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ガーナの野党サポーターが大騒ぎ:パックジュースによるネット上の挑戦

カテゴリー: サハラ以南アフリカ, ガーナ, ユーモア, 市民メディア, 意見, 政治
画像:Youtubeより [1]

画像:Youtubeより

(原文掲載日は2016年10月20日)

アフリカの中でもガーナは比較的平和な国であるが、特に選挙の時期についてそれが言える。この国の政治家たちは今までも、政権移譲を平和的に進める方法を見つけてきた。またガーナ人たちは、大抵の人は面白いと思わないであろう事柄でも楽しみつつ、社会政治的に困難な問題を巧みに扱うことでも知られている。

つい最近、野党第一党の大統領候補であるナナ・アクフォ・アドに批判的な人たちは、彼を笑いものにした。子供たちに人気の「カリーポ (Kalyppo) 」というパックジュースをちびちび飲む彼の写真を、ネット上で拡散したのだ。

Twitterユーザーのクリス・ヴィンセントは、アドの飲み物の好みをばかにしようと、この写真をネットでシェアした。

#KalypoChallengeに参加しない? アドがジュースをちびちび飲んでいる写真が、ソーシャルメディアの最新の流行をさらっている。

しかし、この中傷という作戦は裏目に出てしまったようだ。アドの支持者たちは今回の中傷を、同じ #KalypoChallenge [6] (本当のブランド名より1つpが少ない) のハッシュタグを付けて、カリーポやその他の国産のパックジュースを持った自分の写真をアップするという、多くの人が参加するイベントに変えてしまったのである。

最近、地方ラジオ局 CitiFMの報道記者であるウマル・サンダは、アドの支持者たちが「パックジュース写真」をうまく活用したことを称賛した。

人々が自分たちの不運を大きな成功に変えてしまうときはいつもわくわくする。#NPP (新愛国党。アドの所属政党) が#KalypoChallengeでやったのがまさにこれだ。完璧。

このネット上の試みの中で、とりわけクリエイティブな改変版も飛び出した。メインプライス・エスマンは「パックジュースセルフィー」にひねりを加え、以下の写真をシェアしている。

多くの人が、このネット上の試みにひきこまれた。ガーナで有名なミュージシャンであるエープラス (A Plus) も、そのうちの一人である。彼は肉をかじりながら片手にカリーポのフルーツジュースを持っている自分の写真を投稿した。

KalypoChallengeへの反応の中でも特に人気を集めた投稿のひとつは、若い男性が歌詞に「カリーポ」の言葉を登場させて現地のゴスペルソングを歌っているものである。

カリーポジュースのメーカーは、Facebookでガーナ人の支持に感謝を示した。

カリーポ・ジュースは全てのガーナ人に対してその愛にお礼を言いたいと思います。
私たちも皆さんを愛しています。
メイドインガーナを応援しよう。
平和な投票も。

ブロガーの中には今回の件を具体例にして、#KalypoChallengeのようなネット上のキャンペーンをいかに生み出すかについてソーシャルメディアの管理人向けに解説した者もいる。JB・クルツェは、以下のように ブログ [9]に綴っている。

Therefore as social media marketers/strategists, we must strive to find and support major cause behind the campaigns we run. Finding a good cause to support with your product will go a long way to compel your audience to engage with it. E.g. A cause to help small businesses with your products, cause to promote peace as election approaches.

したがって、ソーシャルメディアを使ったマーケティングや販売戦略を考える際、我々は自分たちが展開するキャンペーンの背景に大きな目的を見つけ支援するよう、努力しなければならない。商品を支持するための大義を見つけることは、ソーシャルメディアの受け手の関心をその商品に向けさせる上で大きな役割を果たすだろう。例えば、商品の購入を通して小規模企業を助けるという目的の背景に、選挙が近づく中で平和を維持促進するという大きな目的がある、というように。

ブロガーのアミヤ・デブラは、アドの支持者たちがどのようにしてこのミーム [10] (インターネットを中心とした流行りの言葉や画像) の意味をひっくり返すのに成功したのかについて、以下のように書いている。 [11]

Kalypo fruit drink must be the hottest commodity on the market right about now! Ghana’s Social media landscape was swamped with photos of people sharing photos of their Kalypo moments after the New Patriotic Party (NPP) flagbearer, Nana Akufo Addo was pictured sipping his Kalypo. Even though many believe that the photo was initially released to mock the NPP leader, his followers have succeeded in pushing the argument that the former Attorney Generalwas promoting local products with that simple sip.

カリーポのフルーツジュースは間違いなく、今市場で一番ホットな商品だ! 新愛国党の旗手であるナナ・アクフォ・アドがカリーポをちびりちびりと飲んでいる瞬間が撮られてからというもの、ガーナのソーシャルメディアは、カリーポを飲む人々の写真のシェアで溢れかえってしまった。多くの人々は、アドの写真が当初は新愛国党のリーダーをばかにするために公開されたと思っているけれども、彼の支持者たちは、元法務長官がちゅーちゅーとジュースを飲んでいるというただそれだけのことを国産品を宣伝しているということにしてしまったのだ。

ガーナの女性ブロガーたちのリーダー的存在の一人であるジャミラ・アブドゥライは、ソーシャルメディアを利用した国産品の宣伝の必要性を強調した。

もしこのワクワクする出来事すべてが#KalypoChallengeがきっかけで始まったことだとしたら――想像してみて、#MadeInGhana (メイドインガーナ) で私たちに何ができるかを。毎月ひとつの製品をそうやって応援するの。

一方、ガヴィヴィナ・オクゼトは野党党首アドに対し、#KalypoChallengeに代わるキャンペーンに注力するよう警鐘を鳴らしている。

あなたの仲間は昼も夜もキャンペーンと称して#Kalypochallenge をやってる。アクラ (訳注 : ガーナの首都) にでんと座っているあなたもだ。こんなのでみんなが投票に行くようになるのか?

#KalypoChallengeを巡ってのお祭り騒ぎは、元大統領 [18]ジョン・クフォーなどの地元の有名人が加わる [18]ことで、未だ静まる気配がない。

(訳注:ガーナ大統領選は去る2016年12月7日に実施され、当時野党だったNPP(新愛国党)のナナ・アクフォ・アド候補が当選した。)

校正:Yoko Higuchi [19], Izumi Mihashi [20]