イラン初の高層ビル、プラスコ燃ゆ

Screenshot of the collapse via Press TV.

建物が崩壊する様子。プレス TVから。

2017年1月19日の朝、イランでかつて国内一の高さを誇ったビルが炎上し、崩壊した。人々は皆衝撃に包まれている。

午前8時ごろ、テヘラン市内の10の消防署から約200人の消防士が高層商業施設プラスコの火災現場に出動した。崩壊した建物内で死者が発生した恐れがあるものの、当局からの正式発表はいまだない。50人から100人程度が瓦礫の下敷きになったと見られている。

1962年に建設されたプラスコは、 過去にも火災を起こしたことがある 。安全性に問題があることは以前から周知の事実であり、市民の間で議論を呼んできた。

ソーシャルメディアは、今回の衝撃的な崩壊に関するニュースや写真で持ちきりだ。ハッシュタグは、ペルシア語では#پلاسکوが、英語では#plasco が使われている。本記事を投稿した2017年1月20日時点での報道によると死者は50人だという。また当局は、30人は確実だとしている。

ハサン・ロウハニ大統領は、政府の対応についてツイートした。

The Plasko building incident was very tragic and unfortunate. The Interior Minister has ordered immediate care to the wounded, with plans to compensate the victims and investigate the cause of the accident.

プラスコビルの火災は、まさに悲劇であり、極めて不幸な出来事です。内務大臣は既に被害者への補償や火災の原因調査について案を示すとともに負傷者に対する速やかな治療について指示を出しています。

多くの人にシェアされたあるツイートには、劇的な写真が載せられている。火災現場で感情を抑えきれない様子の消防士たちを写したもので、数行の詩の引用が添えられている。

With voiceless sounds, like a tall mountain, like a short sleep, he was a man, a man.

声なき音に包まれて
そびえる山か
しばしの寝息か
これぞまさしく男の姿

また、オンラインニュースサイト「ハバル・オンライン」がTelegram (訳注:イランでポピュラーなメッセージアプリ)上で報じた記事によると、現場に多くの野次馬が集まったことで負傷者の救助活動が難航しているという。

A widely shared Telegram post on the fire explains that people have gather in such large numbers as spectators that helping the rescue the victims of the collapse has become difficult. Screenshot from Telegram.

3万8千人以上の閲覧者にシェアされたTelegram の投稿。多くの野次馬が集まり、崩壊による負傷者の救助活動が難航している様子がわかる。Telegram のスクリーンショット。

ソーシャルメディア上の他の投稿からは、多くのイラン人にとって今回の惨事はまったくの他人事であるということが見て取れる。救助活動の支援に手を貸そうとしないばかりか、今回の出来事をカメラに収めるべく多くの人が群がり、救助活動の妨げになるという事態も起きているようだ。

イランの風刺画。テヘランの歴史的な建物であるプラスコビルが炎上し、最終的に崩壊した。この絵は、火災に集まった野次馬を皮肉って描かれたもの。

プラスコビル崩壊現場で何もしようとしない見物人に対し、被害者の探索や救助の支援を懇願する女性。「ちょっとあんた、イラクと戦ったんでしょ! 行かないでよ! お願い、助けてあげて!」

しかし、今回の件に関して、イランの人々による積極的な動きもある。崩壊による負傷者に対して、実に多くの人が献血に赴いているのだ。

Organisation for Blood Donations:

Citizens are donating blood to help the victims of the collapse #plasco

献血協会:

プラスコの崩壊による被害者救済のために献血をする人々

火災前後の全く対照的なプラスコビルの姿を写した写真が、ソーシャルメディア上に出回っている。

Memories of buying special clothes and fish, now it has all collapsed

晴れ着や魚を買った思い出も、今はもう全て瓦礫の下に。

テヘラン市街のランドマークだったプラスコタワーの変わり果てた姿を写した1枚。マフディー・アフラークテ撮影。

校正:Maki Ikawa

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