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公民権運動時代の人間賛歌を今再び!! インド系アメリカ人ムスリムの熱い歌声

カテゴリー: 北アメリカ, アメリカ, 人権, 市民メディア, 抗議, 音楽

ジシャン・バガワディ近影 本人提供

これは2017年2月13日付でPRI.orgに掲載 [1]されたトレーシー・トン [2]による記事である。PRIとグローバル・ボイスの提携によりここに再掲載する。

ジシャン・バガワディはいつも何か新しい歌を探し求めている。正確には新作と言えないが、最近素晴らしい歌が見つかった。45年以上も前のジョージ・パーキンス [3]の1970年作品、「クライング・イン・ザ・ストリート」だ。

この歌はその2年前に起こった公民権運動の指導者、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアの暗殺事件に抗議して書かれたものだ。

しかしバガワディは、現在の平等権を求めるたたかいのためにも「クライング・イン・ザ・ストリート」を歌えると確信した。そのようなわけで、今の時代にこの歌を蘇らせたのだ。

原曲の歌詞について彼はこう語る。「『ストリートをデモ行進する人がいる。ストリートで泣いている人がいる。ストリートで命を落とす人がいる』打ちのめされたね……。とてもわかりやすかったし、心にグサっときた。すごく大切なことを歌っていたよ」

バガワディは自分の経験からも「クライング・イン・ザ・ストリート」に共鳴した。彼はインド系アメリカ人としてシカゴに生まれ、ムスリムとして育った。父親のブルース、ソウル、ゴスペルなどの幅広いレコードコレクションを聴いて大きくなった。「オーティス・レディング [4]サム・クック [5]カーティス・メイフィールド [6]ジェームス・ブラウン [7]……みんなぼくの子供時代のサウンドトラックみたいなものだったよ」と彼は言う。

彼の父親はフリーのジャーナリストだった。インドに住んでいたが、そこからアメリカの公民権運動を支援していた。バガワディはこう語る。「父は黒人文学の論評を書いていた。黒人文学の芸術的表現にいつも夢中になっていて、ラングストン・ヒューズ [8]ゾラ(ニール)ハーストン [9]を読んでいたよ」

この父の姿がバガワディに多大な影響を与えた。彼はブラック・ライブズ・マター運動の同志になった。これは黒人に対する暴力や組織的な人種差別主義への反対運動だ。「この運動でするべきことは簡単さ。僕らの為に道を切り開き、たたかいの最前線で踏ん張ってきた人たちがいる。僕たちムスリムはそんな人たちと共闘しなきゃいけない。つまりそれは僕らのたたかいだし、その苦しみは僕らの苦しみなんだよ」

言葉だけより音楽はずっと強力だ、と彼は続ける。「カーティス・メイフィールドが『みんな、用意はいいか、もうすぐ汽車が着く』 [10]と歌うのを聴いてごらん。マヘリア・ジャクソン [11]『ジェリコの戦い』 [12]に耳を傾けてごらんよ。こんな歌を聴いて気合いが入らない人には、一体どんなショックが必要なんだ?」

ジシャン B ークライング・イン・ザ・ストリート (公式ビデオクリップ)

校正:Mami Nagaoka [13]