを立ち上げた、先見の明のある芸術家だ。ボランティアの協力を得て通りに溢れだした色は、近くの家々30軒あまりを飾りたてた。アル・ザイトウン地区の壁は、絵のかわりに鉢植えをつるした色鮮やかな額縁、夕焼けでボートをこぐ姿を描いた壁画、建物の角をまわり込むように描かれたつる草などでいっぱいだ。

アルジャジーラによると [2]、この地区に住む人々は、市街地に作った菜園にルッコラやトマト、なす、すいかを植えはじめた。緑と赤と紫も加わって虹色地区だ。

アル・サエディは活動を始めた動機について、ビデオの中でこう話している。

Wars create devastation, coupled with the effects of the siege, nerves are frayed resulting in long term psychological suffering. So I wanted to create a serene atmosphere full of flowers and colors in an attempt to heal the suffering and psychological affects of the siege. From the stones of destruction, God willing, we will build gardens and basins full of flowers and soothing colors.

紛争による荒廃や包囲攻撃に苦しんで神経がずたずたになった人々は、その後も長く心理的に苦しみ続けることになります。だから私は、花に包まれた彩り豊かで穏やかな空間を作り上げ、攻撃で傷ついた心と体をいやしてあげたいのです。がれきだって、神のおぼしめしがあれば、花や心安らぐ色にあふれた庭や鉢植えの花壇になるのですから。

2014年7、8月のイスラエルによる50日間ガザ攻撃に関するグローバル・ボイスの特集 [3]によれば、ガザ市街の40パーセント近くが破壊され、民家も9万6000軒が巻きこまれた [4]

アル・ザイトウン地区の復興は、パレスチナのラマッラーに本部を置くNGO、テイマー地域教育研究所の基金によるものだ。ウェブサイト [5]によると同研究所はガザとヨルダン川西岸で活動中で、文化再生プログラムや基礎教育を進めたり、創造力豊かな表現にふれて子どもたちが健やかに成長できるよう尽力している。

近くに住むマラム(10歳)とアスマア(9歳)が、ビデオの中でこう話している。

We felt very happy when they painted the neighborhood. It has become very beautiful and when we play in it, we feel joy, not like before.

私たちはとてもうれしかったの、あの人たちが絵を描いてくれたんだもの。おかげでこのあたりはとても美しくなったし、前と違って今は、ここで遊んでいて楽しいの。

校正:Takako Nose [6]