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​​パナマ運河拡張工事を特徴づけるものは? 技術、工学そして目を見張るような歴史的遺物の発見だ 

カテゴリー: ラテンアメリカ, パナマ, テクノロジー, 市民メディア, 意見, 旅行, 経済・ビジネス
Canal de Panamá, imagen en Flickr del usuario Jose Jiménez (CC BY-SA 2.0).

​パナマ運河 Flickr掲載の写真 撮影者:Flickrユーザーのホセ・ジメニツ(CC BY-SA 2.0)

​「パナマにとって歴史的な​日だ​」と、フアン・カルロス・バレーラ・パナマ大統領は2016年6月26日に宣言した [1]。国旗がはためき、学生や楽団が奏でる楽曲が響く中で、パナマ大西洋岸のパナマ運河拡張工事落成式が、首都およびいくつかの地方で執り行われた。

​パナマ運河は、パナマ地峡の一番狭まった部分で大西洋と太平洋を結ぶ 人工の水路 [2]である。全延長77マイル(訳注:約123㎞)で、最初に開通したのは1914年8月15日だった。運航の要衝となっているこの運河は、距離が短く通航料も割安で、100年以上にわたり、この地域の経済交流や​商業​流通の急速な発展に寄与してきた。新たに竣工した拡張工事は完成までにほぼ10年 [2]を費やした。

​中国のコンテナ船「コスコ・シッピング・パナマ」が、新たに拡張されたパナマ運河を最初に航行した船 [3]となった。このようにして、同船が大西洋側に新設されたアグアクララ水門に入ることで運航が始まったのである。

​パナマ運河の公式ウエブサイトによると、第3航行レーン [4]の建設は、様々な調査分析を経て決定された。その目的は、航行容量を2倍にすることであった。同ウエブサイトはまた、拡張計画の進捗を図表で示す [4]とともに、写真やビデオも載せている。

​​ツイッターのユーザーたちは、パナマ運河の新たな展開を祝福した。拡張工事によりアメリカ大陸の距離が短縮されたのだ。次のプロジェクトがどんなものであるかはともかくとして、次に続くプロジェクトについて語る者も現れた。

​がんばれ、パナマ。次の大プロジェクトを計画しよう。ボカスからダリエンまでのパナマ地峡往還列車そして沿線都市を​開発しよう。

​​過去と現状を比較する者もいた。

​昔訪れたパナマ運河は、きょう開通したパナマ運河と比べると今となっては、ちっぽけなものだ。

​ツイッター上には、中国のコンテナ船「コスコ・シッピング・パナマ」の写真も掲載されている。この船は、拡張の終わったパナマ運河を最初に航行した船である。

​​拡張の終わったパナマ運河を最初に通過する船

​地方メディアは、祭典に集まった群衆を動画に写し出した。また、BBCは、パナマ運河が世界をいかに変えたかを回想する放送をした。

​​コスコ・シッピング・パナマが、拡張されたパナマ運河を航行するのを見ようとココリで待ち構える群衆

​​パナマ運河が世界を変えた5項目

​​埋もれた宝

​パナマ運河拡張工事が行われた10ヵ年の間に、2,200点以上の各種​考古学上の​​遺物が発見され [18]分類された。これらは、先コロンブス期からのパナマ地峡の商業史を示すものである。

Dientes, dagas, chimeneas, restos de puentes y cementerios abandonados por las compañías de Francia y Estados Unidos a principios del siglo pasado, evidencian el papel de tránsito humano que ha tenido Panamá.

歯や短剣そして煙突、橋の残がい、20世紀当初にフランスおよびアメリカの商社により遺棄された墓地。これらの物は、パナマが人々の交流の中で果たしていた役割を示すものである。

​拡張工事の各段階で発見された遺物を 分類する責任者 [18]であるトマス・メンディザバル氏は、下記のように語った。「パナマのジャングルの中に消えた小さな村を掘り返し、メキシコ製の手工業品とともにヨーロッパ製の遺物を発見するのは、不思議な気持ちがするし、(…)信じられない気持ちもします」

​2014年以来、報道機関各社は、​工事のために取り除いた土の山から出土した​考古学的に驚くほど価値のある遺物について 報道してきた [19]

Durante las excavaciones, voladura de cerros y tala de espesa vegetación, se han hallado fósiles de unos 3.000 invertebrados y 500 vertebrados, y de más de 250 plantas, como las de un bosque consumido por el fuego de una explosión volcánica, precisó Hortensia Broce [bióloga especialista en paleontología de la Autoridad del Canal].
[…] también salieron fragmentos de objetos de la época precolombina, colonial, departamental […] y republicana […]. Trozos de vasijas de cerámica, puntas de flecha y parte de un ajuar funerario precolombino, una daga del siglo XVI, una chimenea de 1908, una colección de botellas, vagones y cubos para mezclar concreto de la época de construcción del Canal, aparecieron en zonas del Pacífico y el Atlántico.

​掘削工事、山肌の爆破、密生した植生の撤去、こういった作業中に、約3,000点の無脊椎動物および500点の脊椎動物の化石が見つかった、また、火山の噴火に伴う火災で焼失した森林から250種​以上の植物も見つかったと、オルテンシア・ブロス氏(パナマ運河古生物学調査院の生物学専門家)は述べた。先コロンブス期、スペイン植民地時代、コロンビアに属していた時代(…)そしてパナマ共和国の時代(…)へと続く各時代の遺物の破片も出土した。陶器製のつぼの破片、矢じり、および先コロンブス期の墓の一部、16世紀製の短剣、1908年製の煙突、一群の瓶(かめ)、荷馬車、パナマ運河建設時にさかのぼるコンクリート混合用のバケットが、太平洋側および大西洋側の両方から発見された。

​​2009年には、中央アメリカに生息していた霊長類の歯の化石も発見された。ジョナサン・ブロック(この発掘物の調査を担当するフロリダ大学チームの主任)は、 下記のように語った [20]

[…] estos son los dientes de un mono de Sudamérica que, de alguna manera, logró hacer lo que ningún otro animal pudo hacer en aquella época: cruzar la vía marítima de Centroamérica hacia la Norteamérica tropical hace 21 millones de años.

(…)この化石は、南アメリカに生息していたサルの歯です。​​このサルは、おおよそ2100万年前に中央アメリカの水路を越えて北アメリカの熱帯地域に​​渡るという​​、サル以外の動物が当時達成できなかったことを何らかの形で達成したのです。

​​また、ツイッター上には、拡張工事中に出土した遺物の写真や動画も掲載された。

考古学的に​貴重な​価値のある遺物​が、​​パナマ運河の拡張工事中に​数々​発見された。

​考古学的に​貴重な​価値のある遺物​類が、​​​パナマ運河の歴史を​語る「廃棄物」の中から発見された。

​瓶、武器…など、パナマ運河拡張工事中に発見された遺物の一部を視察

校正:Moegi Tanaka [29]