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プレイ・ラング森林の破壊に対してカンボジアの僧侶たちが抗議

カテゴリー: 東アジア, カンボジア, 先住民, 市民メディア, 抗議, 政治, 環境, 経済・ビジネス
Cambodian monks gather in the town of Battambang to demand protection of Prey Lang forest. [1]

プレイ・ラング森林の保護を求めてカンボジアの僧侶がバタンバンに結集

カンボジアの僧侶たちが2015年の7月以来、あちこちの街路に結集し続けている。この行動は、急速に進んでいるプレイ・ラング森林の破壊を防止するために強力な施策を実施するよう政府に求めるものである。プレイ・ラング森林は、カンボジアおよびインドシナ半島の低地に成立する最大規模の乾燥常緑林である。

プレイ・ラング森林は、3,600平方キロメートルの広さを持つ森林であり、この中には、巨大な高級木材となる樹木が繁り、また、少なくとも20の絶滅危惧植物種と、27の絶滅危惧動物種が存在する。この森林の10キロメートルの範囲内に、70万人以上の人が住んでいる。その住民の大半は、クーイ族と呼ばれる少数民族であり、彼らは何世紀もの間プレイ・ラングの森林を守ってきた。

近年、カンボジア政府は農業および鉱業の発展を図るべく、 国有地使用権 [2]を内外の企業に付与した。しかし政府が各企業と結んだ土地使用契約の多くには、プレイ・ラング森林などの保護区が含まれている。また、国有地使用権付与をめぐる透明性の欠如ゆえに、国中にさまざまな法的論争や暴力的紛争が巻き起こった。

Image from the Facebook page of 'Prey Lang - It's Our Forest Too' [3]

フェイスブックページ「プレイ・ラングは我らの森でもある」の画像

2011年、カンボジアの活動家と先住民族は、「アバター」 [4]運動を起こし、プレイ・ラング森林を破壊する行為に対して糾弾を行った。ハリウッド映画の「アバター」に登場するナヴィ族に扮(ふん)して抗議に参加した人たちは、プレイ・ラング森林における樹木の伐採とゴムの木の植林を中止するよう政府に訴えた。

プレイ・ラング森林保護運動は、今日も続けられている。プレイ・ラング森林内の森林伐採が、止むことなく続けられてきたからだ。そうこうしているうちに、政府がさらに国有地使用権を付与すると、カンボジアの森林破壊 [5]の問題はさらに悪化していった [6]

「#Cambodia は、世界最大の加速度で森林を失っている」

去る7月、社会正義のための独立僧侶ネットワークに属する僧侶たちは、プレイ・ラング森林の破壊が続いていることを訴えるために、彼らが押収した5つのチェーンソーを首都プノンペンで林業局と国会に引き渡した [12]

リーダーのベネラブル・ブンテンは、僧侶たちが反対運動を起こすこととした理由を下記のように 語っている [15]

Monks cannot remain silent on the issue given the alarming rate of deforestation.

Those Forestry Administration officers are the ‘dollar officers’, as they don’t care about the forest or Prey Lang and let bad merchants continue to destroy the forest day by day.

我々カンボジアの僧侶は、異常な速さで進んでいる我が国の森林破壊のことを考えると、この問題について黙っていることはできない。

林業局の役人は、「ドルのための役人」です。彼らは、プレイ・ラング森林などの森林に無関心です。悪徳な商社が日毎に森林を破壊しているのに、それを黙って見ているだけなのです。

Cambodian monks delivered a protest letter to the government in Phnom Penh, the country's capital. Photo from the Facebook  page of 'Prey Lang - It's Our Forest Too' [16]

カンボジアの僧侶たちが、首都プノンペンでカンボジア政府に抗議声明文を手渡した。 フェイスブックページ「プレイ・ラングは我らの森でもある」からの転写画像

9月の最終週に、僧侶たちが再びバタンバンの街路に結集し [1]、農業関連商社が、今もなおカンボジアの森林を破壊し続けていることを、市民および政府職員へ訴えた。

校正:Naoki Yoshimura [17]