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カトマンズにはマスクをつけてる神様がいるの?!

カテゴリー: 南アジア, ネパール, テクノロジー, 市民メディア, 意見, 抗議, 政治, 環境, 行政
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埃を吸わないようにマスクをつけてお祈りするチベットの高齢の女性。ネパールの首都カトマンズのボダにあるタールラム僧院。WonderlaneがFlickrに掲載した写真。CC BY-NC 2.0

ネパールの首都カトマンズは、近年最悪の大気汚染に直面している [2]。粉塵がいたるところに舞い、呼吸器疾患が増えている。そして政府はお気楽なことにこの状況に無関心なため、ある学生グループ [3]が町中の象徴的な像にマスクをつけて [4]大気汚染に対して抗議することを決めた。

やったぜ!カトマンズの大気汚染への抗議の証として、若者がこの像にマスクをつけたぞ。

住民も、「カトマンズ」と「埃」、「マスク」と「カトマンズ」などマッシュアップして作られた単語にツイッターのハッシュタグをつけることで、この活動に参加した。有名なネパールの仏教僧院イ・バハ・バヒ [8]で行われた公演に出てくる神様でさえマスクをつけるようにアレンジされていた。

ここでは神様でさえマスクを必要としてるわ!

ネパールの元首相ジュッダ・シャムシェ氏の像がマスクをつけている画像は広く拡散された。

公共物を故意に破壊することには反対だけど、この埃まみれのカトマンズに関して政府を突き動かそうとするこの活動は別だ。

カトマンズの大気汚染レベルは世界保健機関が定めた最低許容水準を超えている。町のいたる所にある何百ものレンガの焼き釜や道路を埋め尽くす大量の車から排出されている元々の汚染に加えて、2015年に起きた地震に伴う復興作業、道路の拡張工事、メラムチ給水事業 [21](MWSP)に関連したパイプラインの敷設などが、カトマンズにおける大気汚染の悪化を助長する原因になっている。

カトマンズ渓谷はボールのような形をしており、この地形が風の動きを制限して大気中に汚染物質をとどめる手助けをしている。クリーンエアネットワークによると [22]、冬の間は大気汚染の被害をより受けやすくなっている。

ネパール健康調査委員会 [23]によると、カトマンズの空気は2.5ミクロン未満の粒子状物質(PM2.5)を含んでいる。この物質は発ガン性があることで知られている。人の髪の毛の直径よりも小さい、直径10ミクロン以下の粒子 [24]は小さすぎるため肺に入りこみ、深刻な健康被害を引き起こす可能性がある。

渓谷汚染指標

このインスタグラムの画像は#Dustmanduのハッシュタグをつけて掲載された。

#Dustmandu ! #Ringroad section at #Gausala, filled with #dust ! #melamchi #kathmandu #Nepal [28]

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埃まみれのカトマンズ! ガウサラのメイン通りは粉塵まみれ!

アップエンドラ・シュレスタがこの風刺画を共有。

埃まみれのカトマンズの現実

政府はここまでの事態になる前にこの破壊的な粉塵の嵐を避けるための手を打つことができたはずだが、やっとゆっくりとこの危機的状況に応え始めた。

政府は最近、首都とその周りの渓谷において20年経つ車の利用を禁止 [32]した。それに加えて、議会の環境保全委員会は、粉塵の汚染を軽減するために水道局に水をまくことを命じた [33]。また、BBCの報道によると [34]10台のレンガの焼き釜に新しい技術が導入され、この技術により約60%の汚染の軽減が見込まれている。

しかし、当面、カトマンズ市民はマスクをして顔を覆う以外の選択肢がない。それは街の彫像たちと同じだ。

校正:Asuka Sakagami [35]