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幼稚園内に警察機動隊が突入するようなもの !?宗教的少数派に対するロシアの弾圧がエスカレート

写真: Pixabay

(原文掲載日は2017年3月13日)ファシズムを促進したとの理由で警察がエフゲニーを初めて告発した時、彼はモスクワから南東に350マイル(560km)離れたモルドヴィアという地方共和国に住んでいた。

おしゃれなシャツとネクタイで身を包んだ小柄なエフゲニーは、どのように地元警察が一度ではなく二度までも、彼を二年間刑務所に押し込もうとしたかを語りながら笑った。

その地域で人々にパンフレットを配っていたのは本当だ、とエフゲニーは認める。しかしそれはナチスのプロパガンダのパンフレットではなかった。エフゲニーはエホバの証人(神の言葉を広める事を信仰の中核とみなすキリスト教の教派の一つ)だ。

「私は自分の向かい側に座る警察官に、ナチスがどのようにエホバの証人を迫害したかを話したんだ」とエフゲニーは筆者に語った「警察官は私が話したことの内容を信じられなかった。結局彼は私のファイルを見て、全てが作り話であるとした。私は刑務所を一度ではなく二度も脱走した。神は私と共にあるということをその時私は知っていた」

エフゲニーはかつて自分自身のことを”宣教者”と呼び、聖書の研究会を行い、神の言葉を広めていた。彼は今、この言葉を使わないように注意している。昨年の6月にロシアの大統領ウラジーミル・プーチンが新たに署名した徹底的な反テロ法の下では、これ以上宣教活動に従事すると警察によって投獄される恐れがあるからだ。

新しい反テロ法は、もともとはイスラム過激派の伝道師を根絶する目的で制定されたものだが、広範囲に影響を及ぼす可能性がある。宣教活動(その定義は広範囲に及ぶが)に参加する者は、登録されている宗教団体やグループに正式に所属する必要がある。活動そのものも、教会など特別に指定されたエリアに限られている。

この新しく直面した現実に適応することは、エフゲニーにとって簡単なことではなかった。テロリズム相手に戦うロシアを支援しているが、しかしこの法律は恐ろしい時代の前兆だとも彼は語った。

「我々は人々のところに出向く、なぜならそれは聖書に書かれていることだからだ」とエフゲニーは語る。「我々は空っぽの教会で座って待つことはできない。だけど私はその法律の心配はしていない、だって私は悪いことは何一つしていないんだから」

しかしエフゲニーのような人々の自信とは反して、議論の的となっているロシアの新しい法律はすでにこの国の宗教活動の範囲に影響を与えている。

最初のターゲットの一人は、アメリカ出身の単立バプティスト教会の信者ドン・ オッセワーデで、彼はモスクワから南西に約225マイル(360km)離れたオリョール市で、聖書の研究グループを率いていた。ドンの研究グループは小さかったが、そのことは警察が土曜の会合中に彼の自宅を襲撃することを止める理由にはならなかった。

すでに何が待ち受けているか確信していたドンは、警官に会合を終えるまで待ってくれるよう頼んだ。そして彼は地元の警察署に連行され、その後無許可の宣教活動を行ったことを理由に有罪判決を受けた。最終的に彼は、4万ルーブル(616ドル)の罰金を科せられた。

「彼らが私を捕まえようとした時は驚いたよ」と彼は言う。「私は誰にも迷惑をかけたことはないし、政府や地元自治体の非難もしていなかった。私たちはロシア正教会の反対もしていない。だけど私たちの二つの国、ロシアとアメリカの関係性が、今現在難しい状況にあるということは理解している。 自身の問題の責任を誰か他の人、特に外国の人のせいにするのは、政治的に好都合だ」

こうした政治的な効果を上げるために、時として警察は、ちょっとした余計な仕事をわざわざすることがある。ドンが言うところによると、地元の警察は彼を実際に犯罪者に仕立て上げるために、彼が個人宅の郵便受けに入れたパンフレットを取り去り、それを住宅の公共の掲示板にあらためて張り出した。当局の目論みは、ドンの国選弁護人が彼に、もし全ての告発が取り下げられたとしても国外退去させられるかもしれないと警告した時に明らかになった。

ドンは訴訟を起こしロシアの最高裁まで争ったが、1月20日、最高裁判所は彼への評決を覆すことを拒否した。彼の憲法裁判所への訴えは継続中だが、いずれにしても最終的にはロシアを離れることを計画しているとドンは語った。彼はすでに、自身のアパートと聖書の会合を行っていた家を売り、ロシアでの宗教的な活動の全てを断念した。
「ここにいる人々が、礼拝する場所やたくさんの幸せをもたらす活動を自身の政府から奪われるのは、すごく不公平で残酷だ」と彼は言う。「私がここにいた数年間で、神と共にある平安を見出した人はほんの少数にすぎないかもしれない。だけどそれだけでもする価値はあった。私は何ひとつ後悔していない」

好都合な脅威

去年の夏に可決された新しい反テロ法は、宗教的少数派に圧力を与えるロシアで初めての法律だった訳ではない。すでに何年にもわたって政府から敵意を向けられていることを、宗教的少数派の多くは知っていた。

ロシア科学アカデミーヨーロッパ研究所宗教研究センターの研究者、ロマン・ルンキンは、ロシアにおける様々な宗教グループの迫害は10年以上は続いていると言う。

ルンキンが言うには、今回の「反テロ」法はそれまでに公布された似たような法律と同様、宗教的マイノリティは実際は危険な「カルト」だと考えるよう仕向けるものであり、容易に攻撃できる脅威を当局に与えるようなものである。

「もし宗教的少数者に対して罪をでっち上げて取り締まるようなことが何らかの形で正当化されるなら、当局の戦いは幼稚園に警察機動隊が突入するくらい馬鹿げた、悲惨なものになるだろう」とルンキンは言う。

それにもかかわらず、多くの専門家たちはロシア当局が数ヶ月中に無許可の宣教師に対して新しい法律をさらに厳格に施行するだろうと見ている。

コンスタンティン・アレクセーエフは弁護士であり、ロシア下院の社会組織及び宗教団体問題委員会の会員だ。彼はドン・オッセワーデの控訴の際もスラブ法律正義センターと一緒に働いた。アレクセーエフは、裁判官がどのように新しい「反テロ」法を解釈するかという観点から、ロシアでの宗教的マイノリティに対しての状況は、悪化しそうだと思っていると言った。

「問題の法案は宣教師の活動を禁じているのではなく、規制しているだけだ。しかしロシアの法律はしばしば知識ではなく外国人に対する嫌悪感や迷信によって解釈される」とアレクセーエフは言う。

アレクセーエフは、国家がロシア社会に対し更なる権力をふるおうとするなら、裁判所は信教の自由を制限することを強いられるだろうと語った。「国家は全てをコントロールしたいんだ。宗教団体は自立性と独立性の最大の可能性を探っている」と彼は言った。「二つの要素がどこまで許容されるかは、法律において明確に示されている。現在、振り子は国家を強化する方向に振れていて、私たちはさらに厳しくなった宗教に対する法律を目にするだろう」

人道支援

国がますます不安定で敵対的な環境になっているにもかかわらず、多くの教会はロシアで自身の活動を続けることを明言した。

ロシア国内に7つの伝道部があるモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)もまた、今回の新しい法律を遵守しなければならない組織のひとつである。モルモン教徒は彼らの活動をロシアで続けることを誓ったが、宣教師として奉仕する若い人々は、報道が伝えるところによると、自身を”ボランティア”と名乗るようにと指示されているとのことである。

「教会はその(宣教活動に関する)法律を尊敬し、支持し、従う」と教会の広報担当者は声明文で述べた。「宣教師たちはロシアにとどまり、それらの変更された規定の範囲内で活動を行う。教会はその法律とその法律の施行による影響をさらに研究し、分析する」

多くの人々は、人道支援をさらに重視することで宗教的少数派もその活動を続けることができるということに、まだ希望を持っている。ロシア極東の町、ナホトカでかつて宣教師として働いていたライアン・ガーダーは、モルモン教は貧しい人々や弱い立場にいる人々と共にその活動を継続するだろうと語った。

「モルモン教会は助けが必要な人々に奉仕することに対してとても積極的です」とライアンは語る。「私たちは全ての人々が私たちの信仰に興味があるわけではないことや、モルモン教についてこれ以上学ぶ気がないということを理解しています。それでも、私たちの中の多くの人が時々救いの手を必要としています。私たちはその役割を果たすことができて、幸せです」

他の人々、エフゲニーのような人はさらに毅然としている。「私たちはヒットラーの政権下でも同じように闘ってきたんだ。スターリンの下でもやったんだ」と彼は言う。「今当局は、税関の問題だと言って私たちの刊行物や聖書の輸入を差し止めている。でもここに聖書を携えている限り、私たちは活動を 続けていくことができる」

校正:Yoko Higuchi

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