エールフランス客室乗務員、イラン便でのヘッドスカーフ着用を拒否!

    画像編集:ケヴィン・ロスロック

エールフランス航空がパリ‐テヘラン便を就航させて8年になる。このルートの運行再開により、女性客室乗務員たちに厄介な問題が起こっている。彼女たちは、 ヒジャブ(イスラム教徒が頭を覆うもの)着用を強制され、フランス人として当たり前に行っている行動を変えさせられる場合にはテヘラン便の添乗を拒否できる権利を主張しているのだ。この要求により、イラン国内外でヒジャブ義務化論争が再び巻き起こった。

労組代表フランソワーズ・レドルフィ氏はRFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)のウェブサイト上で、女性職員にはパリ‐テヘラン便の添乗を拒否する権利を与えるべきだと主張している。

We are forced to wear ostentatious religious signs. This choice should be left to the women. They should have a right to say whether they do or do not want to fly this route.

私たちは、これみよがしな宗教的シンボルを身につけるよう強制されています。身に着けるかどうかは、女性客室乗務員に選択の余地を残しておくべきです。テヘラン便に添乗したいかしたくないか、表明する権利を与えられるべきなんです。

最終的に、エールフランスの客室乗務員がヒジャブ着用を求められた場合、それを理由としてイラン便への添乗を拒否することが認められた。

ヘッドスカーフをつけずに飛び立とう

エールフランスの客室乗務員とイラン人女性が一致団結し、 My Stealthy Freedom(訳注:人目を盗んだ自由の意)というキャンペーンを進めている。これは、イランを訪れる外国人女性たちに対し、ヘッドスカーフを外して撮影した写真を共有するよう求めるものだ。この投稿写真はどんどん集まってきている。

Photo shared on My Stealthy Freedom Facebook page. From France and Italy; visiting beautiful Iran.

フランスとイタリアから、美しいイランを訪問中。これは、私たちがベールを外した写真です。キャンペーンの成功をお祈りしています。写真:My Stealthy Freedom/フェイスブック

My Stealthy Freedomを始めたのは、イラン人ジャーナリストのマスィーフ・アリーネジャード氏だ。彼女はこのキャンペーンを「ムーブメント(運動)」と呼び、下記のように記している。

This page does not belong to any political group and the initiative reflects the concerns of Iranian women, who face legal and social restrictions.

All of the photos and captions posted have been sent by women from all over Iran and this is a site dedicated to Iranian women inside the country who want to share their “stealthily” taken photos without the veil.

このフェイスブックページはいかなる政治団体にも属していません。法律的社会的制約に直面したイラン人女性が抱える不安を考慮して始まったものです。

投稿された写真や説明文は、イランじゅうの女性たちから送られたものです。イラン国内には、「人目を盗んで」ベールを脱ぎ、撮影した写真を共有したいとの想いを抱く女性たちがいます。このサイトは、彼女たちのために懸命な活動をしているのです。

その他の反応

当時「パナマ文書」流出の第一報が公表されたため、エールフランス客室乗務員の抗議に関する話題はソーシャルメディア上で影が薄かった。それでもこの話は、オンライン上で多少なりとも注目を集めたのだ。

中東アナリストでありコメンテーターでもあるホリー・ダグレス氏は、ある写真をツイッターに投稿した。エールフランスの職員が、2004年にヒジャブを身につけて撮影したものだ。

2004年にエールフランスの客室乗務員がイランに立ち寄ったときは、ヘッドスカーフのことは気にしていなかった。何が変わったの?

フリージャーナリストのアリー・アリーマダディー氏は、女性客室乗務員がスカーフとスラックスの着用を拒否した場合、パリ‐テヘラン便の運行は停止になるだろうと推測していた。

エールフランスの客室乗務員は、ベールもズボンも着用を望んでいない。イランへの直行便は長くは続かない。

インターネットユーザーたちは、シャーハロク・ハイダリー氏が描いた風刺漫画を広く共有した。これは、エールフランスの航空機にヘッドスカーフが巻かれているものだ。

シャーハロク・ハイダリー氏の漫画:「エールフランス用のヒジャブ」
エールフランスの客室乗務員は、イランのヘッドスカーフ着用規定と対決している。

エールフランスの客室乗務員は次に、ホメイニ氏を等身大に切り抜いた写真を捧げ持つよう求められるのではないだろうか。ティックル氏はそう考えた。彼のツイートには、ホメイニ師イラン帰国記念行事で撮影されたニュース写真も紹介されていた。

エールフランスの女性客室乗務員は、ホメイニ師を等身大に切り抜いた写真を持って飛行機から降りるよう求められることもあるんじゃないかな。

ダンボールを切り抜いて作ったホメイニ師を持ってテヘラン市内を回る:
BBCニュース

イラン・イスラム革命の指導者の等身大写真を捧げ持ってテヘラン市内で行進が行われた。この写真がオンライン上で笑いものに。

聞き間違い?

「文化的感受性がないで賞」があればおそらく、家族・児童・女性権利大臣ローランス・ロシニョル氏に贈られるだろう。ヒジャブ着用を選ぶイスラム教徒の女性について尋ねられ、ロシニョル氏はこう答えたのだ。「もちろん、ヒジャブ着用を選ぶ女性はいます。アフリカ系アメリカ人にも、奴隷制度を支持する人はいたのですからね」

クリスティーナ・コーテルッチ氏はスレート誌でこう記している。

Now that the dispute between Air France and its female flight attendants has been settled, French lawmakers should take note of its implications. In the days after Air France announced its Tehran dress code, one flight attendant’s union contacted France’s minister for women’s rights and families, Laurence Rossignol, seeking support for their protest of the headscarf policy. Rossignol recently likened Muslim women who wear headscarves or veils to “American negroes who were in favor of slavery.” If she and other women’s rights advocates are so repelled by the idea of non-Muslim French women being forced to don a headscarf in an Islamic nation, they’d be wise to imagine how Muslim women feel when France forces them to take theirs off.

エールフランスと女性客室乗務員の間に起こった対立が沈静化した今、フランスの立法者たちはこの一件が何を意味しているのか気づくべきだ。エールフランスがテヘラン便のドレスコードを発表してから数日のうちに、ある客室乗務員組合が家族・児童・女性権利大臣ローランス・ロシニョル氏にコンタクトを取った。ヘッドスカーフ着用規定への抗議に対し、支持を求めるためだ。ロシニョル氏は先頃、ヘッドスカーフやベールを着用するイスラム教徒の女性を、「奴隷制度を支持したアフリカ系アメリカ人」になぞらえている。非イスラム教徒のフランス人女性がイスラム教国家でヘッドスカーフ着用を強制されることに対し、氏やその他女性人権擁護者は激しく反発している。それならば、イスラム教徒の女性がフランスでヘッドスカーフを外すよう強要されたときの気持ちを、慮るだけの賢明さを持つべきだ。

しかしながら、注目すべきことがある。エールフランスの客室乗務員が反対しているのは、ヒジャブ着用強制だけではない。日常的な行動を変えるよう求められていることにも反発しているのだ。エールフランスの客室乗務員の1人が、My Stealthy Freedomへの投稿メッセージにこう記している。

AF female flight crew are upset about being imposed a certain uniform on board (no dresses just pants and a tunic) and about having to wear a veil once in Iran as well as not being allowed to smoke and associate with male crew members in a familiar way. No woman should should be told how to dress or how to behave.

エールフランスの客室乗務員は、乗務中に特別な制服着用を強制されて憤慨しています。パンツとチュニック以外は着用できないのです。イランでは、ベールの着用が必要なだけではないんです。禁煙もしなければならないし、男性乗務員となれなれしくしてはいけないことになっています。女性の服装や行動に口を出すべきではないと思います。

郷に入っては……

My Stealthy Freedomやその他のソーシャルメディアサイトでは、イラン政府が求めた二重基準について多くのコメントが寄せられている。イランを訪れる女性指導者や女性外交官に対し、同国政府は風習に従いヘッドスカーフを着用するよう求めている。しかし、欧米諸国を訪れるイラン人指導者やイラン人外交官は欧米の風習に従わず、参加イベントでは酒を飲もうとせず、女性とは握手をしないと言い張っている。

あなたの親愛なる友である著者の反応は?

著者(イランにて):カームラーン・アシュタリー撮影

私はこのテーマを中立の立場では見ていない。4年間イランに住み、私は2つの結論に達した。1つは、再びヒジャブ着用を強制されないようにするためには、できることは何でもすること。2つには、相手が誰であれ、ヒジャブを外すよう求めたりしないということだ。

私は、テヘラン・ビューローに投稿したエッセイの中で詳細に記している。義理の姉妹たちがイラン道徳警察から私を守ってくれた時の様子を。

In the streets, my sisters-in-law applauded each breach of hijab. The most observant among them, Forough, applauded the loudest. When a woman approached us to reproach me for my slack covering, Forough said to her, “When I go visit her no one asks me to take my scarf off. I’m not asking her to fix hers.”

義理の姉妹たちは、私が通りでヒジャブ着用の決まりを破るたびに喝采を送ってくれました。中でも私のことを一番よく見ていてくれたのはフォルーグで、一番大きな声で賞賛してくれました。あるとき、1人の女性が私たちに近づいてきて、私のヘッドスカーフがゆるんでいると言って非難したことがありました。そのとき、フォルーグはその女性にこう言ったんです。「この人の家へ行っても、誰も私にスカーフを外せなんて言わないよ。だから私は、スカーフをしっかり巻きなさいなんて言ったりしないんだ」

校正:Masato Kaneko

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