原爆の実相を世界へ:英語版も加わり新しくなった「ヒロシマ・アーカイブ」

Hiroshima Archive

オンライン上のマッピング・ツールを用いたプロジェクト「ヒロシマ・アーカイブ」のスクリーンショットより

新たに英語版も加わった双方向マッピング・プロジェクトでは、多くの被爆者による直の証言を、広範囲にわたる広島の原爆とその被害記録を交えながら、絵地図をたぐるように検索する事ができる。

「ヒロシマ・アーカイブ」と、それより早く作られた「長崎原爆の証言を集めたマッピング・プロジェクト」(訳注:ナガサキ・アーカイブ)の目的は、終戦以来70年以上が経過し、原爆の体験を伝えることのできる生存者がいなくなろうとしている今だからこそ、原爆の記憶を証言にして残すことだ。

第2次世界大戦終盤であった1945年8月6日、米軍機が西日本の都市、広島に原子爆弾を投下した。それにより8万人に及ぶ人々(当時の広島の人口の30%に当たる)が即死し、市街地の多くが破壊された。その3日後、1945年8月9日には長崎の街にも原子爆弾が投下された

「ヒロシマ・アーカイブ」は、原子爆弾が落とされたときに、何が起きたかという個々の経験をオンライン上に公開している。例をあげると、オンライン・ツールを使って、1945年当時の広島の地図を見渡し、生存者の証言と写真、彼らが原爆投下の瞬間にどこにいたかを閲覧することができる。また、現在の広島の航空写真に切り替えることも可能で、その場所が1945年以来どのように変化しているかを見ることができる。

hiroshima archive

「ヒロシマ・アーカイブ」の地図と、新見博三(にいみひろそう)さんのような生存者の実際の目撃証言。スクリーンショット:「ヒロシマ・アーカイブ」より

「広島と長崎に原爆が投下されて70年以上が経っています」 プロジェクトの代表渡邊英徳氏は「ヒロシマ・アーカイブ」についてのグローバル・ボイスのインタビューにこう答えた。「現在残っている生存者はわずかですし、いずれいなくなるでしょう。そのときに、人類が経験した核戦争の悲劇を、個人の経験としていったい誰が語ることができるでしょう?」

2011年に日本語で最初に公開されたアーカイブで、映像を通して当時の広島を体験してみると、オンライン上での記録範囲の広さや奥行きの深さを実感できる。

新たに英語版が加わり、オンラインのマッピング・ツールもGoogle Earthから新しいフォーマットに移行し、OS、ブラウザを選ばず利用できるようになった。

渡邊氏の利用したCesiumはJavaScriptのライブラリーで、インターネットのブラウザ上にプラグインなしで立体的な地球や平面地図を作製可能だ。渡邊氏は、同様の革新的マッピング・プロジェクトである「2011年3月日本における震災犠牲者の行動記録マップ」の制作者でもある。

東北・津波の双方向マップのスクリーンショット。画像はYouTubeより。

「ヒロシマ・アーカイブ」「ナガサキ・アーカイブ」を、ボストンとニューヨークの二つの青年平和会議で利用する計画がある。このプロジェクトでは、米国在住の被爆者による語りや原爆遺品の展示、さらに日本・アメリカの青年や他の参加者、一般市民によるディスカッションも計画されている。

ヒロシマ・アーカイブの利用が特色である、@hwtnvによる高校生平和会議のプランに注目してみよう。

この会議を準備している広島と長崎の高校生たちは、クラウドファンディングを通して、寄付を呼び掛けている。

Those of us involved in the Nagasaki/Hiroshima Archives would like to […] send high school students from Hiroshima and Nagasaki to the United States to hold the Japan-U.S. High School Student Peace Conference. Participants in the conference will include Japanese and American high school students, as well as the public and atomic bomb victims living in the U.S.

ナガサキおよびヒロシマ・アーカイブに係っている私たちは、広島と長崎の高校生をアメリカに派遣し、日米・高校生平和会議を開催することを希望しています。会議には、日本とアメリカの高校生や一般の人々、米国在住の被爆者が参加予定です。

このクラウドファンディングのキャンペーンについて、詳細はこちらをご覧ください。

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