​バングラデシュ政府、サイクロン・ロアヌの脅威を見事に克服 

Satellite Image of Cyclone Roanu as on May 21, 2016. Image credit NASA Earth Observatory.

サイクロン・ロアヌの衛星画像 2016年5月21日 画像著作権:NASAアース・オブザーバトリー

​バングラデシュでは、1970年のボーラ・サイクロンにより50万以上の人命が失われた。​​​それ以来、同国は、高台に2,500戸を越えるサイクロンシェルターを​​建造するなど​の​​​​​​​​​​​​​​防災対策を​​連綿と講じてきた。​また、緊急警報システムの開発や、ボランティアが住民をシェルターに誘導する訓練などを行ってきた。​なお、これまでに建造されたサイクロンシェルターは​、​平常時は初等学校や地区センターなどとして多目的に利用することとされている。

​しかし、同国はここ数年、毎年のように熱帯型災害に見舞われ続けてきた。そういったことを考慮すると、災害の備えへの道のりは平たんではなかった。サイクロン・ロアヌは、バングラデシュがこれまでにとってきた対策の効果を試す初の試金石となった。

​5月14日、ベンガル湾上に低気圧が発生した。この低気圧は、東海岸を通過しスリランカに達すると、気圧がさらに低下し熱帯低気圧となった。その後、スリランカではこの熱帯低気圧が引き起こした​異常​降雨と地滑りにより、50万近くの人が避難を余儀なくされ、82人が亡くなった。5月19日には、この熱帯低気圧はサイクロン・ロアヌとなった。「ロアヌ」とはモルジブ語で「コイア・ロープ(ココナツの外皮の繊維をより合わせたロープ)」という意味である。

​ロアヌはインドのタミル・ナードゥ州アーンドラ・ブラデーシュ州およびオリッサ州にも集中豪雨をもたらした。その後、北東方向へ進み、ついにバングラデシュ南東部に上陸した。

サイクロン・ロアヌが沿岸地域を襲撃

​バングラデシュの今回の備えは、以前に比べ改善されていた。ロアヌが、バングラデシュ沿岸の人口密集地域に強風と降雨をもたらす前に、おおよそ2​00​万人が避難を終えていた。その結果、死者の数は24名に止まり、家を失った人の数は約50万人であった。

​2007年に3,447名の命を奪い、数百万ドルの被害をもたらした
サイクロン・シドルに比べ、サイクロン・ロアヌがもたらした死者の数は、これまでのところ低い数値にとどまっている。今回は、災害管理省、消防庁および気象庁が、 ロアヌによる被害を最小にとどめるべく、一体となって業務を遂行した。しかし、多くの家屋及び道路が被災した可能性があり、被災した家庭は、間もなくやってくるモンスーンシーズンに向かって、避難する場所もないまま放置されている。

バングラデシュ政府、サイクロン・ロアヌの襲撃前に50万人を非難させ多くの人命を救う。

サイクロン・ロアヌがバングラデシュを襲い、すでに死者が6名、家を失った人が数百万人となっている。死者数は増え続けている。

国連開発計画の現地チームからの報告によると、サイクロン・ロアヌが、バンシカリで猛威を振るった​とのことだ。

​携帯電話で撮影したサイクロン・ロアヌのビデオ画像をソーシャルメディア上に公開した​人もいる。例えば、下記の​動画​はユーチューブ上に公開されたものである。

​国外在住のバングラデシュ人、ナーサ・イムラン・ホサイン(訳注:2016年7月29日現在、リンク先は閲覧できない状態になっている)はフェイスブック上で、故国の状況がどれほど改善されたかを​述べている。

The greatest wealth that a nation has is it's people, be it ignorant, bigoted, religiously and socially intolerant people- they are the rulers of the land, they are the torchbearers, they are the ones that are best suited to thrive and survive. Even 10 years ago, a cyclone such as Roanu would kill hundreds, devastate thousands of lives- look how situation has change, how the death toll has dwindled, how information technology with improved clarity and awareness has saved hundreds of thousands of lives, giving them a second opportunity to start, anew from the ashes.

​国家の最大の財産は、国民である。無学で偏見に満ち、宗教上も社会生活上も受け入れがたい人々であっても、国民は国の主権者であり、国の将来を方向づける者なのである。かつまた、国を繁栄に導き、そしてまた存続させるのに最も適した者は国民なのである。10年前にロアヌに匹敵するサイクロンが我が国を襲っていたら​、​死者数は数百人におよび、数千人が路頭に迷っていただろう。現状を見ると、いかに状況が改善されたかが分かる。今回の災害では死者の数が減少している。また、情報技術の進歩により国民が明晰な自覚を持つことができるようになったおかげで、多くの人命が救われた。さらに、情報技術は、国民が灰燼から立ち上がるために、再出発をする機会を新たにもたらした。

​しかしながら、すべての人が同じ考えを持っているわけではない。教育者のカベリ・ゲイン(訳注:2016年7月29日現在、リンク先は閲覧できない状態になっている)は、ロアヌによる人命の損失が少なかったとする考えに警鐘を鳴らしている。

রোয়ানু নেই নেই করেও ২৬ জনের জীবন নিয়ে নিয়েছে।
এটি ঘোষিত হতে পারতো জাতীয় দুর্যোগ। কিন্তু মৃত্যু আমাদের গা-সওয়া হয়ে গেছে।

​現状を見ると、これまでに実施してきた対策の成果が表れたように見えるが、ロアヌにより26名の命が失られている。こういった事実に照らせば、今回の災害は国家規模の災害と言ってよいだろう。いずれにせよ、我々国民は大量の死者数に慣らされてしまっているようだ。

​​​クールシド・アラムは、国連開発計画のブログで下記の通り述べている。
​「​バングラデシュにおける防災対策拡充の過程は終わったわけではないが、その目指す先は​​的を射ている」​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

Bangladesh’s exposure to cyclones will not lessen – in fact, with climate change we may see the coast battered more often, harder, and in unpredictable ways. In the past decade, Bangladesh has transitioned from disaster management to disaster risk reduction by – among other things – changing the public mindset and government policy, expanding early warning systems and volunteerism, and engaging communities in identifying and addressing local risk.

[…]

We must all ask ourselves: how can we help in ways that don’t just alleviate suffering, but support communities to become more resilient for the future? Our work in disaster risk reduction in Bangladesh offers some of the best examples of how our efforts can prevent or reduce crises, not just manage them.

​バングラデシュがサイクロンの襲撃にさらされる機会は、減少することはないだろう。要するに、気候変動の影響を受けて、沿岸地域が予想もできないほど徹底的に被災するといった事例がますます増えるであろう。そういったことを見越して、過去10年の間にバングラデシュ政府は、災害管理策に見切りをつけ、災害因子削減策へと政策の変更を行った。その準備段階において、政府は国民に対する防災啓発活動、防災関連政策の変更、早期警報システムの普及、ボランティア活動の拡充、および住民参加による災害危険因子の特定とそれへの取り組みの強化にとりわけ力を注いできた。

[中略]

​災害の軽減策を講ずるのはもちろんだが、​被災した地域社会を未来に向かって迅速に復興させる策を講ずるにはどのようにすればよいのか、我々はこぞって自問しなければならない。​​​​​「我々がバングラデシュで行った災害因子削減対策は、単に災害​に対処しようとするものではない。​​我々​が​採った対策は、災害​により発生する危機の​防除​・削減​の​ための​最良の手本になるといえる。​

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