ネパール人アーティストの願いー男性ヌード画に内なる葛藤を描く

カピル・マニ・ディキシットによる男性ヌード画。撮影:サンジブ・チョードリー。許可を得て掲載。

着衣のない様々な状態の男性の姿は、ネパール美術において何世紀にもわたって扱われてきたものだ。チャクラサンヴァラや妻ヴァジュラヴァラーヒー妃の神性の集合体が描かれた、13世紀のネパール・ポーバ絵画であるチャクラサンヴァラ・マンダラ、もしくはカトマンズのヒンドゥー寺院で発見された性愛的なポーズをした多くの像を見れば分かるだろう。

そのような背景があるにも関わらず、ネパールではいまだにヌードを描くことやその絵画を公衆に向けて展示することは、少々の勇気を要する。ネパール社会での伝統的な性別の役割において、男性は家族の大黒柱と見なす。これが意味するのは、たくましく、頼れる男であるべき、ということだ。世界の他の地域と同じように、この「屈強」であるべき期待というのはネパール人男性が弱さを感じ、自らの肉体や性自認を語ることに対して必ずしも気持ちの良いものであると限らないことを意味する。

男性であろうとすることや男性の姿を褒めたたえようとすることについて意見交換を始めるため、2人のネパール人アーティストのカピル・マニ・ディキシットロシャン・ミシュラ2018年2月19日までパタン市のギャラリー・ムキューブで彼らの男性ヌード作品を展示した

男性のヌード作品…一人前の男になることを通じて感情的に苦しむ男性を表現するのと同様に男性の肉体を美しくしようとする、こちらの2人の素晴らしいアーティストであるロシャン・ミシュラとカピル・マニにお会いしました。自身がフェミニストであると表明している女性はぜひ一度足を運んでみて下さい。

グローバル・ボイスに語る際、カピルはこのように説明した。
「男性は女性の肉体を高く評価する一方で、なぜ男性の体はきまり悪そうに見るのでしょう?」

God has created equally beautiful male and female bodies. Male are as handsome as female are beautiful. Let’s celebrate about our body. Why is it that we shouldn’t talk about it?

「神は男性と女性の肉体を等しく美しく創りました。女性が美しいのと同じように男性も端麗です。私たちの肉体を祝福しましょう。どうしてそのことについて私たちは語ってはいけないのでしょうか」

「私の絵の中のピンクは私たちが社会から与えられない権利を意味しています。ピンクという色の中で私たちは社会から足かせをはめられているのです」カピル談。撮影:サンジブ・チョードリー。許可を得て掲載。

1つの枠の中に2つの象徴が描かれている。一方は繊細さであり、他方は「屈強」である。「ありのままでいいのです。男性が泣いても、繊細であっても」カピル談。撮影:サンジブ・チョードリー。許可を得て掲載。

ロシャンは概念的な作品群で自身をモデルにしている。彼は以下のように言った。

My work represents the negativity that lies in our society about the male form. Most of the males feel uncomfortable to talk about their own bodies and share their feelings, thoughts, and sexuality. My eight of the conceptual work shows a trapped male figure that has been struggling to come out from its shell….Some of the works show the negative male body surrounded by vibrant, colorful surrounding and other works show a body trapped and wrapped with the social status and fear within. Depicting the subtle nudity of my own body, through this exhibition, I have tried to reach out to those males who feel timid, shy, tender, depressed, confused, lost or even feel dominant. I want them to celebrate the male figure that is given to us by the grace of the god and be who we are.

私の作品は、私たちの社会に存在する、男性の肉体への否定的思考を表現しています。大部分の男性は自分の肉体について語ることや感情や考え、性自認を分かち合うことについて居心地の悪さを感じています。私の8つの概念的な作品は殻を打ち破ろうともがく、閉じ込められた男性の肉体を表しています。いくつかの作品は、周囲を鮮やかな色彩で囲まれた悲観的な男性の肉体を表し、他の作品では社会的地位に捕らわれて覆い隠された、恐怖を内に秘めた肉体を表しています。私は自分自身の肉体の捉えがたいヌードを描いているとき、この展示会を通じて多くの男性と接触しようと試みています。臆病であったり、恥ずかしがりであったり、優しく、憂鬱でいたり、混乱していたり、喪失感といった感情を抱いている男性や、もしくは優位であると感じてさえいる男性にもです。私は彼らに、神の恩恵によって与えられた男性の姿を祝福し、自分らしくあってほしかったのです。

ロシャン・ミシュラによる男性ヌード画。撮影:サンジブ・チョードリー。許可を得て掲載。

ロシャン・ミシュラによる男性ヌード画。撮影:サンジブ・チョードリー。許可を得て掲載。

ロシャン・ミシュラによる男性ヌード画。撮影:サンジブ・チョードリー。許可を得て掲載。

カピルは付け加えた。「多くの人が私のところにやってきて、同じように考えていたと言いました。しかし彼らはそのことについては語ることができなかったと言っていました」

It’s not only our feelings but we’ve expressed the feelings of all males. Males never talk about these issues.

「私たちは自分たちだけの感情だけではなく、全ての男性の感情を表現している。男性はこれらの論点について語っていない」

校正:Mariko Ikemi

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