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中国人はUberが大好き!でもお上はそうでもない?

カテゴリー: 東アジア, 中国, 市民メディア, 法律, 経済・ビジネス, 行政
Screen Capture from Uber Guangzhou page. [1]

Uber広州のWebページ

中国当局は5月6日、クラウドソーシングによる配車サービスを提供する米企業「Uber」の成都オフィスに強制捜査 [2]に入った。1週間前には同社の広州オフィスも、無認可での業務実施の疑いで捜査を受けている。

当局側の説明では、捜査の目的は非合法タクシー取り締まり [3]の一貫だとしている。Uberは、他国でも過去に同様の理由で取り締まりを受けている。しかし取り締まりのもうひとつの理由は、国内のタクシー配車サービスを海外の競合から保護するためだと考えられている。

Uberは、2014年2月に中国市場に参入し、現在では中国10都市でサービスを提供している。2014年12月に中国最大の検索エンジンを提供するBaidu社と組んで、Baiduマップを使ったアプリを提供してから一気に中国市場に広まった。

しかし2015年1月、中国の交通運輸部は、モバイルアプリを使った無認可の自家用車配車サービスを禁止 [4]した。中国国内でタクシー配車サービスを提供する、アリババグループの子会社Kuaidi Dacheと、テンセントホールディングスが持つDidi Dacheの2社が合併 [5]を決めて間もなくのことだった。同社は、交通運輸部が示すガイドラインに沿って認可された第3者のレンタル会社の車を配車することで、Uberよりしっかりとサービスを監視できると主張している。

3月にはDidi Dacheが市場独占を狙いUberと提携交渉 [6]をおこなったが、Uberはこれについては何もコメントしなかった。

Uberは競争を歓迎しているようだ。Uberチャイナ社は、自家用車のレンタルサービス会社と組むだけでなく、独自に自家用車を登録できるサービス「People's Uber」を始めた。技術関連のブロガー、トーマス・ルオ氏は、このプラットフォーム提供 [7]を歓迎している。

尽管大量低价车充斥着人民优步的市场[…]司机试图在意用户的感受并尽量满足乘客的需求——这种平衡让Uber在中国获得了“人民性”。而获得了“人民性”的Uber和它的“人民优步”服务,事实上成为了一个将那些被摒弃在出租车营运体系和资格之外的私家车们(官方亲切地称之为“黑车”)凝聚和组织在一起的“另一个出租车”营运体系,一个依靠人民群众,放手发动群众的出行供需平台。[…]也正是因为如此,它让竞争对手恐慌——微信平台曾多次以“恶意营销”为名封禁Uber在各个城市的运营公众号[…]

Uberに登録している自家用車の多くはボロ車だが顧客のニーズは満たしている。Uberは、売り手と買い手の均衡により人々の支持を得ているのだ。People's Uberは、公式な配車サービス(公称「黒塗りの車」)からはじき出された個人ドライバのための新たな配車方式である。これは人の空き時間を利用し、その時間を使いたい人とマッチングをする方式である。(中略)People's Uberは、このようにユーザー同士の繋がりで成り立っているサービスなので、競合他社は神経質になっている。WeChatは、「スパム・マーケティング」を理由に多くの都市でUberの公式アカウントを閉鎖した。

政府も、People's Uberのビジネス戦略を良しとしていない。ルオ氏は、Uberが外資系企業であることが取り締まりの本当の理由だと見ている。

对一家试图在中国开展业务的美国科技公司来说,保守和矜持会遭到轻视和“不接地气”的嘲笑,但决绝和生猛毫无疑问会遇到更严酷的反扑——2008年的Google中国和现在的Uber都是这样的例子。
但Uber在中国面临的并非Google当年的窘境——Google在中国的业务从第一天起就有文化与意识形态的壁垒,最终的结局也是由于双方(Google与中国监管机构)之间无可调和的价值分歧。而Uber不同,更方便、更实惠和更有赚头的利益驱动是放之四海而皆准的普世价值,而其遭遇的一些被触动利益的主管机构的制裁与打压 […]

アメリカの技術系企業が中国に進出するとき、その戦略が控えめだろうと積極的であろうと、当局から執拗な妨害を受ける。2008年にはGoogleが、現在はUberがその洗礼を受けている。

Googleが中国に進出したときは、最初から文化的、観念的な壁にぶつかり、結果当局と折り合いがつかず破局を迎えた。しかしUberのアプローチは、Googleとは違っていた。まずは、便利で安く、儲かるサービスだということを前面に打ち出して好奇心に訴えかけた。そして国民が興味を持ちだした後に、当局が介入してきた。

警察は、オフィスの強制捜査だけでなく、大都市でのドライバにも目を光らせており、客のふりをして車を呼ぶ覆面捜査もしている。

しかし、ルオ氏はUberの今後について楽観視しており、ドライバたちは取り締まりに対する独自の対抗策を講じると見ている。

看看在人民优步被严厉打压的北京和广州正在发生的事吧——打开Uber应用,5分钟以内可到的“人民优步”轿车仍然密布在地图上随处可见。可能一些司机会提前打电话过来摸一下情况,判断一下是不是被“钓鱼执法”,可能有的司机会跟你商量“咱们到机场直接下停车场,省得被查”,还有的人会跟你约定接头方式和暗号,但一个基本的事实是:活照拉[…]

北京と広州では、People's Uberが厳しい取り締まりを受けている。Uberアプリを開くと、5分以内に配車できる車が地図上にたくさん表示されるが、呼び出されても警察の覆面捜査を疑ってコールバックするドライバもいる。また、警察のチェックを避けるために空港の駐車場で待つように指定してくるドライバもいる。車に乗る時の合言葉を決めるなどもよく行われる覆面捜査対策である。

ルオ氏は、People's Uberを応援するよう人々に呼び掛けている。

这是一场人民优步的人民战争。我们来自五湖四海,为了更自由方便地出行的目的,走到一起来了。当你接到人民优步司机小心谨慎地询问的电话的时候,多给一点理解和耐心——这就是你们接头的暗号。每一个乘客和每一个司机的每一次接头和交易,都指向一条真正通向自由之路。

これはPeople's Uberをめぐる人民戦争だ。我々は、それぞれ立場は違えども、旅先での自由と便利さを得るためにこのプラットフォームに集まった同志だ。Uberドライバが電話番号を聞いてきたら協力してあげて欲しい。それが自由を勝ち取るために必要な合言葉になるのだから。

SNSでの反応を見る限り、概ねUberを支持する声が多いようだが、オードリー・リー氏の見解 [8]の通り、政府は必ずしも国民の味方ではないようである。

关于广州查封Uber总部,安替有句精彩评论:感觉政府解决交通问题无能,但解决能解决交通问题的人非常有能力。

中国人ジャーナリスト、マイケル・アンティ氏は、Uber広州オフィスへの取り締まりに対し、Weiboで次のような皮肉なコメントをしている。「政府は交通問題を解消できないが、解決できる人を消すことはできる」

人口過密な中国の都市における公共交通は、一般的に貧弱なため、アンティ氏の投稿には多くの反響があった。

不解决群众提出的问题!而解决提出问题的群众

政府は国民の課題を解消せず、課題提起する人を消そうとしている。

校正:Hirohisa Ueno [9]