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ペルシャ料理の秘密は「熱」と「冷」にアリ!

By Joe mon bkk - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=38878979

写真:Joe mon bkk撮影(CC BY-SA 4.0)

ペルシャ料理の秘密を探るカギのひとつは、食べ物には「熱」タイプと「冷」タイプがあると理解することだ。ここで、その秘密を解き明かしていこう。グローバル・ボイスは、ペルシャ料理の考え方を明らかにすべく、専門家であるマルヤム・スィーナーイーさんに以下のような質問をした。彼女は、ウェブサイト「ペルシャン・フュージョン」を運営している。

Hot and cold don’t really refer to the temperature of food or its ingredients, they are rather descriptions of inherent properties in food ingredients that cause changes in the body.

The concept is based on Unani medicine [an ancient Greek medicinal tradition], according to which, individuals differ in nature too [with] some having a hot nature and others, cold. These attributes are associated with the color and temperature of the skin, temperament, etc.

「熱」や「冷」というのは実は、食品や食材の温度のことを言っているのではありません。むしろ、人体に変化をもたらす、食品成分固有の特性を表現した言葉なのです。

この考え方は、古代ギリシアの伝統医学であるユナニ医学に基づいたものです。ユナニ医学によると、人はそれぞれ異なった体質を持っており、「熱」タイプの人もいれば「冷」タイプの人もいるということです。このような特性は、皮膚の色や温度、気質などと関わりを持っています。

これを実践するには、「熱」タイプの人が健康問題をかかえている場合、「冷」タイプの食品を摂ればいいということになる。逆もまた真なりだ。「冷」の性質を持っている人は、「冷」タイプの食品を食べ過ぎるとバランスが崩れてしまう。

スィーナーイーさんはこのように説明している。

It’s quite elaborate and complicated so I’ll be giving you a very simplified version. Generally, high-energy, high-fat foods and most spices are considered hotMany vegetables and grains, such as rice, are considered cold. The aim of the Persian cook is to balance hot and cold ingredients in a dish as components of a meal, or to correct the imbalance [that is] causing trouble to an individual, with food.

非常に複雑で分かりにくいので、もっと簡単に説明します。一般に、スパイスの大半や高エネルギー高脂肪の食品が「熱」タイプと考えられます。野菜、そして米のような穀類は「冷」タイプとみなされます。ペルシャ料理が目指すのは、「熱」と「冷」の材料を料理にバランスよく使うことです。また、個々の不調の原因となる、食べ物に伴うバランスの悪さを矯正することでもあります。

とはいうものの、料理をするイラン人の誰もが「熱」タイプと「冷」タイプを把握し、それぞれに必要な食物を理解しているというのだろうか?

Most Iranians, at least the older generation, just know these things or ask more knowledgeable people around them. When things are too difficult to address by home remedies, a traditional doctor may be consulted too.

For instance, everybody knows that chocolate and nuts are hot. So if a person has a rash, they’ll immediately tell him to hold off these foods. They might tell them to drink distilled chicory plant water, because it has a cooling effect on the body and will help get rid of the rash.

Coriander (cilantro) and sour plums are considered as cold. So if a person has fever, they’ll usually be given a coriander and plum soup (ash-e geshniz ba alu) to help with the fever.

イラン人の大半は、少なくとも年配の世代では、感覚的に知っていますし、身近にいるもっとよく知っている人に尋ねることもあります。家庭で対処するのが難しい場合は、町のお医者さんに相談することもあります。

例えば、チョコレートやナッツが「熱」タイプだということは誰でも知っています。そのため、吹き出物ができた人には、こういった食品を控えるようにすぐ言うでしょうね。チコリのハーブウォーターを飲むように勧めることもあります。からだを冷やす効果があり、吹き出物を撃退できるからです。

コリアンダーやサワープラムも「冷」タイプと考えられます。そのため、熱を出したときは、熱さましにコリアンダーとプラムのスープ(アーシェ・ゲシュニーズ・バー・アルー)を食べさせることがよくあります。

これで謎が解けただろうか? イラン版おばあちゃんのチキンスープは、コリアンダーとプラムのスープなのだ。なんとおいしそうな料理だろう! 
スィーナーイーさんはさらにこう言っている。

Traditional dishes are usually very balanced, though. Take fesenjoon, a scrumptious Persian stew of chicken or duck in walnut and pomegranate sauce. Walnuts are considered hot and pomegranates cold. Or rice with broad beans (fava beans) which is called baghali polo. Broad beans are considered as very cold, rice is cold too, so the dish is balanced with the addition of dill, a hot herb. The same goes with fish, a cold meat. It’s usually eaten with rice filled with herbs like dill, as well as with garlic, another hot ingredient. Yogurt, a cold food, will never, ever, appear alongside fish on a Persian table.

やはり、伝統料理は非常にバランスのいいものが多いですね。「フェセンジャーン」を食べてみてください。この料理は、クルミとザクロのソースのかかったチキンや鴨のペルシャ風シチューで、ほっぺが落ちるほどおいしいですから。くるみは「熱」タイプで、ザクロは「冷」タイプと考えられます。ソラマメ入りのご飯は、「バーガーリー・ポロウ」と呼ばれています。ソラマメは「強冷」タイプで米も「冷」タイプですから、この料理は「熱」タイプのハーブであるディルを加えることでバランスが良くなります。このハーブは、魚や冷たい肉にも合います。フェセンジャーンは普通、ご飯にディルのようなハーブやにんにくといった「熱」タイプの食材をふんだんに入れたものを添えて食べます。ペルシャ料理の食卓では、魚のサイドメニューとして「冷」タイプの食品であるヨーグルトが登場することは決してありません。

Duck Fesenjoon by Flickr User Insatiablemunch. Some rights reserved

鴨肉のフェセンジャーン:FlickerユーザーInsatiablemunchのページより転載(CC BY 2.0)

つまり、「熱」タイプと「冷」タイプの分類を利用すれば、献立のバランスも取れるということだ。

Persians love to eat tender, new season, romaine lettuce hearts with a syrup made from wine vinegar and sugar. That’s because lettuce is cold and the syrup’s heat will balance it.

ペルシャ人は、新物のやわらかいロメイン・レタスの芯に、ワインビネガーと砂糖で作ったシロップをかけて食べるのが大好きです。レタスは「冷」タイプでシロップは「熱」タイプと、バランスが取れているからです。

当然、夏期と冬期にはそれぞれの季節に合った食品が必要となる。夏は「冷」タイプ、冬は「熱」タイプだ。

Generally, hot dishes are served during the colder seasons. Normally, the rich and luxurious fesenjoon is saved for colder months, unless there is a big feast with many dishes to choose from. In summer, people usually tend to eat food of a colder nature — [dishes that are] less rich and made with lots of vegetables, cucumbers and yogurt.

一般に、寒い時期には「熱」タイプの料理が出されます。寒い時期にはよく、ほかにごちそうの選択肢があまりない場合は、豪華でこってりとしたフェセンジャーンを出します。夏は、「冷」タイプの食品を食べることが多いです。あっさりとした料理で、きゅうりなどの野菜やヨーグルトがふんだんに使われています。

「熱」と「冷」のルールは、デザートにも当てはまる。ヨーグルトを「熱」タイプの食品と一緒に摂ると食事のバランスが取れるため、よく使われている。

After a meal with a cold dish like fish, a Persian family will usually serve a hot dessert made with lots of sugar, fat, and spices such as cinnamon. An example is khagineh, a sort of big pancake torn into pieces and drowned in a saffron-spiked syrup.

Yogurt is often served with or stirred into certain other dishes if they are hot. In my grandparent’s house, there was a bowl of ground, dried, bitter orange peel mixed with ginger (both hot ingredients) and sugar on the table too, as if all the precautions that my grandmother (a fabulous cook) took were not enough. My grandfather took a spoonful after most meals, presumably because he considered most food as cold.

ペルシャ人の家庭では、肉に魚のような「冷」タイプの料理を添えて食べた後、たっぷりの砂糖や、シナモンなどのスパイス、油を使った「熱」タイプのデザートをよく食べます。ハーギーネもそのひとつです。これは、大きなパンケーキを小さく切ってサフランシロップに浸したデザートです。

「熱」タイプの料理とよく一緒に出されるのがヨーグルトです。料理の中に入れて混ぜて食べることも多いものです。祖父母の家では、細かくして乾かした苦みのあるオレンジピールにショウガ(いずれも「熱」タイプ)と砂糖を混ぜたものも、ボールに入れて食卓に置いてありました。料理上手の祖母が用意した食事で、「熱」タイプが十分でない時のために、あらかじめ準備してあったようでしたね。祖父はいつも食後にそのドライオレンジをひとさじ食べます。おそらく、祖父が「冷」タイプの食品が多いと考えていたからだと思います。

この写真の料理は食べ切れる?

イランのごちそうを見るのが初めてのかたは、テーブルいっぱいに並べられた食事を見て圧倒されるかもしれない。それでもペルシャ料理愛好家の多くが、インスタグラムで料理の写真を共有せずにはいられないのだ。

インスタグラムユーザーshore.coliさんが共有したこの写真には、「熱」タイプと「冷」タイプの料理がたくさん並べられている。

自然の恵み。海の幸から山の幸まで。イラン北部にあるギーラーン州に住む人々ならではの、自然の喜びをかみしめる食事だ。写真:ゲストのひとり@vanilla.bakeryさん

このバーガーリー・ポロウの写真は、インスタグラムユーザーfoodie_expressさんがアップロードしたものだ。この料理では、「熱」タイプと「冷」タイプ食材が完全に調和している。


マヒチェ:柔らかな子羊のすね肉を、サフランとトマトのソースでじっくりと煮込み、ソラマメとフレッシュハーブのディルを混ぜ込んだペルシャ風ライスを添えていただきます。#ペルシャ風 #イラン #マヒチェ #ケバブ #ペルシャ料理 #ペルシャ風ライス #ネハーリー

この写真はロメインレタスの芯をセカンジャビーン(酢とミントシロップ)で漬け込んだものだ。インスタグラムユーザーのvida.rahimzadehさんが共有している。

#レタス #セカンジャビーン (酢とミントシロップ)最高の〔#想い出〕のひとつ。あなたもこの気持ちを共有してくれる? 

作ってみたいと思われるかたはこちらへどうぞ

校正:Moegi Tanaka