中米エルサルバドルにおいて、20名以上のアーティストとLGBTQ権利活動家によって、横断歩道のペイントが行われた。ヒーローズ大通りとアンデス通りの間に位置するこれらの横断歩道には、LGBTQのレインボー・フラッグの色である虹色のペイントが施された。このような形でLGBTQコミュニティが公的なサポートを受けるのは、中米において初のことである。
首都の中心地に永続的な芸術作品が設置されたことで、エルサルバドルのLGBTQコミュニティは、知名度および社会におけるノーマライゼイションの点でひとつの重要な進歩を達成した。例年6月のゲイ・プライド月間の開催をはるかに超えた、大きな一歩を進めたことになる。
エル・ファロTVにより制作された報道映像(スペイン語)を見てみよう。どのようにしてアーティストたちが集まり、今回のアート・プロジェクトの準備がなされたかが報じられている。LGBTQ活動家であり、企画段階から取りまとめを行ってきたニコラス・ロドリゲスにとって、この虹色の横断歩道は歩行者、そして性別・性差の多様性への敬意の、偉大な象徴であるという。
アーティストたちはこの作品を「青空の中の大型展示」と呼び、エルサルバドルの社会で、今後大きな影響を持ち続けることを非常に喜んでいる。このプロジェクトには、全エルサルバドル国民の性的多様性を表現することに加えて、歩行者の安全への願いも込められている。
“Todos somos iguales como personas; la convivencia en paz y armonía contribuye a reducir la violencia, y esta iniciativa contribuye a que el peatón, en especial los de la comunidad LGTBI, no sufran violencia de parte de los conductores”, comentó Nicolás Rodríguez, uno de los organizadores.
「私たちは、みな同じ人間です。平和と調和のもとに共存していくことは、暴力を減らすことにつながります。私たちがイニシアチブをとっていくことで、歩行者、特にLGBTQコミュニティのメンバーが運転者からの暴力で苦しむことのない社会へつながります」と、主催者のひとり、ニコラス・ロドリゲスは述べる。
エルサルバドルでは、LGBTQコミュニティのメンバー、特にトランスジェンダー、トランスセクシャルの人々に対しての、暴力の増加に悩まされてきている。政府も彼らの権利を守るよう主導しているが、暴行数は一向に減少していない。原因の一つは警察とギャングに絡む暴力の問題であり、その結果として、1990年代からこれまで600人以上のホモセクシャル、トランスセクシャル、トランスジェンダーの人々が殺害されている。現代でもこのような暴力問題はみられ、身体的暴力のほかにも、脅迫・ゆすり・家や自国からの追放によって苦しむ人々もまた存在している。
このような背景の中、公共の場に設置された虹色の横断歩道は、エルサルバドルにおけるLGBTQコミュニティの権利獲得に向けた、ひとつの前進なのである。