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ロシア:路上生活は「自己責任」?―ホームレスが語りだすとき

Anastasia Ryabtseva. Photo: Vkontakte

アナステージャ・リャプツェヴァ(写真:Vkontakte)

アナステージャ・リャプツェヴァが、サンクトペテルブルクにて初めてホームレスの人々にインタビューを試みたとき、彼らの多くは口を閉ざしていた。彼女がジャーナリストであることに彼らは驚き、レポーターから選び出されることに直感的に不信感を覚えたのだ。しかし、彼女がナチュレシュカ・ホームレスシェルターのボランティアだと名乗った時、様子は変わった。彼女はここ2年の間、そのシェルターの活動を手伝っていた。

リャプツェヴァはサンクトペテルブルクのホームレスの人々へインタビューと、ホームレスシェルターのボランティアの人々の話の収集活動を行っている。ナチュレシュカ・シェルターでの仕事に加え、彼女は「ナイトバス」の活動を手伝うこともある。サンクトペテルブルクの困窮者のための移動食堂である。

「まず気づくのは、私たちには愚痴をこぼす理由なんてないということです。食べるものを求めてここにやってくる人たちの方がずっとひどい目に遭っているのですから。」
リャプツェヴァはRuNet Echoに語った。
「そしてその替わりに、たくさんの感謝をもらえます。一晩に幾度も、心から感謝してもらえるというのは、とても素晴らしい気持ちです。」

リャプツェヴァは “It’s Their Own Fault(自己責任)” というウェブサイトを運営し、サンクトペテルブルクのホームレスとボランティアの人々から集めた物語を公開している。2年間で、およそ40の物語を収集してきた。プロジェクトの名前は、多くの人々がホームレスに対して見せる無関心な態度を表すものとしてつけられた。

慈善活動となると、大衆は子どもやお年寄りの支援により積極的であるとリャプツェヴァは言う。
「ホームレスは、依存症患者や精神を病んだ人と同じく、人々から支援したいと思ってもらえないのです。」
彼女はこう考察し、手を差し伸べるよりもむしろ路上から追い出そうという向きがあると付け加える。リャプツェヴァの収集した話の多くで、まさにこうしたことが人々に起こっていた。男が路上に横たわり苦しんでいると、通行人が突然彼を蹴り飛ばす、といったように。

9月に自身のオンラインプロジェクトを始動する前は、リャプツェヴァはこうした話のいくつかを”Takie Dela”(そういうものさ)というウェブサイトに公開していた。

一時、リャプツェヴァによるインタビューを、ロシア版エスクワイア誌の印刷版に掲載する計画があった。インタビューは、同誌の有名な”Rules of Life”(人生訓)面に載る予定だった。

しかし掲載は実現しなかった。8月に同誌の編集長を引き継いだクセニア・ソコロヴァ(このとき下院選挙に立候補していた)が、リャプツェヴァの仕事に全く興味を示さなかったのだ。彼女はリャプツェヴァのメールに返信さえしなかった。

アナステージャ・リャプツェヴァ(写真:Vkontakte)

アナステージャ・リャプツェヴァ(写真:Vkontakte)

仕事を発表する場を探すのも困難であったが、何人かの取材先にインタビューをする際には大きな緊張を乗り越えるのにも苦労したとリャプツェヴァは語る。たとえば、彼女の初めてのインタビューはセルゲイという男性で、家族に家を追い出され、路上に住むことになった人物だった。彼と会った後、リャプツェヴァは、自分が無意識に普段より安物の服を着ていたことに気づいた。おそらく、よりうまく場に溶け込めるよう努力していたのだと言う。

リャプツェヴァが、彼女のプロジェクトにとって「非常に重要だった」とするインタビューは、ドミトリー という男性とのものだった。ホームレスの建築家で、写真撮影は断られた。ドミトリーを道で見ても、まさか彼がホームレスだとは思わないでしょう、と彼女は話す。
「彼が旧約聖書を引用して自分の人生哲学を聞かせてくれたとき、私は教授の前の生徒のような気持ちでした。」
彼はのちに修道院に入ったという。

これほど多くの物語を収集する機会に恵まれたのは、とても幸運なことだとリャプツェヴァは考えている。
「私は世の中について多くのことを学びました――例えば、どんなことでも、今この瞬間に変わりうるということ。私たちが他人への無関心を克服することで、誰かの人生を変えられるということ。」
彼女はそうRuNet Echoに語った。

リャプツェヴァのインタビューした人々の多くは、サンクトペテルブルク中のシェルターで働くボランティアの人々への深い感謝の意を示してきた。46歳、元窃盗犯の アンドリー・アルマゾフは、人間への信頼を取り戻したと彼女に語った。

Я даже в голове знать не знал и не мог себе представить, что такие как мы, оказывается, кому-то нужны. Что это их профессия. Я не хочу громких слов говорить, но я здесь в людей поверил.

私たちのような人間を誰かが気にかけてくれるなんて知らなかったし、想像さえしていませんでした――そういうことを仕事にしている人がいるなんて。安っぽく聞こえるかもしれませんが、私が人を信じるようになったのはこの時でした。

リャプツェヴァのファイルには、まだいくつか公開していない物語が残っている。路上で生活していたが、現在は再び住まいを見つけたひとりの男性の話もある。
「今彼は(ホームレスの人々は)、自分で責任をとるべきだと言っています。」
リャプツェヴァはRuNet Echoに語る。
「彼は、自分は強い人間で、自分の不幸を解決できない人々は弱いのだと話します。この考えはきっと、彼自身の問題を忘れさせてくれるのでしょう。」彼女は言った。

リャプツェヴァは、サンクトペテルブルクのホームレスに対する態度は少しずつ進歩していると考えており、徐々に増すメディアの注目がこうした変化をもたらしたと見る。ナチュレシュカ・シェルターのボランティアは増え続けており、設備にもたくさんの募金が集まっている。

「このプロジェクトの目的は、」
とリャプツェヴァは語る。
「固定観念を壊すことで、人々がかつてなら無視して通り過ぎたかもしれない『浮浪者』を、立ち止まって見る人を増やすことなのです。」

校正:Masato Kaneko

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