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#SavePirin:ブルガリアの環境保護団体、ピリン国立公園保護運動で勝訴 

カテゴリー: 東・中央ヨーロッパ, ブルガリア, デジタル・アクティビズム, 市民メディア, 朗報, 環境, 経済・ビジネス, 開発
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ブルガリア ボロヴェッツ山岳救助隊本部の壁に掲げられたピリン山岳救助マップ 写真:グローバルボイス CC-BY

環境保護活動家たちは喜びの声をあげた。ユネスコ世界遺産のピリン国立公園における建設工事においては、まず戦略的環境影響評価を実施しなければ政府は工事を認可してはならないとする判決 [2]を、4月26日ブルガリア最高行政裁判所が下したからである。

建設工事を巡り訴訟を起こしたフォー・ザ・ネイチャーと称する連合体は最高行政裁判所の判決 [3]を、貴重な自然を守るための闘い [4]を続ける彼らにとって重要な前進であると称賛した。

連合体の一員であるWWFブルガリアは、下記のように言っている。

The [government] plan permits construction on an area that is 12.5-times larger than currently permitted area and could lead to commercial logging affecting nearly 60 per cent of the park (currently no commercial logging is permitted in the park). Development of the plan has been financed by the EU.

政府の計画では、現在許可されている区域の12.5倍に及ぶ範囲の建設を認めることとなっている。この計画が実行されれば、森林の伐採が営利目的で実施されることにもつながり、公園のほぼ60パーセントに影響が及ぶとみられている(目下、ピリン国立公園における営利目的の森林伐採は許可されていない)。これまで、この計画はEUの財政支援により促進されてきた。

ピリン国立公園に押し寄せる開発の波に危機を感じた人々により、ブルガリアはもとより国外においても同公園を守ろうとする運動 [5]5か月にも及び [6]繰り広げられることとなった。最近の行動としては、ソフィア(訳注:ブルガリアの首都)、ブラゴエヴグラト(訳注:ブルガリア南西部の町)、プロヴディフ(ブルガリア中部に位置するブルガリア第2の都市)、スリヴェン(訳注:ブルガリア南東部の都市)、ロンドン [7]で4月26日に行われたものがあげられる。この行動の中で参加者は、黒海地域の自然遺産保護も訴えた。

ブルガリア環境・水資源省は、事前の戦略的環境影響評価をせずとも2014年から2020年の間のピリン国立公園管理計画案を認可することとした。結果として、バンスコエリアでスキー場の新設工事が可能となった。だが、最高行政裁判所の判決は、環境・水資源省のこの決定を覆す結果となった。

訴訟を起こした活動家グループ [8]は、環境・水資源省が認可した開発計画はピリン国立公園全体を危険にさらすばかりでなく欧州指令 [9]2001/42/EOに真っ向から違反するものだと、言っている。なお、この指令は、観光産業、森林事業および生物の多様性に影響を与える行為を行う場合は環境影響評価を行わなけらばならないとしている。

最高行政裁判所は、環境影響評価を実施しなければ「環境・水資源省は、開発行為が環境に影響を及ぼすか否かを適正に評価する根拠を示すことができない」と、論じている [2]。環境影響評価をする場合は環境影響評価法の基準に従わなければならないとされている。しかし、3人の裁判官で構成される審査員団は、これまでのところこの基準に沿った環境影響評価は実施されていないと述べている。

ブルガリアの環境保護活動家グループは、とりあえず最高行政裁判所の判決を祝ったものの、今回の判決により「ピリン保護運動(#SavePirin [10])」に終止符が打たれたと見なしてよいかどうか警戒心を持っている。というのも彼らは、強力な金融筋がピリン国立公園の開発を観光事業の目玉としたいと思っていることに気づいているからである。もう一つの例として、環境・水資源省は、2週間以内に上告することができる。その上告は5人の裁判官で構成される審査員団に提出されることとなっている。

ブルガリアのピリン国立公園を台無しにする計画に反対している @zazemiataや数千人の人たちにとってビッグニュースだ

ブルガリアの主要メディアは主に寡頭政治の支配者が運営しており、どう見ても訴訟を支援してきたは言えない。そして、抵抗運動を些細(ささい)なこととみなして、わずかばかりの関心しか示してこなかった。一例をあげれば、最近の記事 [16]で活動家を「緑の贈賄者」と称している。

ブルガリアはEUの中でもバルカンの中でも最もメディアの自由が制限されている。https://t.co/TdCRdOaPf7 [17]#EU2018BG [18] #SavePirin [13]

ブルガリアは目下、輪番制でEU議長国を務めているが、メディアの自由度に関してはEU 諸国中で最下位に位置付けられる。また、ブルガリア政府がEUに加盟してもらいたいと考えている西バルカン諸国の中でも最下位である。

アレクサンドラ・テルズィエヴァの他のツイートも見てください。

校正:Motoko Saito [20]