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バングラデシュ、遂に初の通信衛星打ち上げに成功

カテゴリー: 南アジア, バングラデシュ, テクノロジー, 市民メディア, 朗報, 歴史, 経済・ビジネス, 行政, 開発
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アメリカ ケープカナベラルでのボンゴボンドゥ衛星1号の打ち上げの様子。スペースX・フォト公式ページによるフリッカー画像より。著作権フリー

2018年5月11日午前4時14分(米国東部標準時)、バングラデシュ初の静止軌道衛星であるボンゴボンドゥ1号 [2]は、米国フロリダ州ケープ・カナベラルから宇宙へ打ち上げられた。これはバングラデシュでは画期的な出来事であり、国中を挙げてお祝いムードとなった。

ボンゴボンドゥ1号は東経119.1度の軌道位置 [3]に向け発射された。この衛星はバングラデシュの建国の父であるシェイク・ムジブル・ラフマン [4]のニックネームにちなんで名付けられたものだ。今後15年に亘り、衛星のミッションは続くと見込まれている。

打ち上げは当初5月10日に予定されていたが、打ち上げの直前にエラーが見つかり、決行は翌日に延期された [5]。郵政・電気通信大臣テラナ・ハリムが率いるバングデシュ政府代表団は、フロリダを訪問し [6]打ち上げ成功の瞬間に立ち会った。 

スペース・インテル・レポート社編集長、ピーター・B・セルディングのツイート

衛星製造メーカー、タレス・アレニア社はボンゴボンドゥ1号からの電波を受信し、1号が正常に軌道にのりソーラーパネルのスタンバイが完了したと確認した。スペースX社の最新型ファルコン9ブロック5は初めての打ち上げに成功。バングラデシュは今まさに通信衛星保有国の仲間入りをしたのだ。

ケネディ宇宙センターのソフトウェア・エンジニア、K・スコット・パイエルのツイート

ボンゴボンドゥ1号を宇宙へ運ぶ最新型ブロック5の今日の初飛行をひかえて。スペースX社ファルコン9の9000万画素写真。

フル解像度の画像は、こちらよりダウンロード可能。

この3,700kgの衛星打ち上げ作業開始は2015年にさかのぼる。それはバングラデシュ電気通信規制委員会 [20]の依頼によるフランスに拠点を置くタレス・アレニア・スペース社 [21]からの発注だった。

この打ち上げはスペースⅩ [22]にとっても記念碑的なものだった。というのも、自社でこの打ち上げを行う契約をしたからだ。再利用度と信頼性がより高い [23]モデルとして、スペースⅩ社のファルコン9 [24]ブロック5最新型のデビューが成功したのである。スペースⅩ社とは、起業家イーロン・マスクにより2002年設立されたアメリカ企業である。同社は打ち上げ時のライブ映像 [25]をウェブ上で配信している。その映像はこちらである

ボンゴボンドゥ1号のおかげでバングラデシュ農村地域へのブロードバンド配信はもちろん、衛星テレビ、ITアクセス、緊急時の通信サービスが可能になる [26]だろう。そして打ち上げまでバングラデシュ電気通信規制委員(the BTRC)が指揮を取ったあとは、新しく設立される国有企業、バングラデシュ通信衛星株式会社 [27]がそれらのサービスを行うことになる。

ダッカ・トリビューン紙 [28]によると、バングラデシュの衛星通信接続にかかる年間支出は、海外の事業者からのバンド幅借入れに対して現在1千4百万米ドルに及ぶ。これがボンゴボンドゥ1号の打ち上げにより、大幅にコスト削減が出来ると見込まれている。

昨日は素晴らしい瞬間だった。ボンゴボンドゥ1号の成功を皆が祝っている。この唯一無二の衛星はバングラデシュの大都市だけでなく、農村地域での情報格差を縮小しようと設計された。また、そんな地方の雇用源にもなるだろう。

この衛星のおかげでバングラデシュ全域 [37]ベンガル湾内領海、そしてインド、ネパール、ブータン、スリランカ、フィリピン、インドネシアでもKuバンド [38]の利用が可能になるだろう。

早朝の打ち上げにも関わらず、ツイッターにはこのミッションに対するバングラデシュ市民の支持表明があふれた。

ファーン・ホサインのツイート

ついに ボンゴボンドゥ1号は宇宙へと向かい、バングラデシュは世界57番目の衛星保有国になる。 シェイク・ハシナ首相の絶え間ない努力に感謝。おかげさまでデジタル・バングラデシュに一歩前進だ。

アドナン・ アメッド・カーンのツイート

スペースⅩ社ファルコン9ブロック5の配備がうまくいき、ボンゴボンドゥ1号は静止軌道上に打ち上げられたことが確認された。たぶん1つの国はこんなふうに変わるんだ。とても誇りに思う。

しかし中にはカジ・ジダーのようなコメントも見られた。人工衛星に巨大な出費をするのなら、バングラデシュにとって最小限必要なことに使ったほうがいいというのだ。

我々バングラデシュ市民は衛星のために余計なお金を使いたくない。まず何より私達に必要なものは、食べ物、衣類、教育、住居、そして公共の安全だ。私達が求めているのは民主主義の政府、投票権、透明性の高い司法制度、通信システムの改善、仕事、汚職のない世の中なんだ。

いずれにせよ、この打ち上げは概して大きな成果と考えられている。

ゼニスのツイート

ボンゴボンドゥ1号の打ち上げで、バングラデシュが衛星独占国グループの57番目のメンバーになったなんて信じられないよ。誇らしい瞬間だ。

ラジュのツイート

特定の地上局ではボンゴボンドゥ1号からのテスト信号を無事受信した。シェイク・ハシナ首相の勇気あるリーダーシップの下で、バングラデシュは大きな功績をあげることができた。詳しくはこちらから。

校正:Yasuhisa Miyata [55]