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マケドニア:「小型のアドルフ」ヒトラーエントリーで大炎上! 子ども仮装コンテストにて

カテゴリー: 東・中央ヨーロッパ, マケドニア共和国, 人権, 写真, 市民メディア, 歴史, 言論の自由
[1]

仮装コンテストのために、ヒトラーの格好をした子供のスクリーンショット。子供の身元、この写真をシェアした人、「いいね!」ボタンを押した人、そしてコメントした人たちが特定されないように編集されている。

おそらく健全なソーシャルメディアがブランド構築するチャンスだったと思われる。マケドニアのスコピエにあるショッピングモールで、エイプリルフールを祝して子供たちの仮装コンテストが開催された。このイベントで両親が我が子の写真を投稿し、優勝者は「いいね!」の数によって決定した。

特に何の問題もなさそうだが。

だがその時 「マスクンモール」コンテスト [2] で、手作りの黒いナチスの服装に身を包んだ男児の写真が公開された。それもアドルフ・ヒトラー [3]にそっくりな鍵十字形の腕章、髪型、口ヒゲがそろっていた。

Facebookユーザーによる怒りと反発がすぐさま続き、またいくつものネットメディア局が スキャンダル [4]を伝えた。
この写真が投稿された2、3時間後にコンテストの主催者はFacebookから写真を削除した。しかし、ソーシャルメディアのユーザーは議論をやめようとはせず、スクリーンショットを再投稿した。

ユーザーの中には、両親はナチズムを嘲笑しようとしたか、(ナチス・ドイツを支持すると言うよりは)仮装で有名になりたかったのではないかと予想している。しかし騒ぎが大きくなるにつれ、コメントした大多数のユーザーは嫌悪感を 「小型のアドルフ」 [5]として誇張した。

似たような一連の議論がTwitterでもなされており、1940年の映画「独裁者」 [6]でのチャールズ・チャップリンを思い起こす仮装だ、と正当化しようとする者がいた。しかし、そういった見解はたいてい冷たくあしらわれた。

エイプリルフールだとしても、ふつう子供はヒーローに変身するもの。もちろん、こんなの笑えない。

確かに両親が子供に、あの仮装をさせたんだと思うよ。でも息子になんて説明するんだ? 「あなたは今、ヒトラーというユダヤ人殺しのおじさんになるの。かっこいいでしょ」って??

反ユダヤ主義やナチス寄りの発言は マケドニアでは至って普通 [9]であるが、 つい最近マケドニアは内部マケドニア革命組織・マケドニア統一民主党の独裁性の強い支配下から離れた。 [10]しかしどんなにマケドニアの法律がヘイトスピーチを禁止しても、ヒトラーの著作物が大量に普及している。

仮装コンテストのスキャンダルの後に、Twitterのユーザーの中にはこの現象について次のように警告する者がいた。

ところで大きなスーパーマーケットで陳列棚の一番上に、当たり前のように「我が闘争」 [12]とヒトラーの著作物じゃないけど「ユダヤ人問題に寄せて」が売っているよ。
だけどきっと誰かがフォローすると思うよ。「そんなに恐ろしいものじゃないよ。さまざまな意見や立場において、ただの反論に過ぎないだから気にすることはない」ってね。

つい数日前、人権の専門家で活動家のツァルコ・トラヤノスキー氏が、別のショッピングセンターの「ミニ・ブック・フェア」に並んでいた 一連のタイトルの写真 [13] を、皮肉まじりのコメントと共に次のように投稿した。

[13]

「なんて『最高傑作な』品ぞろえなんだ。ヒトラー、フリーメイソン、イルミナティ、陰謀説、そしてプーチンが一カ所にまとめて売られてるよ」撮影とコメント:ツァルコ・トラヤノスキー氏。使用許可済み

国家主義 [14]を推進し、「私たち」と「彼ら」を区別、そしてヒトラーの仮装騒ぎを非難する人々の偽善行為に対して、別のTwitterユーザーはさらなる指摘をした。

ヒトラーに仮装させられた哀れな子供に、みんなびっくりだよね。誰もが知っている、人種差別者でナチだったからね。だけど「アルバニア人なんて死んでしまえ!」(民族的な中傷を用いている)だとか「清らかなマケドニアを!」なんて道で叫んでいる人がいるよね。それってまさしく、ヒトラーがしたことと同じことだよ。

校正:Etsumi Itai [16]