ベトナム中部海岸の水路汚染で魚の大量死をもたらしたとして訴えられている製鉄工場の外で、およそ10,000~15,000人が非暴力抗議に参加した。
製鉄工業を経営する台湾系企業フォルモサ・ハティンから、いまだに何の補償も受けていないとされる被害を受けた住民と漁師らが組織化した抗議は、10月2日におきた。
この環境災害が最初に報告されたのは2016年4月のことである。
ハティン省で魚の大量死が増加し続けているにもかかわらず政府の調査が一向に進まないことへのデモ運動は、週に一回組織化していた。
6月、ついに政府とフォルモサは両者間の合意声明を発表し、その中でフォルモサは住民に対して賠償金を支払うこととした。
しかし、賠償金はいまだに支払われておらず地元の漁師とその家族らの不満は高まっていた。
最近の週末抗議では、活動家と市民ジャーナリスト達が様々なソーシャルメディアを利用し、非暴力抗議の様子を広めた。ベトナム当局は、魚の大量死に関連する大規模な抗議運動中には前もってFacebookへのアクセスを遮断したこともあったが、ネット市民は迂回ツールを利用し、この人気あるFacebookにアクセスした。
キィ・アン青年信徒団が作成した Facebookページ [2] には、ドローンを用いて抗議集会の様子を記録した ビデオ映像 [3]が公開された。この映像は最初の公開以来、すでに25万回を超える再生を記録している。
フォルモサの外周で抗議をする人たちの 写真 [4] は、撮るとすぐにソーシャルメディアでシェアされ、急速に広まっていった。
警察官がそばにいるにもかかわらず、抗議者達はフォルモサの外周ゲートによじ上りスプレーペンキで落書きもできたのだ。 市民記者ポーラス・レ・サンはその様子を 録画 [6] しウェブサイトに掲載した。すると、この録画に50万回以上の閲覧が殺到した。
ハティン省の1000世帯以上が国会に請願書を提出した。その内容は、被害住民へ至急賠償金を支払うよう政府に要求するものだった。
ゲアン省クイン・ルー地区で同じく被害を受け、10月3日 [8]国会に請願書を提出した619家族も抗議運動に加わった。
ハティン省地域の組織者でもある神父チョラン・ズィン・ライは、抗議活動の重要性について語った。
We know this regime won’t offer us justice. Nor do they represent the interests of the victims. We know that too well. However, there is a saying: ‘if a baby doesn't cry, then the mother won’t know when to feed the baby.’ If the victims and the people don't speak out, no one will feel the pressure.
「この政権が私達に正義をもたらさないだけでなく、被害者への関心すら示さないことは承知している。十分わかってはいるのだが、諺にもあるように『赤ん坊が泣かないと母親には腹のすぎ具合がわからない』被害者や周囲の人々が要求を声にしなければ、誰も我々の苦しみを分かってくれないだろう」
被害者の要求が2週間以内に対処されなかった場合、懸案の請願書に加え大規模な訴訟も起こすと当局に警告する者もいた。
9月26,27日、フォルモサに対し500以上の訴訟を起こすため、数百人の住民は200キロ以上の道のりを共にした。
若者カトリック教 [9] のFacebookには、地元のネットコミュニティが注目している請願者達の集会が生放送された。
キィ・アン裁判所の内外の様子は原告代表ピーター・チョラン・サング達によりFacebookライブされ、多くの人達が映像 [10] に見入った。
サング氏が掲載したこの 写真 [11] は下記のキャプションとともにシェアされインターネット上に広まった。
I, too, am thirsty and tired but I’ll share this with you if you side with the people.
「僕は疲れてのどが渇いているんだけれど、君も僕たちの味方ならこれを一緒に飲もうよ」
[12] 提供:ピーター・チョラン・サング Facebook
人権弁護士として知られる、レー・コング・ズィンによると、この環境災害の被害者達は全ての関連当局に要求を主張 [13] することに成功したのである。