- Global Voices 日本語 - https://jp.globalvoices.org -

「移民たちよ、やるべきことをやろう」アメリカンドリームの裏側を描くミュージックビデオ

カテゴリー: 北アメリカ, アメリカ, 市民メディア, 歴史, 移住と移民, 芸術・文化

原文掲載日は2017年9月26日

[1]

ミュージックビデオ「移民たちよ、やるべきことをやろう」のスクリーンショット

当記事は、もともとマレーナ・フィッツパトリック [2]により記載され、Enclaveのサイト上で公開された [3]。Enclaveの許可のもとに再編集しグローバル・ボイスに転載している。

6月末「移民たちよ、やるべきことをやろう」のミュージックビデオが公開された。この楽曲は、ブロードウェイミュージカル「ハミルトン」のコンセプトアルバム「ハミルトン・ミックステープ」 [4]に収録されている。「ハミルトン」は、18世紀後半のアメリカ合衆国建国時に重要な役割 [5]を果たしたアレクサンダー・ハミルトン [6]の生涯を題材にしている。

ロン・チャーナウ [7]が著した伝記からインスピレーションを得た「ハミルトン」は、高く評価されている。ヒップホップ、R&B、ポップスなどあらゆるジャンルの音楽を取り入れ、また人種も出身もさまざまな俳優たちが白人の歴史的人物を演じるなど、歴史劇に斬新なアイデアを盛り込んでいる。「移民たちよ、やるべきことをやろう」、これは劇中曲の一節で、10代のときにアメリカの植民地へ移住したハミルトン、そしてアメリカ独立戦争に参戦したフランス貴族のラファイエット侯爵が歌っている。

本楽曲の「ハミルトン・ミックステープ」収録バージョンには、ソマリア出身のカナダ人詩人ケイナーン・ワルサメ [8]、プエルトリコ出身のラッパーで作詞家レシデンテ [9]、パキスタン系イギリス人のラッパーで俳優、また活動家でもあるリズ・アーメッド [10]、ヒップホップのレコーディング・アーティストで女優のメキシコ系アメリカ人スノー・ザ・プロダクト [11]、そしてアメリカ出身の俳優でラッパー、シンガーとしても活躍するデイビード・ディグス [12]たちが参加している。彼らは皆、あらゆる差別に対して声を上げていることで、米国では名が知られているアーティストたちだ。

この曲とミュージックビデオは、リン=マヌエル・ミランダ [13]によって制作された。ミュージカル「ハミルトン」を執筆したのも彼だ。動画には、ないがしろにされた労働者階級の人々が描かれている。彼らは闇の中で生き、戦争犯罪、警察の蛮行、労働搾取、移民排斥の暴動、そして不条理な死の犠牲者になることも少なくない。米国では移民法改革 [14]についての激しい議論が行われ、また少数派に対する敵対的な見方がより強さを増してきている。そのなかでの動画公開は、とりわけ意味のあることだ。歌詞の一部を抜粋する。

I been scoping ya dudes, ya’ll ain't been working like I do
I'll outwork you, it hurts you
You claim I’m stealing jobs though
Peter Piper claimed he picked them, he just underpaid Pablo
But there ain't a paper trail when you living in the shadows
We're America's ghost writers, the credit's only borrowed

あんたらダラけて うちら汗水たらして
まじめな労働 角が立つ
「仕事を奪う」と責められる
やとわれ移民 なけなしの賃金
日陰の暮らしに 残らぬ痕跡      
移民はアメリカのゴーストライター だれか名義のうちらの手柄

実際、ミランダはヒスパニック連盟 [15]により招集された連合「移民たちよ、やるべきことをやろう」への支援を行っている。同連合は米国全土で活動する12のパートナー組織から成り立っている。アメリカンドリームを求めてこの地へ来た移民、難民、難民申請者たちに法定代理や弁護、また啓発活動プロジェクト「あなたの権利を知ろう」などの人生が変わるようなサービスを数多く提供している。

校正:Rie Tamaki [16]