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ペルー人が見つけた強さ―無情な3月からの生還

カテゴリー: ラテンアメリカ, ペルー, 人道支援, 市民メディア, 災害, 環境
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カルロ・パレデスさんが投稿したYouTubeの動画「エバンヘリーナ・チャモロさんの苦闘と勇気」のスクリーンショット

(原文掲載日は2017年3月19日)

南米のペルー各地では3月上旬 [2]から、いつ終わるとも知れないような [3]激しい雨が降り続き、その影響で川の氾濫や地滑り、道路の閉鎖などの被害に苦しめられている。最近では、学校も新年度開始早々に臨時休校 [4]している。このような被害が広がり続けるなか、#FuerzaPerú [5](ペルーに力を)や#UnaSolaFuerz [6](力をひとつに)のハッシュタグを使って、被災者の話や安全を願う応援の声をソーシャルメディアへ投稿する人々が、ペルー国内や世界各地でどんどん増えている。

ペルーでは、ニーニョ・コステロ [7](訳注 : ペルーとエクアドル沿岸部で起きる、エルニーニョの影響による激しい降雨)として知られる危険な気象現象がおきる。3月16日現在、今回の災害の影響でこれまでに62人が死亡し、被災者は6万2000人に上っている。エクアドルでの被害 [8]も報じられている。

3月18日土曜日の新聞の売店。ほとんどすべての新聞の一面の見出しが雨について。写真:筆者撮影。使用承諾済。

ペルーの大統領ペドロ・パブロ・クチンスキは、自身のTwitterからペルー国民へメッセージをおくり、今回の災害に対する国の対応や一般的な注意事項を発表した。

私は、被災地の復興を開始するために、群や地区、県、国の行政に44億ソル(約13億米ドル)を支給することを決定しました。

我々は、結束して非常事態に立ち向かう準備ができています。冷静に当局の指示に従いましょう。

この緊急事態は終わるでしょうが、警戒が必要です。不必要に、浸水している道路を通ったり壊れた橋を渡ったりするような危険は、避けるようにしてください。

最も被害のあった被災地では、物資供給が尽きるという噂や不安がある中、人々が店に殺到した。いくつかの団体は、こうした地域に寄付するための救援物資 [14]を集めている。先週、水道水の供給が止まった [15]ときには、水を買うために、スーパーマーケットに長い行列 [16]ができたという報告があった。

支援物資を寄付するため、メガプラザ・ショッピングセンターへと足をはこぶリマの人々。

バケツに満杯の水をもらうために並ぶ人々の行列。街中どこでも同じような光景が見られる。リマ、ラ・ビクトリア地区のパリナコチャス通り。

ボトルの水は売り切れ、スーパーマーケットには果てしない長蛇の列。あわてなくても大丈夫、パニックにならないで。食料の供給は保証されている。

エバンヘリーナ・チャモロさん:抵抗の象徴

ここ一週間、エバンヘリーナ・チャモロさんという女性が、ニュースの中心となっている。エバンヘリーナさんは、彼女が家族と暮らすリマのプンタ・エルモサ地区でワイコ(訳注 : ペルーで発生する、降雨による地滑りなどの大規模な土砂災害)に遭ったあと、文字通り泥の中から現れて [1]ニュースとなった。

エバンヘリーナ・チャモロさん(32歳)、プンタ・エルモサ地区を襲った地滑りから脱出して命拾いし、大惨事に立ち向かうペルーのシンボルとなる。

エバンヘリーナさんは、驚くことに、あの地滑りで、致命的な怪我を負うこともなく、現在病院で療養中だ。

恐怖!
本日2017年3月16日(木)付け本紙一面。

ウェブサイト、セ・ロ・エクスプリーコ・コン・プラスティリーナ [32](粘土で説明します)の著者であるコロンビア人アーティスト、フンベルト・アルベレスさん(アルター・エディー [33]名で一般に知られている)は、このサバイバルストーリーに刺激を受けて、新しい作品を生み出した。

ペルーに力を。エバンヘリーナ。緊急事態のリマ。エバンヘリーナ・チャモロ、何という苦闘と勇気の実例だろうか。

今月、これらの惨憺たる事態に直面しているペルーでは、歴史家ホルヘ・バサドレ [38]が作った有名な言葉「抱えている問題以上に、ペルーは大きい」が国民の祈りの言葉となっている。

校正:Yoko Higuchi [39]