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北アメリカ:石油パイプラインに断固反対!先住民の結束、トーテムポールのもとに1つに

カテゴリー: 北アメリカ, アメリカ, カナダ, 先住民, 市民メディア, 環境

Photo posted on Facebook by Jewell James.

写真:ジュエル・ジェームス氏によるFacebookへの投稿


(訳注:原文掲載日は2016年9月21日です)

この記事は、気候変動問題に取り組む団体350.orgのためにクレイトン・トーマス=ミュラーとアティヤ・ジャファーが書き下ろした記事 [1]をもとにしたもので、コンテンツ共有の合意のもとにグローバル・ボイスに再掲載する。

8月23日、約6.7メートルのトーテムポールが、アメリカ・ワシントン州太平洋岸からカナダに向けて8000キロの旅に出発した。アメリカ先住民ラミ族が計画した「トーテムポールの旅」は今年で4年目となる。その使命は、化石燃料産業への反対運動に積極的な先住民族間の同盟を「強固にし拡大する [2]」ことだ。

今年すでに、ラミ族は北米最大となる石炭積出港建設計画の阻止に成功 [3]し、この大きな勝利を祝った。そして今、このトーテムポールをカナダのウィニペグに住む第一条約区域の人々に贈ることにより、エナジー・イースト・プロジェクトとの戦いを指揮する先住民族と結束して立ち上がっている。エナジー・イースト・パイプラインは北米最大規模となる、オイルサンド [4]を運ぶパイプラインである。
(訳注:第一条約とは、1871年にカナダ政府と先住民の間で結ばれた最初の条約。第一条約区域とはその条約で決められたファースト・ネーションの居留地。)

「トーテムポールの旅」のウェブサイトによれば、ウィニペグにて立ち上げられたトーテムポールは「わたしたち誰もが人間らしい心を持ち、母なる大地との盟約を守るため、全民族が協力する必要があるということの証人 [2]」となるであろう、とのことだ。

(エディタ注:350.orgは、マニトバ・エネルギー正義連合 [5]と共同でウィニペグにアートスペースを立ち上げた。「トーテムポールの旅」への支援として、プラカード等視覚に訴える作品が作れる活動家を養成するためだ)

ジュエル・ジェームス氏はハウス・オブ・ティアーズ彫刻工房の代表彫刻家であり、トーテムポールの作成を主導した人物だ。彼が明確にしたのは、このトーテムポールが反対運動の象徴として立ち、彼のいるコミュニティをタートルアイランド内で化石燃料産業と戦う先住民主導のコミュニティと結び付けてくれるということだ。(先住民族のいくつかのグループでは、北アメリカ大陸をタートルアイランドと呼んでいる)

“We need to let them know they cannot in the name of profits do this to the people, the water, the land, and to the future generations. We will never give up.”

人々の暮らし、水や大地、そして未来の人々の生活。それが利益のためだけに、化石燃料の輸送によって脅かされてはいけない。私たちは決してあきらめずに、それを伝えていかなければいけないんだ。

完成したトーテムポールの傑作には、胸に聖なる輪があるハクトウワシが羽を広げた状態で一番上におり [2]、その下にクマ、オオカミ、コヨーテがいる。根元に近いあたりには先住民の族長が彫られていて、女性呪術医と向かい合っている。ジェームス氏によると [6]、女性呪術医は偉大なる精霊とのつながりを表し、ワシは英知と洞察力の象徴、オオカミは先駆者または導き手、クマは強さを与えるものを表している。

「トーテムポールの旅」はワシントン州ベリンガムにて、内輪での祝福の儀式に始まった。その後すぐ、東に向かって出発する前にシアトルに立ち寄った。一方カナダのウィニペグでは、エナジー・イースト・パイプラインと戦っているコミュニティメンバーたちがこの贈り物を迎える準備をしていた。この大きな贈り物を受け取る計画について、クレイトン・トーマス=ミュラー氏がFacebook上で話している映像 [7]をご覧いただきたい。

セイクリッド・ストーン・キャンプとその他の訪問地

ウィニペグに向かう途中、「トーテムポールの旅」は連帯の表明として、先住民による石油、石炭、天然ガスへの抵抗が盛り上がっている数々の場所に堂々とした様子で訪問した。その中にはカナダのバンクーバーに住むツレイルワウスス族(彼らもまたオイルサンドの拡張と戦っている)、モンタナ州のミズーラへの訪問も含まれている。

中でも注目すべきことは、この「トーテムポールの旅」がスタンディングロック・スー族との連帯を示すため、セイクリッド・ストーン・キャンプを訪れたことだ。彼らは先住民族による反対運動の代表ともいえる、ダコタ・アクセス・パイプラインとの戦いを主導している。「彼らは信教の自由、出版の自由、言論の自由、集会の自由、公然と意見を述べる権利を行使しているんだ。」とジェームス氏は言う。

ジェイ・ジュリアスとラミ族のトーテムポールがセイクリッド・ストーン・キャンプに到着。(訳注:2017年9月7日現在、リンク先の写真は閲覧できない状態になっている)

Facebook上の映像では、ラミ族のメンバーたちがスタンディングロック・スー族との連帯表明について [20]話している。

「トーテムポールの旅」がウィニペグに到着

トーテムポールがカナダを目指し北へ出発したころ、ウィニペグでは何百人もの人々が週末、気候変動に対する運動を支持する作品を製作して過ごした。横断幕や旗のデザインの多くはアイザック・マードック [21]氏が製作したものだ。

Come make movement art with us at the #350 #MEJC #TotemPoleJourney Art Build!! 415 Mulvey ST E. Winnipeg #Treaty1 Territory! Loading ramp on side of CJ Storage (blue bldg) #keepitintheground #WaterisSacred #OgichiTibakonigaywin [22]

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350.orgとマニトバ・エネルギー正義連合の「トーテムポールの旅」アート製作所で私たちと一緒に作品をつくりましょう!CJ倉庫横の坂道です(青い建物)。

ついに9月5日、トーテムポールは目的地に着き、最大級の敬意と熱狂とともに何千人もの人々に迎えられた。

その日、マニトバ酋長連合とコミュニティの協力者たちはトーテムポールの到着をたたえて大規模な公開イベントを開催した。この儀式は部族間同盟の広がりと、クリーンエネルギーの未来を目指すという共通の目標に重点を置いている。

Photography by Greg Gallinger

写真:グレッグ・ガリンガー

Photography by Greg Gallinger

写真:グレッグ・ガリンガー

ジュエル・ジェームス氏とラミ族の人々は第一条約区域の人々と共に、環境正義、先住民の主権の尊重、水の神聖さを訴えるメッセージを掲げ、デモ行進を行った。
長老たちの案内と儀式のもと、この4つめのトーテムポールはウィニペグのメイン通りを進んだ [23]

Photography by Greg Gallinger

写真:グレッグ・ガリンガー

Photography by Greg Gallinger

写真:グレッグ・ガリンガー

行進の途中、デモ隊はカナダで最も有名な交差点であるポーテージ通りとメイン通りの交差点で足を止め、輪になってダンスをした。

Photo credit: 350.org

Photo credit: 350.org

立ち上がったトーテムポール

翌9月6日、第一条約区域にあるタートル・ロッジの神聖な土地にトーテムポールが立てられた。太鼓の演奏、ダンス、儀式がこの荘厳な瞬間を彩った。なお、この映像 [24]についてはFacebook上で閲覧が可能だ。

ついに、このラミ族のハウス・オブ・ティアーズ彫刻家組合からの贈り物は、エナジー・イースト・プロジェクトという北アメリカ最大のパイプライン計画の通り道に、先住民による反対運動のシンボルとして立ち上がった。

The Lummi Nation #TotemPoleJourney has been placed symbolically in the path of the #EnergyEast [25]

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ラミ族のトーテムポールはエナジー・イースト・プロジェクトのルート上に象徴的な存在として設置された。

校正:Maki Ikawa [26]