- Global Voices 日本語 - https://jp.globalvoices.org -

フィリピン:ニコロデオンの海中テーマパーク建設に、環境活動家がNO!

カテゴリー: 東アジア, フィリピン, 市民メディア, 抗議, 旅行, 環境, 経済・ビジネス

(原文掲載日は2017年1月12日である)

Image from the online petition created by environmentalist Anna Oposa [1]

「我が家を荒らすな」環境活動家アナ・オポサ氏が立ち上げた、オンライン署名活動サイトの画像。

ニコロデオンは、児童向け娯楽番組を制作する会社である。そのニコロデオンが、地球にやさしい最後の秘境であるフィリピンのパラワン島に、テーマパークを建設しようとしている。地元の環境活動家たちは、建設に反対している。

ニコロデオンは「スポンジ・ボブ」「ミュータント・タートルズ」や「ドーラといっしょに大冒険」など、人気番組を作っていることで世界的に知られている。大手メディアで親会社であるバイアコムは、1月9日月曜日に、パラワンのテーマパーク建設計画を発表した。バイアコムは、コーラル・ワールド・アンダーシー・リゾート社と共同で、テーマパークを建設 [2]しリゾートを併設させるそうだ。

世界初の海中アトラクションになるだけでなく、このプロジェクトが完成すれば、400ヘクタール(988エーカー)に及ぶリゾート地となる。そしてパラワン州コロンにある、16箇所の白い砂浜がある島々内に建設される。コロンは白い砂浜、海面下に広がるラグーン、天然のサンゴ礁で有名な、パラワン州の人気観光地である。また、未規制の商業採取によって絶滅危惧種となった、様々な生物の住処でもある。

リゾートとパークの建設計画発表後、環境活動家の アナ・オポサ氏 [1]は、インターネット上で計画反対の署名運動を始めた。 これを書いている時点で、活動開始から2日もたっていないが、すでに18万9千人以上の署名が集まっている。

Contrary to the press statement that the underwater theme park would “advocate ocean protection,” it will accomplish the exact opposite. By building artificial structures, you will undeniably damage and disrupt Palawan's marine ecosystems — our Last Frontier.

For a channel that targets children, Nickelodeon is setting a terrible example to the younger generation by taking away their right to enjoy our natural resources. We don't need an underwater theme park — our underwater life is fascinating, entertaining, and educational on its own.

報道によれば「水中テーマパークをつくることで海洋生物に影響はありません」としていますけど、絶対、悪い結果になるに決まっています。 人工物をつくれば、「最後の秘境」であるパラワンの海洋生態系に、間違いなくダメージを与え、そして破壊してしまうでしょう。

ニコロデオンは子供向けチャンネルなのに、若い世代から自然を楽しむ権利を取り上げるという非常に悪い手本を示すことになります。
テーマパークなんて必要ありません。そのままでも魅力的で見ていて楽しいし、勉強になりますから。

Coron is a popular tourism destination known for its white sand beaches and hidden lagoons. Photo from the Facebook page of Save Philippine Seas [3]

「コロンはビキニ・ボトムではない!」「今すぐ嘆願書に署名を!」「ニコロデオンの『パラワン州コロンのテーマパーク建設』に反対!」 コロンは、白い砂浜と海面下に広がるラグーンで知られる人気観光地である。

開発者たちはこの批判に対し、実際テーマパークは、主に陸を基盤としてつくられ、その延長で水に浮かぶ施設 [4] ができるだけだと返答している。しかしこれはバイアコムの「レストランとラウンジは水深20フィート(6メートル)に位置し、色鮮やかな海の中の世界を見ることができる」という 報道 [5] とは矛盾する。

開発者たちは、バイアコムの説明に関して補足しようとしたが、「セーブ・フィリピン・シーズ」ネットワークは 言い分を跳ねのけた。 [6]

Their statements attempt to downplay the possible irreversible environmental impacts of the proposed project to the marine environment, violating the constitutional rights of the community to a healthy and balanced ecology. Though they claim to build on private property, the Philippines’ waters cannot be privatized. Their statements also make no recognition of or respect to the rights of the indigenous peoples of Calamianes.

彼らの主張は、計画案を実行すれば、海洋環境に取り返しがつかない影響を及ぼす可能性があることを、軽視する内容です。 また「この地域の健全で調和のとれた生態系を守る」という憲法の権利にも違反します。 私有財産をつくると主張していますが、フィリピンの海は私物化されるべきではありません。また、カラミアン諸島の先住民の権利に対して、納得のいくものでもなく尊重できるものでもありません。

環境団体はリゾート開発者に、建設資金を既存の海洋保護区の支援に使うよう強く求めている。

…we still stand by our position for them not to proceed with their project and to re-channel their budget to support existing marine protected areas and sustainable livelihood programs for communities.

[中略]私たちは、プロジェクトを阻止するように努めます。またこの予算の使い道が、既存の海洋保護区の支援や、地域にとって環境によい暮らし作りの計画に、再び使われるように働きかけていきます。

Image from the Facebook page of Nilad [7]

「パラワンにスワイパーは、立ち入り禁止!」「ニコロデオンの『パラワンのテーマパーク建設』に反対!」 ニラッドのフェイスブックページの画像

ちなみに政治家の環境大臣も、どんな海中テーマパークであってもパラワンに建設するのは反対だ、と述べている。

ロペス大臣は「パラワンの水中テーマパーク建設を認めません」と述べています。

校正:Etsumi Itai, [10]Rie Tamaki [11]