シンガポール:移民労働者の死刑執行を悲しむキャンドル集会 警察が参加者を捜査対象に

(原文掲載日は2017年9月12日)

7月13日、チャンギ刑務所前で行われたキャンドル集会に駆けつけた警官たち。
写真:カースティン・ハンのFacebookより(使用許諾取得済み)

シンガポール警察は、2017年7月13日に行われたキャンドル集会に参加した17名の活動家およびジャーナリストに対し、「違法な集会」を開いたとして出頭を命じた。

彼らは、死刑執行の迫ったマレーシア人移民労働者のプラバガラン・スリビジャヤンの家族の力になりたいと、シンガポール東部にあるチャンギ刑務所前で集会を開いた。プラバガランは、7月14日に麻薬密売の罪で処刑された。

プラバガランは、死の直前まで無実を訴え続けた。また、いくつかの人権団体が、シンガポール政府に対しプラバガランの助命と事件の再審を強く求めていた。しかしながら、プラバガランの刑は執行され、2017年にシンガポールで行われた4人目の薬物関連の罪による死刑となった。

17名の集会参加者の多くは 死刑反対派 ではあるが、彼らの主な目的は、悲しみに暮れるプラバガランの家族の心に寄り添うことだった。

キャンドル集会の現場に、何名かの警官が駆けつけろうそくを押収した。しかし警官らは、ろうそくを使わないという条件で、集会の続行を許可したのだ。

2か月後の現在、シンガポール警察は、公共の場所での集会に関する法律に違反したとして、キャンドル集会の参加者らの取り調べを行なっている。シンガポールでは、公共秩序法の257A章16条2項aにより、許可なく集会を開くことは 固く禁じられている。

グローバル・ボイスのライター、カースティン・ハンはキャンドル集会に参加、 そして後日、警察の出頭命令を受けた。カースティンは、Facebookに今回の出来事について投稿し、なぜ集会が違法とされるのか疑問を呈した。

I understand that it is the police’s duty to protect law and order and to uphold the laws of our country. But when a simple, nonviolent, quiet vigil for a man about to be hanged by the state is deemed an illegal assembly worthy of a police investigation, perhaps it is time to think about whether we are striking the right balance between public order, freedom of assembly and compassion.

治安を守りこの国の法律を堅持することが、警察の職務なのは分かる。だが、国家により絞首刑に処されようとしている人のために開いた、ささやかで非暴力的かつ静かな集会が違法と見なされ、警察の捜査対象になると言うのだ。公共の秩序、集会の自由、そして思いやりの心、それぞれのバランスが適切に保たれているか、私たちは今考えるべき時にあるのかもしれない。

ニュースサイト「オンライン・シチズン」の編集者テリー・シュウも、警察から出頭命令を受け、警察が集会を違法と見なしたことに 驚きを表した。

An “illegal public assembly” to grieve over an individual who was put to death under the state law, and insisted that he is innocent till the point he was hanged at the gallows. It was also an “illegal public assembly” where the police officers turned up at the scene and said it was okay to gather so long there is no candles placed.

国の法律により死刑となり、絞首台に上がるその瞬間まで無実を訴え続けた1人の男性のために集まり、心を痛めることが「違法な公共の場での集会」になる。しかも、現場に駆けつけた警察は、ろうそくを使用しないことを条件にその「違法な公共の場での集会」を許可したのだ。

おそらく警察は、当局の許可なしに集会参加者が出国するのを停止している。テリー・シュウは、シンガポールから出国しようとした際、出国審査官に止められた。

Are the police acting as judges to decide whether or not one can leave the country without putting the matter to court?

If this is not harassment, I don't know what else can be considered as one.

裁判にもかけず一市民の出国の可否を決めるなんて、警察は裁判官のつもりか。

これが嫌がらせじゃないなら、一体何なのか私には分からない。

いくつかの人権団体が、平和的な集会の参加者に嫌がらせをしているとして、警察を非難している。シンガポールを拠点とするNGOのファンクション8は、今回の事件が「この国の憲法の精神に反しており、警察力の乱用である」という 声明を発表した。

校正:Nao Iwashita

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