仮装コンテストのために、ヒトラーの格好をした子供のスクリーンショット。子供の身元、この写真をシェアした人、｢いいね！｣ボタンを押した人、そしてコメントした人たちが特定されないように編集されている。

おそらく健全なソーシャルメディアがブランド構築するチャンスだったと思われる。マケドニアのスコピエにあるショッピングモールで、エイプリルフールを祝して子供たちの仮装コンテストが開催された。このイベントで両親が我が子の写真を投稿し、優勝者は「いいね！」の数によって決定した。

特に何の問題もなさそうだが。

だがその時 「マスクンモール」コンテスト で、手作りの黒いナチスの服装に身を包んだ男児の写真が公開された。それもアドルフ・ヒトラーにそっくりな鍵十字形の腕章、髪型、口ヒゲがそろっていた。

Facebookユーザーによる怒りと反発がすぐさま続き、またいくつものネットメディア局が スキャンダルを伝えた。
この写真が投稿された2、3時間後にコンテストの主催者はFacebookから写真を削除した。しかし、ソーシャルメディアのユーザーは議論をやめようとはせず、スクリーンショットを再投稿した。

ユーザーの中には、両親はナチズムを嘲笑しようとしたか、(ナチス･ドイツを支持すると言うよりは)仮装で有名になりたかったのではないかと予想している。しかし騒ぎが大きくなるにつれ、コメントした大多数のユーザーは嫌悪感を ｢小型のアドルフ｣として誇張した。

似たような一連の議論がTwitterでもなされており、1940年の映画｢独裁者｣でのチャールズ･チャップリンを思い起こす仮装だ、と正当化しようとする者がいた。しかし、そういった見解はたいてい冷たくあしらわれた。

Обично децата се маскираат во своите јунаци. И да, она не е смешно.

— Биггус Дицкус (@Glava123) April 2, 2018

エイプリルフールだとしても、ふつう子供はヒーローに変身するもの。もちろん、こんなの笑えない。

Ај што го маскирале детево, го маскирале. Туку како му објасниле во што е маскирано? „Сине, ти си Хитлер, еден чичко што убивал Евреи зошто не ги сакал, убав тој на мајка ?”?

— вина невина (@nalutilus) April 2, 2018

確かに両親が子供に、あの仮装をさせたんだと思うよ。でも息子になんて説明するんだ？　「あなたは今、ヒトラーというユダヤ人殺しのおじさんになるの。かっこいいでしょ」って?？

反ユダヤ主義やナチス寄りの発言は マケドニアでは至って普通であるが、 つい最近マケドニアは内部マケドニア革命組織・マケドニア統一民主党の独裁性の強い支配下から離れた。しかしどんなにマケドニアの法律がヘイトスピーチを禁止しても、ヒトラーの著作物が大量に普及している。

仮装コンテストのスキャンダルの後に、Twitterのユーザーの中にはこの現象について次のように警告する者がいた。

Инаку во супермаркет лабаво на најдобра позиција си се продаваат „Мојата борба“ и „Еврејското прашање“ на негосподин Хитлер, но сигурен сум дека ете некој ќе објасни дека тоа и не е така страшно, ете може да не се согласуваме со различни мислења и стилови све е океј олабавете.

— Slobodan Jakoski (@FlavrSavr) April 2, 2018

ところで大きなスーパーマーケットで陳列棚の一番上に、当たり前のように｢我が闘争｣とヒトラーの著作物じゃないけど｢ユダヤ人問題に寄せて｣が売っているよ。
だけどきっと誰かがフォローすると思うよ。「そんなに恐ろしいものじゃないよ。さまざまな意見や立場において、ただの反論に過ぎないだから気にすることはない」ってね。

つい数日前、人権の専門家で活動家のツァルコ・トラヤノスキー氏が、別のショッピングセンターの｢ミニ・ブック・フェア｣に並んでいた 一連のタイトルの写真 を、皮肉まじりのコメントと共に次のように投稿した。

「なんて『最高傑作な』品ぞろえなんだ。ヒトラー、フリーメイソン、イルミナティ、陰謀説、そしてプーチンが一カ所にまとめて売られてるよ」撮影とコメント：ツァルコ・トラヤノスキー氏。使用許可済み

国家主義を推進し、｢私たち｣と｢彼ら｣を区別、そしてヒトラーの仮装騒ぎを非難する人々の偽善行為に対して、別のTwitterユーザーはさらなる指摘をした。

Сите се згрозија од сиротото детенце маскирано како Хитлер. Кој, нели, бил расист и нацист.
Дури и оние кои се дереа по улица „Смрт за Шиптарите“ и „За чиста Македонија“, што е точно она што го правел и Хитлер

— Mindрluмbеr (@mindplumber) April 2, 2018

ヒトラーに仮装させられた哀れな子供に、みんなびっくりだよね。誰もが知っている、人種差別者でナチだったからね。だけど｢アルバニア人なんて死んでしまえ！｣（民族的な中傷を用いている）だとか「清らかなマケドニアを！」なんて道で叫んでいる人がいるよね。それってまさしく、ヒトラーがしたことと同じことだよ。