アフガニスタン紛争による惨劇の真っただ中、地方で生まれた平和運動に注目が集まる

写真提供:ムハマド・オマール・レマル 使用許可取得済
南部ヘルマンド州の住民が平和行進を開始する。

アフガニスタンの火種ヘルマンド州では、悲しいことに車の爆破事件は日常茶飯事である。しかし、とりわけ破滅的であった最近の爆発は驚くべき影響を及ぼした。

ヘルマンド州の州都ラシュカルガーは、タリバン・グループの政治的中心地であり、アヘン生産の中心地として知られている。そこで行われていたレスリングの試合中に自動車爆弾が爆発し、14名が死亡、さらに負傷者は数十名に及んだ。

3月23日に起きたこの爆発の翌日には、ヘルマンド州の住民数百名が座り込みキャンプによる抗議を始めた。タリバン・グループとアフガニスタン政府間における2日間の停戦を要求するものであり、同時に30名ほどの活動家によるハンガーストライキも続けられた。

しかしながら、政府とタリバン・グループは共にその要求を拒否した

ニューヨークタイムズ紙によるインタビューの中で、ストライカーの1人であるカイス・ハシミは、タリバンとアフガニスタン政府の双方を「外国の操り人形」だと非難した

Our blood is finished, our tears have dried. We will not say another word. We will not eat.

我々の血は出つくし、涙は枯れ果てた。もはや他に言うことなどない。我々は何も食べるつもりはない。

6名のストライカーが活動中に病院へ搬送された

ついには、州のウラマ―議会(宗教学者議会)のメンバーが介入し、ストライカーたちにハンガーストライキを終えるよう迫った。しかし一方で、平和のために抗議者たちと力を合わせることを約束した。

アフガニスタンの女性たちが座り込みに参加

タリバンが提案された和平会談を先延ばしにしているため、反戦への団結を示して、女性たちも果敢に座り込みを始めた。保守的な地域において、家の外ではほとんど見かけることのない女性たちである。

金曜日の攻撃で18歳の息子を失ったヘルマンドの母親、タリバンに和平協定を求める。

自らを「人民運動」と呼ぶ抗議者たちは、タリバンに占領された町ムーサ・カラへの平和行進を実施すると誓った

抗議運動は「外部からの力」や「エリート」によってコントロールされているとは言い難いものである。ツイッターユーザーのサイード・マダディが簡潔に述べた。

ヘルマンドでの抗議運動は成功するかもしれないし、しないかもしれない。しかし何よりも特徴的なことは、この運動が、首都カーブルに住む欧米教育を受けた若者たちエリートによるものではない、ということである。地方に住むアフガニスタン人たちが主導している運動なのだ。そしてタリバンは自分たちの正統性は、そんなものがあるとすればだが、彼らに由来するものだとしている。

ヘルマンドでの平和を訴える声は、様々な場所で反響を呼んでいる

ピースキャンプは、ヘルマンド州の他の地域にもすぐに広がり、アフガニスタン西部のヘラート州やファラー州の住民も参加した。抗議運動はさらに、東部パクティヤー州に住むアフガニスタン人にも広がり、そこでは小さなグループによる独自の座り込みが始まった

沈黙が生む代償に比べ、戦争に反対する市民の抗議による代償ははるかに小さい。戦争を挑発する人々や国内・国際的に犯罪を犯しているマフィア・ネットワーク、ドラッグの売人たちに、対抗し決起することのない大多数の無関心さによって、アフガニスタンはこの40年間でより多くのものを失った。ヘルマンドの市民抗議運動を誇りに思う。

2月末、アフガニスタンのアシュラフ・ガニー大統領は寛大な和平提案を提示し、タリバンに働きかけた。その後座り込みキャンプは、公然として中立的ではあるものの、タリバンに対して新たな圧力を与えた。

提示された内容には、タリバン・グループを政党として容認すること、タリバンの囚人の釈放、そして、国際制裁リストからタリバンのリーダーを削除することへの取り組みが含まれた。

しかし、ガニー大統領の提案に対する、タリバン・グループからの正式な回答はまだない。

校正:Mana Ishizuki

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