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インド女子射撃界のエース、ヒジャブに「ノー」

カテゴリー: 南アジア, イラン, インド, スポーツ, 人権, 女性/ジェンダー, 宗教, 市民メディア, 抗議
heena-sidhu [1]

女子10mエアピストルのヒーナ・シデュ選手。2013年のISSFワールドカップミュンヘン大会決勝で金メダル獲得後の画像。国際射撃連盟(ISSF)が投稿したYouYube動画のスクリーンショット。

インド女子射撃界のエース、ヒーナ・シデュ [2]選手が、イランにおける女性へのヒジャブ着用義務は受け容れられないとして、2016年12月に同国で行われる第9回アジアエアガン選手権への 出場を辞退 [3]すると発表した。

シデュ選手は今回の出場辞退について釈明するため、ツイッターや自身の公式フェイスブックページでコメントを発表している。10月29日には、次のようにツイートした。

何も体制を変えようとしているわけじゃない。ただ、スポーツ選手にまでヒジャブの着用を義務づけるというのは、スポーツ精神に合わないと思う。

さらに、「これは個人的に決めたことで、政治的なものとして見られるのは不本意。注目されるべきは大会についてであって、ヒジャブについてではない」とも述べている。

シデュ選手の態度は、ネット上でインド人及びリベラルなイラン人の双方から多くの支持を集めた。

インドのクリケット評論家でジャーナリストの ハルシャ・ボグレ [5]は、ツイッターで支持を表明した。

大賛成。服装についての決まりごとは、現地の人にはあれこれあるかもしれないけど、それを国際大会に集う各国選手に強要するなんてばかばかしい。

また、芸人のソーラーブ・パントは、次のようにツイートしている。

ヒーナ・シデュが、イランでのアジアエアガン選手権出場を辞退。イランでは、必ずヒジャブを着けないといけないからね。
くっだらない規則。
そして、勇気ある態度。

ブロガーの サムセイズ [9]は、インドのスシュマ・スワラージ外相が、最近イランを訪問した際に現地で頭部を覆っていたことに触れ、こうツイートした。

スワラージ外相でさえ、イランでのヒジャブ着用義務に抗うことなくショールで頭を覆ったというのに、ヒーナ・シデュのこの態度は実に見事だ。

他にも多くの支持が、彼女の公式フェイスブックページ [12] に寄せられている。

ヒジャブの着用義務に屈しないシデュ選手の今回の決断は、リベラルなイラン人に歓迎されているようだ。女性に対するヒジャブ着用義務と戦っている活動家らもまた喝采を送っている。その一人、マシフ・アリネジャドは、「マイ・ステルシー・フリーダム」と題するフェイスブックページで、人前でヒジャブを着けないイラン人女性たちを紹介している人物だ。これまで数々の国際的な賞を受賞したイラン人ジャーナリストであり、今は亡命中の身である彼女は、ユース・キ・アワーズ(Youth Ki Awaaz) [13]という若者向けニュースサイトにこう 投稿 [14] した。

In Iran, women are also fighting in their own ways against the compulsory hijab. When Heena chose to protest against the compulsory hijab in Iran, I shared her photo [15] on the My Stealthy Freedom campaign page and my Instagram [16]. Many women inside Iran applauded her actions, cheering her as a sister in the same fight.

イランでは、女性たちが各人各様のやり方でヒジャブの着用義務に抵抗しています。ヒーナ・シデュ選手がイランでのヒジャブ着用義務に反対する道を選んだことを受け、彼女の 写真 [15]を「マイ・ステルシー・フリーダム」運動のフェイスブックページや私の インスタグラム [16]でシェアしました。イラン国内の多くの女性が彼女の行動に拍手喝采し、戦友として声援を送っています。

イランでのヒジャブ着用義務にスポーツ選手が抗議の意を示したのは、今回の件が初めてというわけではない。女子チェスのアメリカ王者、ナジ・パイキーズ・バーンズ氏は、2016年12月にイランで開かれる世界女子チェス選手権への不参加 [17]をシデュ選手と同じ理由で表明し、同時に開催地の変更を求めている。

校正:Maki Ikawa [18]