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最近の空爆による多数の市民の犠牲ーこれはトランプのアフガニスタン新戦略のいけにえか?

カテゴリー: 中央アジア・コーカサス, アフガニスタン, 人権, 国際関係, 市民メディア, 戦争・紛争, 政治

(原文掲載日は2017年9月4日です)

2013年3月31日、アフガニスタンのバグラム基地に着陸するやいなや、駐機場にタキシングされるA10サンダーボルトII型戦闘機の姿。ジョージア州ムーディ空軍基地から配属された部隊の一部。(米空軍提供 デビッド・ドブリッドニー軍曹撮影)

先月末、米軍とアフガニスタン軍が過激派を標的に2度爆撃を行い、犠牲になった20人以上の市民の遺体をそのまま放置した。その後、市民は激しい怒りと不信感を抱き、反発を続けている。

国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)によれば、8月28日、西部ヘラート州ジレコ地方の過激派を目標とした空爆で15人の市民が犠牲 [1]になった。非公式な報告 [2]では、爆撃の犠牲者は20人以上にのぼる。その2日後に再びアフガニスタン軍と米軍によるタリバンへの空爆があり、南部ローガル州プリアラム地区では11人の市民が死亡し、16人が負傷した [3]

現地の情報によると、犠牲者の数はもっと多いと見ているレポーターもいる。ジャーナリストのエムラン・フェロスはこうツイートした。

本日のローガルでの米軍による空爆の様子。アフガニスタン、少なくとも28〜31人の市民が死亡。

また別のジャーナリスト、アリ・ムハマド・ラティフィはツイッターで28人の犠牲者を悼み、こう伝えた。

現地情報では、ヘラート州で13人の市民が殺された翌日に、米軍がローガル州を空襲し、ホースト州の市民が28人犠牲になった。

今回の爆撃により、アフガニスタン国内では激しい怒りが沸き起こり、ドナルド・トランプ米大統領の新アフガニスタン戦略 [8]への不安が高まっている。その戦略によると、米国軍人のリスクをできるだけ減らす一方で、過激派拠点への急襲作戦が拡大する模様である。

ハミド・カルザイ前アフガニスタン大統領は2回目の空爆をツイッターで強く非難した。

女性や子供を含む市民を犠牲にした米軍のローガル州空爆を強く非難する。

ニューヨークタイムズ紙のアフガニスタン・シニアレポーター、ムジブ・マシャルはこのような空爆はアフガニスタンと米国の関係に悪い影響を及ぼすかもしれないと懸念を表明した。状況が第2次カルザイ政権時の関係悪化によく似ているのだ。

さらに言えば、市民の犠牲(と地元の怒り)がカルザイとオバマの関係を修復不能なものにした一因だということを忘れてはならない。

アフガニスタンのサルダル・フセイン・バクタリはフェイスブック [13]で空爆を強く非難した。

در حمله هوایی نیرو های خونخوار آمریکایی در لوگر تعداد از هموطنانم شهید زخمی شده است
آمریکا هرگز به خیر ملت ما نیست بهتر است مثل که
قشون سرخ از کشور بیرون رانده شود تروریست در کجا است آمریکا کجا را بمباران میکند ملت باید علیه آمریکا
بخیزد و هشدار جدی بدهد
لعنت بر آمریکا شیطان
مرگ بر آمریکا

血に飢えた米軍によるローガル空襲で、多くの同胞が殉教し負傷した。米国は我が国に何の利益ももたらしていない。旧ソ連軍を追い出したように米軍を排除するのが賢明な方法だ。テロリストはどこにいて、米軍はどこに爆弾を落とすんだ? アフガニスタンは米軍の駐留に反対して立ち上がろうではないか。悪魔のアメリカへ呪いを! アメリカに死を!

アフガニスタン独立人権委員会(AIFRC) [14]国連 [1]は、アフガニスタン国内の戦闘状態への軍事介入に手を焼き続けている。両者はともに市民の犠牲の急増を強く非難している。UNAMAの記録では、2017年の1月から6月の間に、空爆のためにアフガニスタン市民の犠牲者数は43%増加 [15]している。

米国のアフガニスタンでの対テロ新戦略は、アフガニスタン共和国治安部隊(ANDSF)への空軍の兵力援助に集中 [16]している。トランプ政権となった2017年1月から8月20日までで空爆は2,244回に及び、2016年の年間1,074回から増加していると、ロイター通信は伝えている [16]

米国の新戦略によれば [17]、次の4つのグループが攻撃対象となっている。タリバン、ハッカニ・ネットワーク、イスラム国ホラーサン州(IS-KP)そしてアルカイダである。

しかし、タリバンなどの反乱グルーブはいつものように村を人間の盾として使うので、市民の犠牲は避けられないものとなっている。

昨年11月、クンドゥーズ北部地方で米軍の空爆により30人の市民が犠牲になり、25人が負傷 [18]した。このことでアフガニスタン国内に大きな怒りが渦巻いた。その前年には不名誉なことに、米軍が同州で「国境なき医師団(MSF)」が運営する病院を空爆し、医療外傷センター内の患者と医療スタッフを含む42人の市民が命を奪われた [19]

米政府がアフガニスタン侵攻を指揮した最初の12年間で、少なくとも8つの結婚式が米軍の爆撃を受けた [20]。その直後、深い悲しみにくれ怒り心頭に発した住民は、その爆撃が意図的なものだとよくその様子を語った。 [21]

米国とNATO(北大西洋条約機構)による空軍への援助がなければ、アフガニスタン国内に立ち上る反乱の勢いに打ち勝つことはできない。この両者は今後4年間にわたり、アフガニスタン空軍に約70億ドルの投資を約束しているのだ。

しかし時が経つにつれ、市民の流血をもたらす空爆により、かつて米政府が戦いの大義 [22]としていたアフガニスタン人の全面的な支持が失われつつあるのだ。

校正:Yasuhisa Miyata [23]