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インド グーグルマップにトイレを表示 屋外排せつ防止のための新しい取り組み

カテゴリー: 南アジア, インド, テクノロジー, デジタル・アクティビズム, 人権, 健康, 市民メディア, 行政, 開発
A public toilet in India. Image from Flickr by the Author. CC BY-NC-SA [1]

​インドの公衆トイレ 写真:筆者の Flickrから  CC BY-NC-SA

​インドで公衆トイレを見つけられるかどうかは長年にわたる問題である。インドの人口12億のうちほぼ半数が、家庭内に水洗トイレ [2]を備えておらず、 ​屋外排せつ [3]や非衛生な素掘りの穴への排せつを余儀なくされている。​特に、農村地帯で顕著である。屋外排せつをすることで様々な問題が生じている。例えば、​成人女性や女の子への嫌がらせを誘発したり、手作業によるトイレ清掃 [4](手を用いてし尿を除去すること)といった非人道的な作業が相変わらず行われていたり、更には下痢や脳炎などの疾病がまん延したりするといった問題が生じている。

​​​屋外排せつを無くそうとする取り組みで、グーグルとインド政府は 協力し合うこととした [5]。取り組みの内容は、インド国内の公衆トイレを地図上に表示し、利用可能な身近にあるトイレを見つけやすくしようとするものである。

​インド​首相ナレンドラ・​モディ​は、自らが提唱する壮大なSwachh Bharat [6]運動(清潔なインド運動)の一環として、2019年までにインド全土に1200万以上のトイレを設置すると公約した [7]。しかし、トイレを設置することは簡単であるが、国民が自ら進んでトイレを使用するように誘導するのは実際容易なことではない [8]国民の間に衛生観念を根付かせる [9]までには、まだ長い時間がかかるといえる。

​言うまでもなく、公衆トイレを清潔で利用可能な状態に保つには維持管理 [10]が必要である。そして、時には切羽詰ったときにトイレを見つけられないこともある。

​そこで、グーグルとインド都市開発省は、グーグルマップ上で利用可能なトイレを検索するツールを開発した。このツールは、首都デリーおよびその他数都市内の多数の共同トイレや公衆トイレの位置、住所および利用可能な時間帯を示す。

​この構想は、12月22日にニューデリーおよびマディヤ・プラデーシュ [11]州で開始された [12]が、すぐにインドの他地域にも拡大していくはずである。トイレの位置は、グーグルマップ上に「swachh public toilet」と表示される。また、市民がより清潔なトイレを見つけられるように、それぞれのトイレには、使用料が必要かどうか、様式(いわゆる和式かまたは洋式か)、そして格付けが示されている。

​最高! インド [13]巡りが楽にできるようになった。 グーグル [14]マップ [15]が公衆トイレ検索システムを公表した。

グーグルマップで公衆トイレを探そう。デリーとマディヤ・プラデーシュ州では、スマートフォンとパソコンで探すことができる。

​​この取り組みを冷やかす者も現れた。

​やあ、グーグルさん、​インド中の家を公衆トイレとしてグーグルマップ上に表示しないようにね。

​一方、ニュースサイトのクオーツ・インディア(Quartz India)でアナニャ・バッタチャルヤ [20]は、現実に即して将来の可能性を受け止めるよう人々に促している。

It would be naive to think Google’s efforts will change attitudes and rectify India’s sanitation troubles altogether, especially since nearly 900 million Indians don’t have access to the internet, which is necessary to view the map. But for those who want and are able to reach a nearby toilet, the maps could prove to be a real asset.

グーグルの取り組みが、インド人の行動様式に変化をもたらし、国民の公衆衛生意識を全面的に是正することになるだろうとする考えは甘い。何と言っても、インド国民のうち約9億人は、グーグルマップの閲覧に必要なインタネットへの接続手段を持っていないのだから。とはいえ、必要なときに近くのトイレへ行くことができる人にとっては、​この地図が実用的であることが証明されるかもしれない。

​世界の何処かで屋外排せつが問題になっているときに、グーグルマップがその特性を地球規模で発揮できるかどうかを見極めるのは興味深いことである。

校正:Seiji MIyoshi [21]