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多様性への理解進まず 反同性愛者から寛容のメッキを剥がされるウクライナ

(原文掲載日は2017年5月12日)

提供元:アレクサンドル・ノセンコ インスタグラムから

今年も開催されたユーロビジョン・ソング・コンテストは今週末に決勝を迎える。しかしそのスローガン「多様性に祝福を」のシンボルとなるはずであった虹のアーチモニュメントは、塗り残しがあるまま首都キエフの真ん中で不気味にたたずんでいる。

複数の極右団体の指導者から、カラフルに塗装すると同性愛者のプロパガンダになってしまうとの苦情があった。それを受けたキエフ市当局はこの巨大なアーチモニュメントの塗装を直ちに中止し、また名前もコンテストに備え「多様性のアーチ」と変更したのだ。(これはかつて「国家間の友情のアーチ」として知られ、ソ連時代にはロシアとウクライナの人々の結束を表すものであった)

この未完成のモニュメントを目にした人々がすぐに思い浮かべるのは、国内に反同性愛者との対立が残っているということ、そしてそれが近年では相次ぐ反同性愛者からの襲撃という形で世間の注目を集める問題となっているということだ。

ウクライナのLGBT活動家であり、キエフ・プライドのプログラムディレクターを務めるアンナ・シェリヒナによれば、ここ数ヵ月にわたって、国中で多数の自警団が同性愛者への襲撃を過激化させており、その被害者は小児性愛者と決めつけられている場合が多いとのことだ。また、アンナは4月11日のフェイスブックに次のように投稿した。「ザポロザイ、ニコポルをはじめとする各都市の動画はすでに数百もウェブ上にあり、今後も同様のものは増加の一途をたどることでしょう。ヘイトクライムに対して非常に大切なことは、団結し立ち向かうことなのです」

こういった自警団は、通称、ナスレージュ(「遺産」)やモッドニー・プリガヴォル(「ファッション審査」)と呼ばれており、「オキュパイ・ペドフィリア」のウクライナ版である。「オキュパイ・ペドフィリア」とはロシアの右翼団体で、通称テサック(ロシア語で「手斧」)で知られる、ネオナチのマキシム・マルツィンケヴィチ氏が率いている。2012年に結成されたこの団体はゲイやバイセクシャルの男性をターゲットにして、ソーシャルメディアや出会い系サイトで未成年に成りすまし、落ち合う算段をつける。いざ落ち合うと、被害者は精神的、肉体的暴力を受ける。例えばオーラルセックスのポーズをとらされている間に頭髪が刈られ、その上に塗料を塗られた挙句、顔つきや身体的特徴を動画で撮影されてしまう。そしてその動画がウェブ上にばらまかれるのだ。

2013年にこの「活動家による排斥運動」がウクライナに飛び火し、国内では現地語でHolubyatnya Het'!、つまり「同性愛者は出ていけ運動」などと呼ばれた。

ウクライナ国内の自警団はこのオキュパイ・ペドフィリアに追随しているのである。例えばナスレージュ・ザポロザイ(ザポロザイの遺産)という名前の団体は、VkontakteというSNSを使って「我々は社会運動家であり、その目的は子供の尊厳を傷つける人間を白日の下にさらすことである」と自らを賛美している。これまでこうした自警団によってアップロードされた動画は数百に上り、動画の中では被害者の多くが暴力を受けた直後の姿で現れる。そしておどされて性的嗜好、性交経験に関することのみならず、氏名、住所、生年月日、学校や職場の場所までしゃべらされるのだ。

この手の自警団は市民を守るためと言い張ってはいるものの、その暴力的で理不尽なやり口と、軽蔑と虚飾に満ちた物言いで人々の生活を破壊し、LGBTのコミュニティーを窮地に追い込んでいる。ウクライナでは同性愛者も小児性愛者も区別なく扱われるようになっていたが、自警団はソーシャルメディアを使ってこうした動画を拡散させ、人々の心をLGBTに対する恐怖と憎悪に染めていった。自警活動やそれに類することがデジタルの世界でもできるようになった結果、ヘイトクライムへの参加が性指向、民族性、信仰を問わず正当化されてしまった。

不運なことだが、国内のLGBTの諸権利や安全を脅かす存在は組織的な集団に限らない。ウクライナ南部の都市、ザポロザイで6日、NPOのジェンダー・Zによる「レインボー・フラッシュ・モブ」というデモが行われた。現地活動家が、不当に軽視されているさまざまな人々のシンボルを「多様性に祝福を」のプラカードの上につけて掲げるというものであったが、終了後に参加者3名が複数の何者かから襲撃を受け、暴力を振るわれたのだ。

一字として違わないモットーでありながら、かたやキエフではその下にユーロビジョンのファンが何万と集い、かたやザポロザイではジェンダー・Zの活動家1人が病院送りにされたのである。

キエフを訪れたユーロビジョンのファンは今月の15日まで、この不運に見舞われた虹のアーチを見ることができる。このモニュメントはイデオロギーの対立を象徴するものとなってしまい、コンテスト終了後にいくら塗料を洗い落とそうとも、もはやこの対立の記憶は消し去れなくなってしまった。キエフで毎年行われ、6回目を迎えるLGBTのプライドパレードまでわずか1ヶ月という中、ウクライナ社会は多様性を受け入れるのか、それともこれまで同様、排除されるにまかせるのか、問題は解決されないままである。

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