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メキシコで相次ぐジャーナリスト殺害、今年7人目の犠牲者サルバドル・アダメ

カテゴリー: ラテンアメリカ, メキシコ, メディア/ジャーナリズム, 市民メディア, 戦争・紛争

Salvador Adame. Imagen circulada ampliamente en Twitter.

サルバドル・アダメ:ツイッター上で拡散されている写真


6月26日、当局 [1] はジャーナリストのサルバドル・アダメが、メキシコ西部のミチョアカン州で焼死体で発見されたと発表した。アダメは ローカルニューステレビ局カナル6TV [2]の創設者でもある。

Después de realizar la toma y cotejo de muestras que marca la ley en estos procedimientos, por parte de especialistas de la Dirección de Genética, las pruebas de ADN permitieron comprobar que estos restos corresponden a quien en vida se llamó a Salvador Adame Pardo.

ジェネティクス・ダイレクションの専門家が法律の手順に則り、指紋を採取、鑑定をしたのち、 DNA鑑定により遺体はサルバドル・アダメ・パルド本人であると断定された。生前の彼が戻ってきた。

アダメは武装グループに1ヶ月ほど前に誘拐されたと、メキシコの全国紙ラ・ホルダーナ [3]は伝えている。

遺体が発見された地域は、ティエラ・カリエンテ [4] (暑い土地という意味)として広く知られていて、ミチョアカン州の中でも暴力事件が際立って頻発している。ミチョアカン州はここ数年、犯罪件数及び、州政府と犯罪組織との癒着への非難が急激に増えてきて [5]いる。

独立系 報道機関「アニマル・ポリティコ」 [6] によると、アダメは殺される前にジャーナリストの仕事を止めるよう数回に渡って脅迫されていた。アダメと共に働いていた妻フリーダ・ウルティーズは、彼女自身も大変な脅威を感じていたと 語る [7]

Mi esposo y yo somos los dueños del canal, teníamos convenios de publicidad con el municipio de Mgica úde difundir la labor que todas las administraciones tienen la obligación de hacerle saber a la ciudadanía y desistimos de ello ante la presión que recibíamos.

夫と私はニューステレビ局を経営しています。私たちはムヒカの郡自治政府と広報の契約を結んでいました。全ての郡政府がやらなければならない、市民に情報を伝える仕事をしていました。しかし私たちは圧力を受け、仕事を中止しました。

カナル6TV [8]はウェブサイトで、アダメを次のように評している。

El periodista, quien hace pocos más de un año fue sujeto de vejaciones policiales, mantuvo una directriz activa, crítica, sagaz, atrevida, desafiante, al escenario delictivo que prevalece en la zona, también conocida como Cuatro Caminos, corazón de la entidad y epicentro de interminables disputas gansteriles.

ジャーナリストであるアダメは、1年ほど前警察から嫌がらせを受けたにもかかわらず、活動を続け、批判し、機敏に、大胆で勇敢な指導力を失わなかった。州の中心であり、ギャングの抗争の集中する地域、クアトロ・カミノス で、犯罪が頻発する現状に抵抗し続けた。

アダメは2017年にメキシコで殺害されたジャーナリストの7人目 [9]であると、人権擁護団体センコスは指摘した。センコスはGIF(訳注:ジフ、画像ファイルフォーマットの一つ)をツィートし、アダメが発見された経緯を明らかにし、正義を求め、次の声明で締めくくった。「ジャーナリストは殺せても、真実を抹殺することはできない」と。

#サルバドルアダメ [10] は今年に入って殺害された7人目のジャーナリストだ。私たちは事実を明らかにし、すべての攻撃を止めるよう要求する。#NoToSilence.

メキシコで相次ぐジャーナリストへの攻撃で影響を受けるのは、ジャーナリスト本人だけではない。例えば、フリーダ・ウルティーズは夫が誘拐された後、 重い健康障害 [14] を患っている。

先日、内務省の高官ロベルト・カンパは、過去の政権と比較しても現在のジャーナリストへの暴力は、メキシコで最悪の時期にある [15]とは言えないと、明らかに状況の深刻さをはぐらかす発言をした。

しかしそれは事実である。というのは、メキシコで報道に携わる人々に対する暴力は今に始まったことではないからだ。2015年に、ジャーナリストのイザベル・ウリベはこう記している [16]

En el periodismo mexicano la tinta segrega un constante olor a muerte, nueve periodistas asesinados en lo que va de 2015 confirman que México es uno de los lugares más peligrosos en todo el planeta para ejercer la profesión, una caja de pandora que esconde las más terribles atrocidades: agresiones, intimidaciones, tortura, desaparición, autocensura y muerte.

メキシコのジャーナリズムの世界では、インクに常に死の匂いが染み付いている。2015年に入って9人のジャーナリストが暗殺されて、ジャーナリストを稼業とする者にとって、メキシコが地球上で有数の危険な場所であることを裏付けた。パンドラの箱の中には最もぞっとするような残虐なものが隠されている。すなわち、攻撃、脅迫、拷問、拉致、自己検閲、そして死である。

アダメの死が報じられると、ツイッターユーザーのルイス・デ・トラクィロはこうツイートした。

自分の仕事をしていただけで殺されることがあるなんて悲しいことだ。 #SalvadorAdame

ジャーナリストのジェナロ・ビラミルは州政府を非難した。

またジャーナリストが殺された。#サルバドルアダメが無理やり連れて行かれた数週間後のことだ。ミチョアカン州政府はただ手をこまぬいていただけだ。

メキシコの人権擁護管轄機関は、他の政府機関に行動を起こすよう促した。

CDNH(国家人権委員会)は、国家、州、郡の3段階すべての当局に#サルバドルアダメの殺害を捜査し、解決することを求めている。 #SalvadorAdame.

サルバドル・アダメは、2017年に暗殺されたジャーナリストのリストに加わった。リストには、ミロスラバ・ブリーチ [23] や ハビエル・バルデス [24]の名もふくまれている。

校正:
Sae Shiragami [25]