ディズニー初の「ゲイ・モーメント」がマレーシアとシンガポールの宗教保守派を憤慨させる

(原文掲載日は2017年3月15日)

フロリダ州ウォルトディズニーワールド 写真:フリッカー/使用条件 CC 2.0

シンガポールとマレーシアの宗教団体と国家検閲は、ディズニー映画「美女と野獣」の実写版リメイクが適切ではないとしている。

この映画に「ゲイ・モーメント(同性愛シーン)」があるという報道を受けて、シンガポールではキリスト教指導者が忠実な信者たちに対し、その映画に組み込まれているとされる「LGBTアジェンダ(訳注:LGBTの人々が差別されることなく生きられる社会をめざす計画)」から彼らの子供たちを「守る」ようにと忠告した。マレーシアの映画検閲委員会は当初、「同性愛シーンのカット」をした上での一般公開を承認していた。

「美女と野獣」は若い娘と呪いをかけられ城で野獣として生きる男とのラブストーリーである。この映画監督はメディアに対して、今回のリメイクにはゲイのキャラクターが登場すると述べていた。

シンガポールの国家教会協議会は、この新作映画が1991年のディズニーアニメーション映画の「健全」を「排除」していると怒りをあらわにし、俳優ジョシュ・ギャッドにより演じられたゲイのキャラクターを「まったく不要」だと非難している。協議会は「同性愛者のライフスタイルが社会で受け入れられるようにする」ことがウォルト・ディズニー側の意図であると大衆に警告する公式声明を出した。

Some Christian leaders here are deeply concerned about the LGBT representation in this new Disney movie. They see this as an attempt to influence young children and socialize them at an early age into thinking that the homosexual lifestyle is normal.

協議会にはこのディズニー新作映画のLGBT描写について深く懸念している指導者もおります。彼らはこの描写が幼い子供たちに影響を及ぼし、そして早くから同性愛者のライフスタイルは普通のことだと思う社会に子供たちを順応させようとするディズニー側の思惑があると考えております。

シンガポールのローマカトリック教会もこの映画を観る際に保護者たちに注意をするよう促す簡潔な声明を出した。

With extensive media reports of the purported ‘gay moment’ in this movie, we believe that parents must discern and reflect with their children on whether the lifestyle portrayed is consonant with the teaching of Christ. They must explain the implications and the consequences of such a lifestyle for themselves and society.

この映画の「ゲイ・モーメント」と称される広範なメディア報道において、保護者たちは描写されたそのライフスタイルがキリストの教えに一致しているかどうかを自身の子供たちと見分け、そしてよく考えなければならないと我々は強く思います。保護者たちはそのようなライフスタイルが自身と社会に与える影響とその重大さを子供たちに説明しなければなりません。

シンガポールでは、男性間の同性愛行為は違法とみなされる

マレーシアでも同性間の性行為は法で禁止されており、国家検閲委員会が編集版にさえ根強い懸念を示した後、「美女と野獣」の上映はすべて無期限延期となった。この公開延期についてウォルト・ディズニー・カンパニーは、マレーシアの映画状況をよりよく知るための「内部審査」が終わるまでだと述べている。

ハリウッドの有害な影響に対するマレーシア政府の明らかな警戒は、国内の多くのディズニーファンを失望させた。また一般の映画ファンだけではなく文化大臣もこの不公平な検閲に懸念を表明した

ソーシャルメディアでは、マレーシアの人々が事実上の上映禁止について不満を爆発させた。中には、あらゆる種類の暴力的な娯楽が映画館やテレビ等で受け入れられているのになぜ「美女と野獣」はいけないのかを検閲委員会に説明するよう要求する人もいた。

「美女と野獣」に生じたその事態に言葉もない。ただマレーシアがそれほど過敏ということにはまったくがっかりだ。

「美女と野獣」、時計とキャンドルのゲイシーンによりマレーシアでは上映禁止」って。
愛すべき我が国

マレーシアには改善すべきものがたくさんあるのに、みんな「美女と野獣」の上映禁止なんてつまらないことに目を向けてばかり。うんざりだ。

可能性の国、マレーシア。テレビでWWEが放映されている一方で、「美女と野獣」は禁止されている。どうやら私たちの国は愛ではなく戦闘を促進するらしい。

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